3. タ・ナ行 (285-385)

    ツ・テ      ニ・ネ・ノ

 

 

285 ターキー・トロット(Turkey Trot)
踊りの途中でしばしば七面鳥のように手をパタパタさせるよう推奨されていたところからその名がつきました。1909年頃サンフランシスコで作られたと言うのが定説になっています。また、大衆受けを狙った動物をもじった最初のダンスと思われています。あまり品がよくなく、多くの人は退廃的な踊りとして禁止しようとし、キャッスル夫妻(The Castles)もダンス界からこの踊りを消し去ろうとしましたが、皮肉にも彼らの人気はこの踊りで出たのでした。(Street)

 

286 ターキッシュ・タオル(Turkish Towel)【C】
チャチャチャの基本フィガーのひとつ。ターキッシュは「トルコの、トルコ風の」の意味。日本語でトルコ・タオルと呼ばれるこのタオルは日本手拭と異なり、毛羽(けば)がループ状になったバスタオルのことで、フィガー名はこれを使って体を拭いている様子からつけられたと思われます。タオルはタウエルと表記されることもあります。

◆ターキッシュ・タオルはおおよそ 90 x 110 cm の、リネンやコットンで作られたバスタオルで、18世紀に入ってからはタオルの中心部にループ状の毛羽が着くようになりました。花嫁の儀式となる入浴や、その後の人生の大切な節目用として作られました。ハマムと呼ばれるトルコ風呂には、腰、肩、頭用の完全一式が必要です。(turkishculture.org)

◆トルコ国の英語名はターキー(Turkey)。七面鳥をターキーと呼ぶのは、ギニアの家禽がトルコ商会と言うトルコの貿易商経由で英国に入ってきたところからつけられた、との説があります。

 

 

287 ターニング・シャッセ(Turning Chasse)【ST】
回転しながら行なうシャッセのこと。例えばワルツのあるフィガーで、男性が右足を女性のアウトサイドに出してLODに背面した場合、左足後退から右カーブを描きながらシャッセに入り(12&3)、最後の右足で強く右回転してほぼLODに背面して終わることができますが、このときのシャッセがターニング・シャッセになります。この場合、続いて男性はナチュラル・スピン・ターンの4~6に続けることができます。

 

288 ターニング・ロック・トゥ・ライト(Turning Lock to Right)【W/Q】
ワルツやクイックステップの基本フィガーのひとつ。通常のターニング・ロックは最後に左回転に切り替わりますが、ターニング・ロック・トゥ・ライトでは右回転が継続します。先行のスピン・ターンはLODに沿って、あるいは、コーナーで踊ることもできます。いずれの場合も後半での回転量を少し増やし、6歩目でほぼLOD(あるいは新LOD)に背面するようにします。続くターニング・ロック・トゥ・ライトは上述の説明通り、右回転が継続します。

◆以前のテキストではオーバーターンド・ターニング・ロック(Overturned Turning Lock)となっていました。また、ターニング・ロック・トゥ・ライトの名称が出たためか、ガイ・ハワード氏のテキストでは、ターニング・ロックの基本形をターニング・ロック・トゥ・レフトと改めています。

 

 

289 ターン(Turn)
回転、あるいは回転すること。ローテーション(Rotation)と言うこともあります。

◆ブライアン・ワトソン氏は彼のラテンのレッスンの中でローテーションの仲間として、フット・ローテーション、レッグ・ローテーション、ボディ・ローテーション、ヘッド・ローテーション、そして、二人が回るカップル・ローテーションや、二人が離れて別々の回転を起こす振り付けに依存したコリオグラフト・ローテーション(Choreographed ~)などを挙げています。

★上半身を使った回転と下半身を使った回転があり、この二つの回転ブロックは決して同時に回転しません。どちらを先に使うかは個人の問題ですが、男性と手を繋いで踊る場合、この選択肢は消え上半身が先に回転します。(カルメン LA)

★ローテーションで私がイメージしているのは、靴の中の足を感じ床から回転を起こす、そんな感じです。つまり、靴の中の足を回すと、それに対してホディがリアクションします。靴を回すのではありません。腰でもありません。靴の中の足の回転を感じるとボディがリアクションし、靴の中の回転をする程に上半身に溶け込んでいきます。(M.ヒルトン ST)

★私はローテーションやスウェイの変化が男性から伝わってくるのを感じることができます。いわば、私は男性のボディの延長部分となるわけです。(ロレイン ST)

★ビル&ボビーにとり、回転とは頭の下で、自分の脊椎の周りを回っていくだけ、と言う大変シンプルなことでした。もし、頭が回転そのものの一部であるなら、体全体に影響を与えてしまうことでしょう。(オリバー ST)

 

290 ダイアゴナル・ワルツ(Diagonal Waltz
ダイアゴナルは「斜めに」の意味の英語で、現在私達が踊っているワルツの原型。例えば、ナチュラル・ターンは壁斜めに始めて中央斜めに終わり、全体で3/4回転しますが、これ以前のワルツはラウンド・ワルツ(Round Waltz)と言って、ナチュラル・ターンでもリバース・ターンでも1回転していました。

◆「1922年の世界大会で優勝したビクター・シルベスター&フィリス・クラーク(Victor Silvester and Phyllis Clark)組が踊っていたのはラウンド・ワルツで、リバース・ターンしか使っていなかった。それを見たジョセフィン・ブラッドリーは日記の中で、どうしてナチュラル・ターンをしないのだろうと書き残している。しかし、1924年の大会で優勝したマクスウェル・スチュワートとバーバラ・マイルズ組(Maxwell Stewart and Barbara Miles)もラウンド・ワルツを踊っていたが、ジョセフィンは『素晴らしかった!』と書いている。なぜなら、このときのスチュワート組は自ら考案したダブル・リバース・スピンを踊っており、彼らは4回連続して使っていた」と、ビル・アービン氏が2006年のBDFコングレスで話しています。一方、(SBPD)には、「ビクター・シルベスターは、(1回転する)ナチュラルとリバース・ターンをチェンジ・ステップでつなぐルーティンを考案し、世界大会で使ったと当時の “The Dancing Times” で語っている」と書いてあります。

★ラウンド・ワルツをつまらないと感じていたジョセフィン・ブラッドリーは1926年、もう少しシェイプのある形を考えてアレック・ミラー&フィリス・ヘイラー(Alec Millar and Phyllis Haylor)に教えたのがダイアゴナル・ワルツでした。ルーティンは壁斜めにチェンジ・ステップ ~ ナチュラル・ターン ~ (中央斜めに)チェンジ・ステップ ~ リバース・ターンで、二人はこれを使って翌年1927年のデイリー・スケッチ杯で優勝しました。(ビル・アービン)

★ジョセフィンの生徒にアレック・ミラーとフィリス・ヘイラーがいました。ジョセフィンは二人を使って左回転だけではなく、右回転もあるワルツを試したのです。この新しいワルツは部屋の斜め方向(ダイアゴナル)に進むものでした。壁斜めに踊り始め、2小節使って右に3/4回転し中央斜めに終わりました。そこからクローズド・チェンジを使い、今度は左に3/4回転してクローズド・チェンジに続けます。そして、再び壁斜めに踊り始めるのです。このワルツにはある重要な動きが含まれています。それは、一人がパートナーを通り越す、あるいは、パートナーをやり過ごすようにすることです。当時としては奇抜なこの考え方は、ボールルーム・ダンスに革命を起こしました。ゆるやかなライズを伴う横へのスイングが生まれたのです。(オリバー)

 

 

