拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。
魔法の言葉 Part 2
MA68 更にうまくなる20の話
(その5)名著の中のリード&フォロー
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「この人とはうまく踊れるのに、あの人とは踊れなかった」という経験はありませんか? あるいは、「ちゃんとホールドしているのに、なぜうまくリード(フォロー)ができないのだろう?」と悩んだりすることはありませんか? 私たちも同じ経験をしてきましたし、いまだに、同じ問題にぶつかる日々を過ごしていますが、そのようなとき、「そもそも、リード&フォローってなに?」「ホールドってなに?」と、そこから解決策を模索するのが、案外、近道な気がしています。
そこで、このとてつもなく大きな問題「リード&フォロー」について、何回かに分けて考えていきたいと思います。宜しければお付き合いください。
■ボールルーム名著の中のリード&フォロー
1回目は「名著の中のリード&フォロー」として、私が本で見つけたリード&フォローに関するアドバイスを、原文も交えて紹介します。ちょっとした一言で、ダンスが大きく変わることはよくあることです。あなたのダンスの役に立つかも知れません。
1.”A Technique of Advanced Standard Ballroom Figures” (Geoffrey Hearn) より。
翻訳本の問い合わせ先:高岡出版 Tel/Fax 0470-24-9881 E-mail: shinbashidance@hayoo.co.jp)
★リードとは男性が控えめに提案するムーブメントを女性が行ない、それに男性がついていくこと。人生と同じ?
“The Man suggests the movement, the Lady dances the movement, and the Man follows the Lady. (Just like life isn’t it?)
★男性の右手は女性の背中についていく。女性の背中を動かすわけではない。
“The Man’s right hand moves with the Lady’s back, it does not move the Lady’s back.”
2.”Modern Ballroom Dancing” (Henry Jacques 1938年版)より
★すべてのフィガーに対するリードは男性の役目であり、女性は男性がビギナーであったとしても手伝おうとしてはならない。女性はまっすぐな形にいて、男性のヒップとの軽いコンタクトを維持できるように集中するのが女性の役目です。
“The Lady must not attempt to “help” him in any way whatsoever, even should he be more or less a beginner. It is her part to follow and to concentrate on an upright carriage, to endeavour to keep slight contact with her partner’s hip.”
3.”The Irvine Legacy” (Oliver Wesel-Therhorn著)より
★リードに関する話には際限がありません。ですから、一言で表現しましょう。リードとは「会話」です。つまり、一人が話しかけ、もう一人がそれに応える ― そんな感じです。ですから、二人が同時に話す(動く)ことはなく、一人ずつ話を(動く)します。(オリバー)
“The story of Lead is a Never-ending Story. Therefore a good name, for Lead is “Dialogue”. One partner opens the dialogue and the other partner answers etc. At no time both partners talk (move) at the same time. The partners move one after another.”
★一人一人の女性は優秀でなくてはなりませんが、男性のリードには従わなくてはなりません。男性が正しかろうと、間違っていようと。(ボビー)
“Each lady dancer must have her own distinction, but must take the man’s lead, whether he is right or wrong.”
★女性は男性の脊椎についていき、男性の右手についていき、男性のヒップ・レベルに、そして男性のライズ・アンド・フォールについていきます。(ボビー)
“She follows his spine, his right hand, his hip level and his rise and fall.”
★★★
1. 取り合っている手、そして、相手に触れているもう一方の手には極自然なトーン(張り)があります。この手を使い(手だけですよ)、男性は女性に後退の動きを次のようにして伝えます。男性は自分の手を前方にゆるめてトーンを減らすのです。もちろん、手を前に出すのは、目には見えない、極わずかな程度です。(オリバー)
“When in hold the hands, the joined hands and the other connected hands, have a natural tone. With the hands, and only the hands, the man initiates the lady’s movement backwards. He slightly reduces the tone of the hands and releases the hands, practically in an invisible way, forward.”
2. 男性のリードを受け、女性は自分の中心を動かし始めるのですが、このような表現もできます。「最初におへそを後退させます。そして男性のセンターが出てこられるスペースを作るのです。」
女性は自分の足の上から離れて行ってはいけません。それをするのは、自分でタイミングを取り、リードを男性から奪うようなものです。
“The lady answers to this initiation movement with her centre. Or simpler: she moves first her navel backward and thus makes space for his centre to move. She is not allowed to move away from the foot as she would then dictate the timing and take the lead away from the man.”
3. 女性が後退し始め、男性が動きを起こさないとすると、二人の中心の間にギャップ(隙間)が生じます。そのギャップが見て分かるほどにならないうちに、男性はそのギャップを埋めにかかります(この動きはリアクションになります)。
“If he did not move, there would be a gap at the level of the centres. So now the man reacts and fills this gap with his centre before it is visible.”
■ラテンのリード&フォロー
ラテンのリード&フォローについては、下のブログをご覧ください。
ハッピー・ダンシング!