291 ダイブ(Dive) 【LA
「潜る、急降下する」意味の英語です。サルサやジャイブなどに使われる動作です。

 

292 タイム(Time
4/4拍子とか3/4拍子などのような「拍子」を表し、この拍子記号をタイム・シグネチャア(Time Signature)と言います。

 

293 タイム・ステップ(Time Step)【C
チャチャチャの基本フィガーのひとつで、IDTAとISTDのテキストではステップが異なります。

IDTAの男性のステップは、右足を横に(1) → 左足を閉 じる(2) → 右足に踏み替え(3) → 左へのシャッセ(4&1)→ 右足を閉じ る(2) → 左足踏み替え(3) → 右へのシャッセ(4&1)で1セットになっていますが、ISTDでは、まず、左足と右足のタイム・ステップに分かれています。そして、「左足のタイム・ステップ」では、左足を右足後ろにキューバン・クロス(2) → 右足に体重を戻す(3) → 左へのシャッセ(4&1)。「右足のタイム・ステップ」では、右足を左足後ろに(2) → 左足に体重を戻す(3) → 右へのシャッセ(4&1)、となっています。

◆この場合のタイムは「タイミングを合わせる、リズムに合わせる」の意味で、正確なリズムが取れるようにとの考えから開発されたフィガーとテキストに書かれています。

◆タップ・ダンスにも同名のステップがあります。かつての偉大なタップ・ダンサーたちは、自分独自のタイム・ステップを持っており、そのリズムを刻むことにより楽団に自分の踊りやすいテンポを伝えたということです。

 

 

294 ダイレクション(Direction
方向、進行方向のこと。ディレクションとも言います。

 

295 ダウン(Down
到達した低い位置を維持すること(しかし、ロアーで到達できる一番低い所よりは高い位置です)。例えば、ワルツのナチュラル・スピン・ターンでは4~5の始めまでの動き(ピボットの状態)がダウンにあたりますが、同じワルツのナチュラル・ターンの4の終わりほど低くなりません。ロアーと同義で使われることもあります。➡593 ライズ&フォール

 

296 ダウンスイング(Downswing)【ST
高いところから低い所に向けてのスイング。反対はアップスイング。

★ビルは、ムーブメントの特性はこのダウンスイングから生み出され、正しい方法と正しいタイミングでダウンスイングが行なわれれば、その当然の結果としてアップスイングは起こる、という考えを持っていました。(オリバー)

 

 

297 タキシード(Tuxedo)と燕尾服(Swallowtail
タキシード(Tuxedo)は男子の夜会用略式礼服。黒蝶ネクタイをつけることからブラック・タイと呼ばれることもあります。英国ではディナー・ジャケットと言います。一方、燕尾服は男子の夜用正式礼服。上着の背の裾が長くツバメの尻尾のようになっており、スワローテール、ドレス・スーツ、テールコート等ともいわれます。白蝶ネクタイをつけることから、ホワイト・タイと言うこともあります。

◆タキシードの語源を調べてみました。「1886年、ニューヨーク市タキシード公園にあるカントリークラブで初めて使われた準正式礼服のこと。北米インディアンのアルゴンキアン族はニューヨーク地方の狼をタキシットと呼びました。これは「丸足」と言う意味で、この地方の狼がすぐに降伏してしまうことをほのめかす軽蔑した呼び方でした。グリズウォルド家は借金の肩代わりとしてその地を入手してから、そこに住む狼はタキシード、そこの湖はタキシード湖となりました。グリズウォルド家は会員制の『タキシード・クラブ』を創設し、1880年代後半、ロリラード・グリズウォルド(Lorillard Griswold)氏が尻尾のないディナー・ジャケット姿で現れたのが今のタキシードになりました。今日でもタキシードを着ている人を「ウルフ(狼)」と呼ぶことがあるのは、そのためです」(Etymology)

★もしかすると私は、ラテンのプロでディナー・ジャケットを着た最後のチャンピオンだったかもしれません。それにしても動きにくかったですよ。動きは制限されて汚くなってしまいますしね。ウルフガング・オピツ(Wolfgang Opits)がキャット・スーツ(Catsuit)を着始めたときは嬉しかったですね。本当に大きな違いでしたから。(R.トラウツ)

 

 

298 ダック(Duck) 【LA
サルサやラテン・ダンスで使うアクションで、頭を、肩に置かれた女性の手の下を通すアクションのこと。英語の意味は「ひょいとかがむ、ひょいと頭を引っ込める」などがあります。ダックは「水に潜る」が原義。アヒルやカモは英語でダック。水に潜るところからそう呼ばれています。

 

299 タップ(Tap
体重を乗せずボール、あるいはトウを“ちょん”と置く、あるいは、軽くプレスする動作。タンゴのプロムナード・リンクの3歩目はタップです。英語の意味は「(肩などを)軽くたたく、(杖などで)床をコツコツ打つこと」。

 

300 ダブル・ウィスク(Double Whisk)【W/T
通常のウィスクからレフト・ウィスクを踊る踊り方。後続にツイストや、ワルツの場合は、右へのシャッセなどを使います。

 

301 ダブル・ウィング(Double Wing)【W
ダブル・ウィスクのようにウィングを左右へ2度踊るのではなく、女性が男性の左外側に1&2&3と5歩ステップします。➡054 ウィング

◆ポピュラー・バリエーション集に出ている踊り方:(LODに沿ってPPで終わったところから)男性は左足に体重を残したままボールで左に3/4回転(足はほとんどフラット)しながら、右足を左足後ろにクロスします。このときの男性の右足のカウントは(1&2)。(3)で後ろの右足に体重を移し逆壁斜めに面します。この間女性は左足から(1&2&3)と5歩(1歩目はH、その後はTで)、男性の左アウトサイドに回り込み、ウィングと同じ終わり方をします。これがダブル・ウィングです。続いて男性は逆壁斜めに左スウェイをかけて女性の左アウトサイドに左足前進 ~ 左回転しながらトウに上がり右足を左足後ろにクロスして壁斜めに面し ~ 左足を横少し前にステップ。壁斜めにナチュラル系フィガーに続けます。

 

 

302 ダブル・エロス・ライン(Double Eros Line)【ST】
男性は左足で、女性は右足で同時にエロス・ラインを作ります。よく見かけるのはスピンの最後から入る形です。➡431 ピクチャー・ステップ

 

303 ダブル・リバース・ウィング (Double Reverse Wing)【F】
ダブル・リバース・スピンの最後に女性をウィングの形に持っていく踊り方。➡054 ウィング

◆ポピュラー・バリエーション集にはフェザー・ステップ ~ ダブル・リバース・ウィングを踊り、そこからリバース・ウェイブやウィーブに抜ける踊り方が紹介されています。ワルツへの応用も可能です。

 

 

304 ダブル・リバース・スピン(Double Reverse Spin)【W/Q】
ワルツやクイックステップの基本フィガーのひとつで、マクスウェル・スチュワートが考案しました。

◆現代のテキストにおけるダブル・リバース・スピンのライズ&フォールは、男性は「1の終わりでライズ、2~3はアップ、3の終わりでロアー」、女性は「1の終わりで僅かにライズ(NFR)、2はライズ継続、3~4でアップ、4の終わりでロアー」ですが1930年代のヘンリー・ジェイクス氏やビクター・シルベスター氏のテキストを読むと、男女とも「2の終わりでライズ」となっています。また、NFRの用語が出ていない点も興味深いです。

★ジョセフィン・ブラッドリーの日記によると、1924年にマクスウェル・スチュワート&パット・サイクス組はドラマチックなスピンをする新しいフィガーでワルツを華やかなものにしましたが、そのフィガーこそが、ダブル・リバース・スピンでした。ダブル・リバース・スピンの「ダブル」は、二人が観衆やジャッジの目を引くために、いつでも2回繰り返して踊っていたところからつけられたものです。当初は4回も繰り返して踊っていました!(オリバー)

 

 

<ダブル・リバース・スピン>への旅     Column

 

私たち夫婦の愛読書に『ボールルーム・ダンシング』(アレックス・ムーア著)(1)というダンスの本があります。その本のダブル・リバース・スピンのページを開くと、そこにはこう書かれています ― 「このフィガーの名前は誤ってつけられている。なぜならスピンはしないし、2回踊ることもしないから」(2)、と……。

 

いったいこの魅力あふれるフィガーは、いつ誰によって創り出され、そしてその人はどうしてこのように誤解される名前をつけたのでしょう。『ボールルーム・ダンシング』の出合いと共に、そんな疑問の旅が始まりました。

 

答えの見つからないまま、それから十数年が経ちました。そんなある日、たまたま『フィリス・ヘイラーとボールルーム・ダンスの世界』(ブライアン・アレン著)(3)という本を拾い読みしていると、その中にダブル・リバース・スピンについての一節がありました。実はこの本のフィリス・ヘイラーさんは、妻がイギリスで通っていたダンス教室のオーナーだった方なので、思い出にその本をロンドンから取り寄せ、本箱に飾ってあったのでした。長い間開くこともなかったその本にはこう書いてありました ― 「このフィガーはマクスウェル・スチュワートによって考案され、偶然か彼はいつも続けて2度踊っていました」。(4)

 

「マクスウェル・スチュワートって誰? 彼は2度連続して踊るために“ダブル”を名称に加えたのだろうか。なぜスピンではないステップに“スピン”の名をつけたのだろう」 ― 新たな疑問が沸いてきましたが、その日は考案者の名を発見しただけで大満足でした。数日後、『カム・ダンシング』(フランク&ペギー・スペンサー著)(5)と言う本で調べて見ますと、マクスウェル・スチュワートは1931年、ブラックプールでのブリティッシュ・プロフェッショナルのチャンピオンだったことがわかりました。ダブル・リバース・スピンは私たちが生まれるずーっと以前に、一人の英国チャンピオンによって生み出されていたのです。

 

ところで、本当に彼は2度連続して踊るためにその名をつけたのでしょうか。その答えは『カム・ダンシング』では見つけることができませんでした。面白いことに、マクスウェル・スチュワートと同時代を生き、1922年の世界チャンピオンだった、ビクター・シルベスター氏は、後に著した『モダン・ボールルーム・ダンシング』(6)の教本の中で、「ダブル・リバース・スピンと言いますが、2度踊らなければならない訳ではなく、通常1度に1回しか使われません」(7)と、このフィガー名を暗に否定しているようでもあり、また、肯定しているともとれる説明を残していますが、マクスウェル・スチュワートが連続して使ったことには触れていないのです。しかし、ついに納得できる説明に巡り会うときが来ました。最近取り寄せた『現代クイックステップ技術の分析』(ケン・アクリル氏著)(8)の中で、思いもかけずダブル・リバース・スピンの説明に遭遇したのです。彼の説明はこうです。

 

「このフィガーはダブルで踊るところがなく、誤った名がつけられたとしばしば言われる。しかし、もし左への基本回転量が(ひとつのフィガー全体で)3/4回転と考えると、そしてダブル・リバース・スピンがシャッセ・リバース,ターンの1~3の代わりに使われたとすると(前半の)3歩間に2倍の回転量が踊られることになる~通常3/8回転のところを~。また、男性の3歩目は体重をかけず足を(2歩目の足に)閉じるが、それゆえに一種のオープン・ターンと考えられ、それはナチュラル・スピンの反対に当たる。ダブル・リバース・スピンの名はそうしてつけられたのだろう」(9)

 

実際に回転量を比較すると、確かにシャッセ・リバース・ターンの2倍の回転量が3歩の間に得られているのがわかります。それでアクリル氏は、「ダブル」は回転量からきたと言うのです。

 

この説明に私はやっと尋ね人が見つかったような嬉しさで一杯になりました。そして長かった旅にやっと終止符が打てると思ったのです。

 

ところで皆さんの中に、こんなことを考えている人はいませんか?「回転量が2倍なのでダブルなのは理解できた。しかし、リバース・スピンの反対のナチュラル・スピンと言うフィガーは聞いたことがない!」と。私もナチュラル・ピボット・ターンやナチュラル・スピン・ターンは知っていますが、ナチユラル・スピンと言うフィガーは知りません。そうした質問を予期していたかのように、アクリル氏はナチュラル・ピボット・ターンの項でその説明をしています。

 

「教師試験を受ける人達がしばしば当惑するのは、ナチュラル・ピボット・ターンの後続フィガーにナチュラル・スピン・ターンの5~6が出てくることです。受験者たちは、それだと、そのフィガーはナチュラル・スピン・ターンになってしまうではないかと反論します。ナチュラル・スピンはかつて2歩から成り立つ単独フィガーだったのですが、今日の受験者はナチュラル・スピン・ターンの一部としてしか知らないのです。実は、ナチュラル・スピン・ターンはナチュラル・ターンの1~3、ナチュラル・ピボット、そしてナチュラル・スピンから構成されているのです」。(10)と。

 

後日、このフィガーは最初、「マクスウェル・スチュワート・スピン」と呼ばれていたことを知るのでした。 おわり

 

(記)(1)~(10)には原文を掲載しました。

(1)‌ ‌ Ballroom‌ Dancing‌ by‌ Alex‌ Moore

(2)‌‌  “The‌ figure‌ is‌ rather‌ misnamed‌ as‌ it‌ is‌ not‌ a‌ spin,‌nor‌ is‌ it‌ necessary‌ to‌ dance it‌ twice.”‌–‌P‌133‌ of‌ Eighth‌ Edition,‌1974

(3)‌ ‌THE‌ WORLD‌ OF‌ PHILLIS‌ HAYLOR‌ AND‌ BALLROOM‌ DANCING‌ by‌ Bryan‌ Allen

(4)‌ ‌ “The‌ figure‌ was‌ originated‌ by‌ Maxwell‌ Stewart‌ who‌ -‌ as‌ it‌ happened‌ -‌ always‌ danced‌ it‌ twice‌ consecutively”‌ -‌ P‌136

(5)‌ ‌ COME‌ DANCING‌ by‌ Frank‌ &‌ Peggy‌ Spencer,‌ P‌175

(6)‌ ‌ Victor‌ Silvester‌ MODERN‌ BALLROOM‌ DANCING‌ by‌ Stanley‌ Paul,‌ Revision‌ edition‌ 1990

(7)‌ ‌‌ “Although‌ called‌ the‌ Double‌ Reverse‌ Spin,‌ this‌ does‌ not‌ signify‌ that‌ it‌ must‌ be‌ used‌ twice.”‌-‌ P‌100

(8)‌ ‌ AN‌ALYSIS‌ OF‌ THE‌ MODERN‌ QUICKSTEP‌ TECHNIQUE‌ TO‌ ASSOCIATE‌ LEVEL‌ by‌ Ken‌ Akrill

(9)‌  ‌“Often‌ said‌ that‌ the figure‌ is‌ wrongly‌ named‌ as‌ there‌ is‌ nothing‌ double‌ about‌ it.‌ If‌ we‌ consider‌ that‌ a‌ basic‌ turn‌ to‌ the‌ L‌ is‌ a‌ 3/4‌ turn‌ and‌ the‌ Double‌ Reverse‌ Spin‌ was‌ danced‌ as‌ an‌ alternative‌ to‌ steps‌ 1 – 3‌ of‌ the‌ Chasse‌ Reverse‌ Turn,‌ then‌ double‌ the‌ amount‌ of‌ turn‌ would‌ be‌ danced‌ over‌ the‌ 3‌ foot‌ positions‌ (which‌ would‌ normally‌ be‌ 3/8).‌ Step‌ 3‌ as‌ man‌ closes‌ without‌ weight‌ and‌ be cause‌ of‌ this‌ it‌ could‌ be‌ considered‌ as‌ an‌ Open‌ Turn.‌This‌ is‌ probably‌ why‌ it‌ was‌ named‌ a‌ Reverse‌ Spin‌ with‌ it‌ being‌ the‌ opposite‌ to‌ a‌ ‘Natural‌ Spin.”‌-‌ P117

 (10)‌  “The‌ Natural‌ Pivot‌ Turn‌…‌Often‌ puzzles‌ the‌ candidate‌ when‌ studying‌ the‌ follows‌ when‌ reading,‌ ‘follow‌ with‌ steps‌ 5 – 6‌ of‌ the‌ Natural‌ Turn’.‌ They‌ argue‌ that‌ the‌ figure‌ is‌ now‌ a‌ Natural‌ Spin‌ Turn‌ and‌ not‌ the‌ Natural‌ Pivot‌ Turn.‌ The‌ Natural‌ Spin,‌ a‌ figure‌ consisting‌ of‌ 2‌ steps‌ use‌ to‌ be‌ a‌ figure‌ in‌ its‌ own‌ right.‌ But‌ today‌ candidates‌ only‌ know‌ the‌ figure‌ as‌ part‌ of‌ the‌ Natural‌ Spin‌ Turn‌ (which‌ is‌ a‌ composite‌ figure‌ consisting‌ of,‌1 – 3‌ Natural‌ Turn,‌ a‌ Natural‌ Pivot‌ and‌ a‌ Natural‌ Spin).”‌ -‌P.89

 

*‌‌‌このコラムは平成14年発行の『サークルで上達するボールルーム・ダンス』‌に記載したものを一部変更したものです。*‌‌このコラムでは筆者がケン・アクリル氏の説明に納得したというだけで、他の由来の説を否定するものではありません。

 

 

305 タンゴ(Tango
音楽は歯切れの良い4/4拍子、または2/4拍子で、1分間に33小節くらいのテンポで演奏されます。基本のリズムは(QQS)。ワルツ同様に人気の高い踊りで、アルゼンチン・タンゴと区別する意味で「コンチネンタル・タンゴ」とも言われています。ここでのコンチネンタルとはヨーロッパ大陸を指し、荒削りのアルゼンチン・タンゴがこの大陸で洗練された形となり、再び世界に広まっていきました。タンゴが初めてヨーロッパで踊られたのは第1次世界大戦以前のことで、当時のテンポは1分間に36小節でした。

★アルゼンチンのブエノス・アイレスの貧民街で生まれたタンゴは、当初バイル・コン・コルテ(Baile con corte = 静止の入った踊り)の名で知られました。これに、ブエノス・アイレスのしゃれ男たちは二つの変更を行ないました。ひとつは、当時用いられていたポルカ・リズムと呼ばれた音楽をハバネラに変え、もうひとつは、踊りそのものをタンゴと呼ぶことにしたのです。1900年以降になると、アルゼンチンからアマチュアのダンサーたちがパリを訪れ、タンゴを知ってもらおうと努めましたが、南国が持つ官能的な踊りは風変わりすぎ、ヨーロッパの上流階級には受け入れられませんでした。しかし、ヨーロッパの地方で踊られ続けたタンゴは徐々に広がり、フランスのリビエラのダンス競技会で行なわれたタンゴの愛好家たちによるデモが素晴らしかったため、たちまちパリ中に知れ渡り、そこから全ヨーロッパに広まったのでした。1922年、ダンシング・タイムズの呼びかけでタンゴの会議が行なわれ、新しい音楽のみを使うこと、最適テンポは1分間に30小節、また、足は真っすぐにしトウを外へ向けないことなどが合意されました。この時期からイギリスにおけるタンゴは安定期に入りました。(MBD)

◆(SBPD)には、「1936年、ブラックプールの全英アマチュア選手権でドイツのカップル、フレッディ・キャンプ&A.パスカル(Freddie Camp & A. Pasqual)組がスタッカートの効いたタンゴを踊り、観衆に衝撃を与えました。ヘンリー・ジェイクス(Henry Jacques)は直ちにこの踊り方を研究し、その後の踊り方が塗り替わりました」と書いてあります。一方、ヘンリー・ジェイクス氏は、彼の本“MODERN BALLROOM DANCING”の中で、1934~35年、英国に新しいスタイルのタンゴが紹介されたこと、1935年の全英選手権で彼がプロのダンサーとして新しいスタイルを紹介したことを述べています。

◆タンゴのステップは少し足を持ち上げるように行ないますが、これについての説明を(Theory)の中に見つけました。「足は少し持ち上げてステップする。膝も少し緩めて使います。なぜならすべてのステップは歩くときと同じようにするからです。歩幅を伸ばすときは当然ながら膝を更に緩めて使います」。

★タンゴはパワーと攻撃性と情感溢れるダンスですが、これらの情感やエネルギー溢れるパワーは解放してあげなければなりません。それらにしがみついてはいけないのです。同時に、攻撃性を女性に向けてはいけません。もしそうしてしまうと、女性はバランスを崩し動きが固くなり、私をフォローすることができなくなってしまうでしょう。解放する空間は、彼女の4つのスペース(頭部を中心とした両腕の上に広がる二つのスペースとボディを中心とした両腕の下に広がる二つのスペース)と私の4つのスペースです。(L.バリッキ)

★ダンスの歴史における先駆者たちは常にタンゴに新しい様式をもたらし、発展に寄与してきました。そうした人たちの中で、最初に挙げるべき人物は、当然、レン・スクリブナーでしょう。なぜなら、1950年代以後のタンゴの形は、基本的には彼が創り上げたものだからです。(オリバー)

★タンゴの雰囲気とは「動物的」な動きであって、スタッカート・アクションがあっても「機械的」な動きになってはいけません。したがって、この踊りにはゆったりした動きと力強さの両方が必要なのですが、残念ながら今日の踊りの中から、そーっと動く動きが見られなくなり、本当にトップの数カップルだけが真のタンゴの雰囲気を捉えているに過ぎません。曲のテンポを少し落とすと、タンゴの雰囲気とドラマ性を取り戻すことができ、そうなれば、ウォークはもっと頻繁に使われることでしょう。(L.スクリブナー)

 

 

★タンゴに関する質問あれこれ         Column

英国のサイト(Dancesport‌UK)にタンゴに関するおもしろい質問と回答を見つけました。皆さんの興味も引くと思い、抜粋翻訳してみました。

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質問1. なぜ、他のスイング・ダンスと異なり、足をずらすのですか?
質問2. なぜ、膝を緩めて踊るのですか?
質問3.‌ ‌なぜ、女性の左手の指4本は閉じ、親指が男性の腕の下にいくのですか?
質問4. なぜ、男性の右腕は女性の背骨を斜めに越えていくのですか?

 

タンゴの歴史を見ると、よく聞かされるように、アルゼンチンの売春宿でタンゴは起こりました ― そうしたにぎやかな場所で有名だったブエノス・アイレスには、そこで働く女性たちとお付き合いしにカウボーイたちが(そう呼ぶのが正しいかどうか分かりませんが)やってきました。それは、ロマンチックで、誘惑的で、セクシーな狂想曲だったことでしょう。混雑したクラブに踊るスペースはほとんどなく、時に人々はテーブルの上でも踊った程でしたので、ホールドはピッタリしたものになりました。多くの右利きの男性にとって、女性を自分の右に持ってくるのは自然なことなので、(狭い所で踊ると)自ずと男性の右手は女性の背骨を越えていきます(質問4の回答)。

 

そうなると、女性の左手は男性の右腕に巻きつきますから、優雅に見せるために指を揃え、掌は下に向け、親指はくっつけないようにしたのでしょう(質問3の回答)。

 

男性は女性の体を感じてリードしようと身を屈め、膝を曲げ、両脚の間に女性の右足を置き、ちょっと挟むようにしたのでしょう(質問2の回答)。

 

フォローする女性は、男性の右脚にブロックされながら男性の右側に立つようになりました。多くの右回転がプロムナード・ポジションから行なわれるのは、そのためです。このおかしなホールドにより、足の位置をずらして立つ典型的な形が形成されたのでしょう(質問1の回答)。

 

文明世界から軽蔑されたこのダンスの歴史を紐解くと、タンゴに関する他の点についても説明できることでしょう。

 

~~~~~

 

(質問3)に関する私見ですが、アルゼンチン・タンゴでは女性の左手は男性の右肩付近にありますし、1920年代後半に英国で撮影されたマクスウェル・スチュワート&バーバラ・マイルズ組のタンゴの映像も同様でした。しかし、1930年半ばからの映像では現在のホールドの形になっていますので、現在のホールドは英国で形成されたものではないかと考えています。

 

 

【2022/03/09 追記】タンゴ・ホールド(Tango Hold)
  G073 タンゴ・ホールドについて調べた事

 

306 タンゴ・ポジション(Tango Position)【T
タンゴで足を閉じたときの形で、右足トウが左足の土踏まず辺りまで引いた形のこと。この形は両足を揃えたところから左へ1/8回転すると作ることができます。

 

307 ダンシング・タイムズ(Dancing Times
1894年創刊のダンスを記事とする最古の月刊誌。

 

308 ダンススポーツ(DanceSport
スタンダード、ラテン・アメリカン、テン・ダンスの3競技を指し、ソシアル・ダンスと区別しています。

 

309 タンデム・ポジション(Tandem Position)【LA
男性が女性の真後ろに来る形。女性が男性の後ろに来ることもあります。タンデムは「縦並び2頭立て2輪馬車、タンデム車」の意味の英語。二人でこぐ自転車もタンデム車です。

 

310 タンブル・ターン(Tumble Turn)【F/W/Q
4歩構成のフィガーで(ワルツの場合のカウントは(12&3)。➡200 シャッセ・ロール

◆シャッセ・ロールによく似ていますが、違いは、シャッセ・ロールでは3歩目を揃えますが、タンブル・ターンでは男性の3歩目右足は左足を越えて出ていきます。「タンブル」は英語で「宙返り、とんぼ返り、転がり落ちる」の意味です。

 

 

311 チーキー(Cheeky)【LA
チャチャチャの特徴の説明の中に、この言葉を耳にすることがよくあります。英語の意味は「厚かましい、生意気な、ずうずうしい」ですが、チャチャチャで使われる場合は否定的な意味合いはなく、「親しい感じや、いたずらっぽさ」の雰囲気があります。

◆チーキーは「ほっぺ」のチークから派生した単語です。日本語でも厚かましい人を「厚顔の~、面の皮が厚い」と表現しますが、英語の発想も同じなのですね。また、日本語で「お尻のほっぺ」などと表現することがありますが、英語でも同じくチークで表わすこともあります。

 

 

★チャールズ・コクラン(Charles B. Cochran 1872-195)《用語集に収録されていない情報です》
プロデューサー。多くの卓越したミュージカル・コメディアンを見出し、プロモートした。(http://www.musicals101.com) 

 

★チャビー・チェッカー(Chubby Checker)《用語集に収録されていない情報です》
60年代に新種のダンス、”ツイスト”を世界中で流行らせた張本人。ブームの火点け役となった「The Twist」(60年)を始め、「Let’s Twist Again」「Twistin’ USA」「Slow Twistin’」などなど、ヒット作はほとんど”ツイスト”尽くし。ツイスト物の映画も2本撮っているというから、いかにその人気が凄まじかったか想像できるだろう。(http://music.goo.ne.jp/artist/)

 

 

312 チェア(Chair)【ST】
PPから内側の足を出してチェックする形。背もたれの真っすぐな椅子そのものに見えるところからこの名がついたと思われます。チェアで女性はネックを左へ返すことがあります。➡431 ピクチャー・ステップ

★もともとのチェアは、PPから、女性が内側の足をステップしてスイブル、そして、アウトサイドに出てから再びスイブルと、二回スイブルを踊っていました。このアクションはとても速く、ほとんどの人がそのスピードについて行けなかったので、ゆっくり踊れるような形に発展させ、ラインを強調したのがウィップラッシュとなりました。(R.グリーブ)

 

 

313 チェイサー(Chaser
音楽の最後で一度終了したと見せかけて再び流す音の部分で、デモの曲によく使われます。

 

314 チェイス(Chase)【T
PPから始めPPで終わる6歩で構成されるタンゴの基本フィガーのひとつ。チェイスは追いかける様を表わす英語でカー・チェイスのチェイスも同じ。

◆時に「チェス(Chess)」と言う人がいますが、それは西洋将棋のことです。また、チェイスからシャッセ ~ リンクにつなげる踊り方がポピュラーですが、これはチェイスの5歩目からシャッセに入っているのであって、チェイスとしてのひとつのフィガーではありません。

◆マンボのチェイスはライト・ハーフ・ターンとも呼ばれていますが、前半は右半回転(ライト・ハーフ)ですが後半は左回転です。

★タンゴのチェイスは色々なバリエーションがありますが、基本形はヘンリー・キングストンとジョイ・トルハースト(Henry Kingston & Joy Tolhurst)が考案したと思います。(P.ヘイラー)

 

 

315 チェック(Check
ある方向へステップしてから元の足に体重を戻す動きのこと。

 

316 チェック・フロム・オープン・シー・ピー・ピー(Check from Open CPP)【R/C
ルンバのニュー・ヨーク1~3歩目のように、片手のホールドでカウンター・プロムナード・ポジション(CPP)にステップしてからチェックする動作のこと。一方、ルンバのニュー・ヨークの4~6歩目のように、片手のホールドでPPにステップしてからチェックする動作のことをチェック・フロム・オープン・ピー・ピーと言います。

 

 317 チェックト・アクション(Checked Action)【LA
前後、あるいは横にステップしつつも、元の足に戻ろうとする切り替えしの動きのこと。クカラーチャや男性アレマーナの前半の動きなどもチェックト・アクションに含まれます。

 

318 チェックト・フェザー(Checked Feather)【F
男性がフェザー・ステップの3歩目右足でチェックし、次に左足にバックする際女性にスイブルさせる踊り方。スイブルのときに右回転を加えることもできます。続くフィガーにはPPから入ります。➡452 フェザー

 

319 チェックト・フォワードバックワード・ウォーク(Checked Forward/Backward Walk)【R
チェックト・アクションのひとつで、前進(後退)から元の足に戻る動きのこと。ルンバのニュー・ヨークの1~2歩目はチェックト・フォワード・ウォークのひとつですし、ハンド・トゥ・ハンドの1~2歩目はチェックト・バックワード・ウォークのひとつです。

 

320 チェックト・リバース・ターン(Checked Reverse Turn)【ST
ポピュラー・バリエーション集のスロー・フォックストロットでは、リバース・ターンの最終歩で男性が逆壁斜めにアウトサイド・パートナーで終わる踊り方が、また、ワルツではチェックト・リバースとしてリバース・ターン2歩目でチェックする方法が紹介されています。

 

321 チェンジ・オブ・ダイレクション(Change of Direction)【F/Q/W
3歩で構成され、左回転して方向転換に使われるフォックストロットなどで使われる基本フィガーのひとつ。回転量は基本の1/4回転から最大1/2回転まででき、その間ライズはありません。また、1歩目での回転はありません。最近はタンゴでも使われ始めています。チェンジ・オブ・ディレクションとも言います。

◆男性は1歩目左足で回転を開始しようと思うと、女性がヒール・ターンと間違うことがあります。1歩目はウォークし、2歩目を振り出してから回転すると考えると良いようです。ケン・アクリル氏のテキストには「このフィガーの原型は2歩構成で、右足前進から始まっていました。(今の)2歩目の置き方が変則的なのもこれで納得できることでしょう」とありました。それを実感する方法として、例えば先行フィガーのリバース・ターンを7歩構成(男性は左足Sから始め左足Sで終わる)と考えて踊ってみると良いかもしれないと思いました。

★このフィガーはG.K.アンダーソンが1920年に紹介しました。(DanceSport)

 

 

322 チェンジ・オブ・ハンド・ビハインド・バック(Change of Hands Behind Back)【J
ジャイブの基本フィガーのひとつ。「(男性の)背中の後ろで手を持ち替える」と言う意味で、単に「チェンジ・オブ・ハンド」とも言います。手を持ち替えない踊り方もあります。

 

323 チェンジ・オブ・プレイス(Change of Place)【J
ジャイブの基本フィガーのひとつ。フィガー名は「場所交代、場所の移動」の意味で、女性が男性の「右から左」と「左から右」へ移動する2種類があります。チェンジ・オブ・プレイスィズと複数形で表記することもあります。

★アメリカでの元の名前は「タック・イン・ステップ(Tuck-in Step)」でした。(Concise)

 

 

324 チキン・ウォーク(Chicken Walks)【J
ジャイブの基本フィガーのひとつ。チキンには「ひよこ」の他、「臆病者、青二才」の意味もあります。男性は後退し女性が前進するフィガーで、ひよこがお尻を振って歩くようにも見えますし、臆病者の引け腰にも見えます。

◆サンバのプレイトと似た感じがしますが、テキストを読むと微妙な違いが両者にあり、さらにISTDとIDTAのテキストでは異なる説明がされています。ただ、両テキストに共通する二つのフィガー間の大きな違いはカウントで、プレイトは(SSQQQS)が1セットで、チキン・ウォークは(SSSS)が1セットです。注:ISTDのテキストでは、男性(QQQQ)、女性は半カウントずつ(QaQaQaQ)と記載されています。

 

 

325 チャールストン(Charleston
踊りのひとつで、アフリカのシャンテ族が作ったと考えられています。また、一連のステップは南カリフォルニア、チャールストン近くの小さな島に住んでいたアフリカ系アメリカ人が考案したと考えられています。(Street)

 

326 チャギング(Chugging)【J
ポピュラー・バリエーション集(ラテン)とISTD教本で紹介されているフィガー。チャグ(Chug)には英語で汽車の「シュシュポッポ」と言う音や「一気飲み」などの意味があります。

 

327 チャチャチャ(Cha Cha Cha
ラテン種目のひとつ。チャチャとかトリプル・マンボと呼ぶこともあります。音楽は4/4拍子で1分間に30小節くらいの速さで演奏され、基本のリズムは、(234&1、234&1)で1にアクセントがあります。ルンバと同じステップを共通して使うことができますが、ルンバが1小節に3歩踏む所、チャチャチャでは5歩踏み、明るく遊び心に溢れた踊りをします。

★この踊りはムシュー・ピエール(Monsieur Pierre)により世界に紹介されたと言われています。彼はルンバが時折2歩余分にステップを踏んで踊られていることに気付き、1952年頃、そのアイディアをヨーロッパに持ち込んだのです。音楽としては、1948年にハバナのキューバン・ダンスバンド「アメリカ」のエンリケ・ジョリン(Enrique Jorrin)がアメリカツアーをしている間に、ダンゾン(Danzon)とモンテューノ(Montuno)の二つの音楽をミックスしたチャチャチャの音楽を完成しました。(Street)

★チャチャチャの名は西インド諸島の植物からきています。この植物はチャチャ(スペイン語で子守りのこと)と呼ばれるさや状の種を作りカタカタ音を出します。これをメトロノームのようにして使う楽団もあります。このチャチャという植物はマラカスとも呼ばれています。(Street)

★チャチャチャがルンバと完全に分類されたのは1950年半ばになってからです。(Concise)

追記 2021/11/30】ルディ・トラウツ氏(Rudi Trauz) が2021年11月29日に他界されたことを考えていると今朝早くに目が覚めたので、2010年のUKコングレスのデータを読み返しました。すると、「チャチャが正式にプロの競技種目となったのは1958年から」との一文があったので記録します。(原文)” I think it is from that competition (1958), that was the first professional competition that officially the Cha Cha Cha was included. And we won.” (from “An Audience With” 2010 UK Congress)

★チャチャチャでのエネルギーはルンバと違い1歩目にありません。その足で加速の必要がないからです。実際には3歩目で、その足は(S)なので加速できるのです。(B.ワトソン)

 

 

328 チャチャチャ・シャッセ(Cha Cha Cha Chasse)【C
チャチャチャで使われるシャッセで、前進、後退、サイドへのシャッセがあります。通常は1/2、1/2、1の長さがあります。

 

329 チャレンジ(Challenge)【P
パソ・ドブレで使われる表現で、「挑戦、挑発、対峙、攻撃」などの意味に相当します。

 

 

330 ツイスト(Twist
英語で、ねじったり、よじったりすること。「絡み付く、巻き付く感じ、足首をくじく」の意味もあります。ルンバやチャチャチャにはクローズド・ヒップ・ツイストやオープン・ヒップ・ツイストがあり、タンゴにはナチュラル・ツイスト・ターンがあります。

【追記 2010/10/21】
パソ・ドブレにもツイストがありますが、このステップは、フランス人のRoger & Micheline Ronnaux(1960年第1回世界プロ・ラテン選手権(World Professional Latin Champions / WDDSC approved)の初代チャンピオン)が考案したことを、英国のダンサーMark Parkin氏がメールで教えて下さいました。下の映像で彼らの踊る姿を見ることができます。

 

 

331 ツー・ステップ(Two-Step
ジョン・フィリップ・サウサ(John Phillip Sousa)氏が1891年に発表したワシントン・ポスト・マーチがツー・ステップの起こりです。これはバルセ・ア・デュ・テンから派生したもので、前方や横へのシャッセをスキップして踊りました。音楽は2/4か4/4拍子で基本のリズムは(QQS)。ラグタイムの台頭で踊りは衰えましたが、幾つかのパターンが今日のフォックストロットに残っています。(Street)

 

332 ディップ(Dip)【LA
サルサやラテンで使われる「頭をひょいと下げる」アクションで、多くの場合、女性の頭が後ろに反ってから元に戻ります。英語の意味は「ちょっと浸す、さっとつける」。突然女性を倒すようにするサプライズ・ディップと言うのもあります。

 

333 ティプシー(Tipsy)【Q
クイックステップの基本フィガーのひとつ。右へのティプシーと左へのティプシーがあり、(Q&Q)でシャッセします。ティプシーの意味は、千鳥足のようにふらついたり、倒れそうになったりすること。

 

334 ティプル・シャッセ(Tipple Chasse)【Q
右と左のティプル・シャッセがあり、一般にティプル・シャッセと言うと、右へのティプル・シャッセを指します。この右へのティプル・シャッセは、テキスト的には、男性左足後退(S)から右へ僅かな回転をしながらシャッセ(QQS) ~ フォワード・ロック・ステップの2~4歩(テキストにより2~5歩)までを含みます。一方、左へのティプル・シャッセは4歩で構成されており、プログレッシブ・シャッセなどの後、男性は右足をアウトサイドに前進(S)したところから右回転を加えながらシャッセ(QQS)します。そこからは、バックワード・ロック・ステップや右へのティプル・シャッセに続けます。このように、このフィガー名に付く「右」とか「左」は回転方向ではなく、男性から見た進行方向であることに注意しましょう。

◆ティプルは「深酒をする、強い酒」の意味。類似のフィガーにティプシーがありますが、ティプシーのカウントは(Q&Q)。

 

 

335 ティルト(Tilt
英語の「傾ける」の意味で、体の部位を傾けるときに使われます。チルトとも書きます。

 

336 ティルト・オーバースウェイ(Tilt Oversway)【ST

1. ガイ・ハワード氏のテキストには「ドロップ、あるいは、ティルト・オーバースウェイ」とあり、ドロップ・オーバースウェイ = ティルト・オーバースウェイとして扱われています。

2. ジェフリー・ハーン氏のテキストでは、ハイ・ホバーでスウェイをかけた形の踊り方をこう呼んでいます。

 

 

337 ディレイド・ウォーク(Delayed Walk)【LA
ルンバとチャチャチャに使われる体重移動が遅れて行なわれるウォークのことで、前進のディレイド・フォワード・ウォークと後退のディレイド・バックワード・ウォークがあります。

例えば、ルンバ・ウォークで1歩前進するときは「ステップと同時に体重移動」が行なわれますが、アレマーナの女性の4歩目は、まず足が進むべき位置をポイントし、次に前進運動をしてから体重移動が行なわれ、体重が完全に足の上に移動するタイミングがウォークのときより少し遅れます。原因は回転にあり、回転をしながら体重の移動を行なうため、ヒールへ下りる時間がかかるからです。これをディレイド・ウォークと言います。また、クローズド・ヒップ・ツイストの女性の3歩目のように、膝を立て、ボールで床をプレスしてから体重移動するのも、この仲間です。ディレイド・ウォークと言う表現はIDTAのもので、ISTDのテキストでは前者をエクステンディド(Extended)・フォワード・ウォーク、後者をプレスト(Pressed)・フォワード・ウォークの表現が使われています。

 

 

338 テキストブック(Technique Books
日本のダンス教師は英国に本拠地を持つ二つのダンス協会から発行されているテキストを使用しています。そのひとつは、英国ダンス教師協会(ISTD = Imperial Society of Teachers of Dancing)で、1904年7月25日、ロンドンのコベントガーデンにあるセシルホテルで組織されました。1906年に第1回のコングレスが開かれ、8日間に及ぶ技術研修には42名のメンバーが参加。以来今日に至るまで、1915年-1917年の戦時を除き、コングレスは開催されています。もうひとつは、国際ダンス教師協会(IDTA = International Dance Teachers Association)で、その原型は1903年、ミリタリー・ツー・ステップの編曲者だったジェームス・フィンニガン(James Finnigan)氏が中心となり、マンチェスター地方の教師達により立ち上げられたと言うことが、IDTAのホーム・ページに書かれています。

★なぜかよく分らないが、生徒たちの間にはボールルーム・ダンスの動きや原理は紙の上では十分に説明しきれないとの考えがある。会計事務、土木工事、製図などの試験を受ける人たちは皆テキストで勉強している。ましてや、テニスなどの運動専門書がベストセラーになっているのであるから、ダンスも同じようにできないはずがないではないか。(H.ジェイクス)

★テキストはガイドブックとして書かれているに過ぎないのだが、実に多くの教師たちはルールブックとして使用している。(H.ジェイクス)

★(リバイズド・テクニックをあらゆる面で称賛した上で)しかし、一部ダンサーたちの使い方には危惧している。テクニックがダンスの雇い主になってしまっているのだ。使用人ではなく。(Story)

★ビルから直接教わった人ならほとんどの人が、レッスン中に一度はビルが事務所へ行き、古いリバイズド・テクニックを手に戻ってきたと言う経験があると思います。そしてこんな風に言うのです。「これは私のバイブルだ。しかし大切なことはそこに書かれていることじゃない。大切なのは、なぜそのように書かれているかと言うことを知ることなのだ」と。(オリバー)

★テキストブックの内容は、その時代の優れたカップルたちの、しかも時の試練に耐えた彼らのダンス技術を研究して書き出されたものである。(G.ハーン)

 

 

339 デプラスマン(Deplacement)【P
ISTDのテキストに出ているパソ・ドブレの基本フィガーのひとつで、アタック(Attack)のフィガー名もついています。

◆デプラスマンの踊り方は、男性は右足前進 → 左足前進 → 左へ1/4回転して右足を横にステップ → 左足を右足に閉じる、の動きをします。この1歩目をアペルにすると「アタック」となり、IDTAのテキストと同じになります。

★仏語には幾つかの意味がありますが、このフィガーでの意味は「突然の動き」で闘牛士が牛の動きを交わして素早く横へ動くことです。(Concise)

★マタドールの前進ステップは素早い攻撃を、そして、次の横への動きは牛の攻撃をかわす所を表しています。このとき腕を下げるのは、マタドールがケープを下ろす意味です。(S.アイム)

 

 

340 デベロペー(Developé
セイム・フット・ランジに入った後で、女性が右足をキックするまでの一連の動き(ハイ・レッグ・ライン ~ ドロップ・キック)のように、片足をもう一方の足の膝のあたりまで持ち上げてから、その足を空中に伸ばす動き。仏語で「発展した」の意味があり、ルンバのナチュラル・トップで、男性が2小節目の回転をする間に女性が左へのスパイラル・ターンする踊り方もデベロペーと言います。デベロッペ、デベロペと言うこともあります。

◆Developé あるいは Developpé(いずれの場合も最後のeの上にアクサンテギュがきます)と表記します。仏語で発展形を意味し、英語の build-up, developmentに相当し、何かの形を変更したものをそう表現します。

★1961年にISTDからレクチャーの依頼を受けました。当時は現役ダンサーがスタイルや踊り方などの説明をするのはご法度で、アマルガメーションの話をするだけでしたので、私は何か違うことをしたいと思いました。そこで、バレエを観に行きました。するとバレリーナが足を上げるのを見たので、これは何かと隣の友人に尋ねると、「デベロペー」だと言うのです。そこで、当時のダンスでは両足が床についているのが当たり前でしたが、私は少し大胆に、レクチャーのアマルガメーションにセイム・フット・ランジから片足を空中に上げるデベロペーとアティチュード・ラインを取り入れることにしたのです。これは大喝采を受けました。今ではこれらの発展形をたくさん見ることができますが、始まりはこうしたちょっとしたアイディアからスタートしているのです。(ビル・アービン)

 

 

341 デモデモンストレーション(Demo/Demonstration
模範演技。

 

342 テレスイブル(Teleswivel)【ST
テレマークとスイブルが合わさった名前で、フィガーとしてはテレスピンとオーバーターンド・リバース・スイブルで構成されています。

 

【動画追記 2021/06/30】

 

343 テレスピン(Telespin)【ST
テレマークとスピンが合わさった名前。ジェフリー・ハーンのテキストではテレマーク・アクション(テレマークの3歩)とオープン・ヒール・ピボット(4歩目)、オープン・トウ・ピボット(6歩目)の6歩構成で説明されています。

★最初はダブル・テレマークとして世に紹介されました。(G.ハーン氏)

★このフィガーを始めてビクター・バレット(Victor Barrett)と踊ったとき(確かこの動きを作ったのは彼だと記憶していますが)、とても自然に踊れたのにも関わらず、二人とも、それを分析するのは驚く程難しいと感じたことを記憶しています。(P.ヘイラー)

★「テレスピンが上手く踊れない」と言う女性の多くは、男性の右側から左側へ移動しようとしています。しかし、実際には、女性は男性のボディを転がって、2歩目右足ではスクエアに戻っているのですから、男性の左サイドに出ていこうとする必要はまったくありません。(サークルで)

 

【動画追記 2021/06/30】

 

 

344 テレマーク(Telemark)【W/F/T
ワルツなどで使われる基本フィガーのひとつ。クローズド・テレマークとオープン・テレマークがあります。

◆フィガー名はスキー用語(ノルウェーの地名からきた)からの転用。スキーのジャンプには左右のスキー板を前後にずらして着地する「テレマーク・ランディング」と言う形がありますが、男性のクローズド・テレマーク終わりの形はそれによく似ています。

【追記 2023/01/29】
◆テレマークを最初に踊ったのが誰なのかは知りませんが、最近ウィンタースポーツの休暇から戻ってきたジョセフィン・ブラッドリー(Josephine Bradley)が、彼女の非常に素早いセンスで、この踊りをすぐに有名なスキーの姿になぞらえたのを覚えているような気がします。 そして、その呼び名が流行ったのです。

出典:”THE WORLD OF PHYLLIS HAYLOR AND BALLROOM DANCING” (Edited by Bryan Allen / 1984) P136

 

345 テン・ダンス(Ten Dance
スタンダード5種目とラテン5種目のこと。または合計10種目を争う競技会のこと。

 

346 テンション(Tension
英語の意味は「ぴんと張ること、張りの度合」で、ダンスの場合には体や体の部位の張ること、伸ばすことを意味します。固めることではありません。

★ダンサーに理解してもらいたいことは、踊る上において体を固める必要はないということです。実際、バランスを保ち効率的にエネルギーを使って踊るには、柔軟でないといけません。ほとんどの人が硬すぎで、特に腕や肩、背中の筋肉が緊張しすぎている人が多くいます。たとえば女性がスペースを作ろうとして頭を後ろへ持って行き過ぎることがありますが、首の筋肉が間違った支え方をして硬直しています。その結果、腕に力が入り過ぎたりして、全ての動きを邪魔してしまうことになります。(R.グリーブ)

★踊っている最中、常に緊張させている筋肉はないと言うことも覚えておきましょう。(オリバー)

 

 

347 テンポ(Tempo
1分間に演奏される速度のこと。複数形はテンピー(Tempi)。➡245 ストリクト・テンポ

 

 

348 トウ・ターン・アウト(Toe Turned Out
チェックのアクションを行なうときに用いられる、トウを外側に向ける足の使い方。英語ではトウ・ターンド・アウトと言います。➡349 トウ・ターン・イン

 

349 トウ・ターン・イン(Toe Turned In
殆どの内回り回転の1歩目で使われ、トウを内側に向ける方法。ただし、内側に向け過ぎると体が捻れたり、回転量が多くなり過ぎたりするので注意が必要です。英語ではトウ・ターンド・イン。➡348 トウ・ターン・アウト

 

 

350 トウ・ヒール・スイブル(Toe Heel Swivels)【J
ジャイブの基本フィガーのひとつ。トウを床につけ、続いて同じ足のヒールを床につけた後、その足を、軸足の反対側に移動させて体重を乗せ、再び同じ動作を逆足で繰り返すフィガー。ISTDのテキストに出ていますがIDTAのテキストには出ていません。英語では ~スイブルズとなります。

 

351 トウ・ピボット(Toe Pivot
イン・ラインで前進しながらトウで行なう回転(例:ワルツ、ダブル・リバース・スピン男性の2~3歩目や男性がスリップ・ピボットするときの女性のステップなど)。このときのフットワークはTH になります。➡440 ピボットとピボッティング・アクション

 

352 トゥインクル(Twinkle
「キラキラ星」の歌「~♪トゥインクル、トゥインクル、リトルスター~♪」のトゥインクルは「きらきら光る、耀く」意味ですが、ダンスでは「軽快な足のさばき」の意味。ポピュラー・バリエーション集のクイックにはシックス・クイック・トゥインクルと言うフィガーが紹介されています。

 

353 トゥワード(Toward
「~の方向へ、~に向けて」の意味。トゥワーズ(Towards)も同じ意味です。

 

354 トーン(Tone

1. ダンスの運動における「体の張り」。
2. 音楽の音調。

 

355 トップ(Top
ボディの上部。フィガー名に含まれるトップは独楽(コマ)の意味です。

★一昔前の踊りはトップが小さく、お互いが猛スピードで入れ替わっていました。現在はトップを大きくし、空間を意識する中でエネルギーを生み出して踊っています。(R.グリーブ)

 

 

356 トップ・スピン(Top Spin)【F
フォックストロットの基本フィガーのひとつでヘンリー・ジェイクス氏が考案しました。

◆トップは「独楽」の意味ですから、独楽が回転しながら少し移動する感じの踊り方をします。2度繰り返すとダブル・トップ・スピンと言います。ワルツやクイックステップへの応用も可能です。

 

 

357 トドゥル(Toddle
踊りのひとつ。戦利品を振る踊りだった初期のトダロ(Todalo)から派生したかもしれません。1917年に入り非常にポピュラーになりました。フォックストロットの滑らかで優雅な踊り方より、少し弾みをつけた踊り方でした。(Street)

◆英語の意味は、「よちよち歩く、ぶらぶら歩く」。

 

 

358 ドライブ(Drive
軸足を使って強く押し出す動き。

★フォワード・ドライブは足の親指、足首、膝、股関節の4つの関節をフルにしっかりと使い、ヒップを通してボディがストレッチします。ドライブをかけたときは頭の先から、後ろになった軸足のトウまで途切れのないひとつのラインとなります。競技会に出場している様々なレベルのダンサーを見ていると、フォワード・ドライブのかけ方が良いときもあればそうでもないときもありますが、トップ・ダンサーはいかなるときもこれを上手にこなしています。(R.グリーブ)

 

 

359 ドラッグ(Drag)とシュラグ(Shrug)【T
ドラッグはタンゴで用いられるアクションで、ライト・ランジの後、男性は左足(女性は右足)に体重を移してから元の足を軸足の方に引き寄せます。➡431 ピクチャー・ステップ

◆ドラッグとは「重いものを引っ張る様、足が重くて引きずる様や釣り糸が横に引かれる様」を表す英語です。例えば、女性が男性に寄りかかったまま引きずられる振り付けを見ることがありますが、これも男性側からすると「ドラッグ」していることになります。参考までに、ドラッグストアのドラッグ(薬)の綴りはDrugで、発音も少し異なります。

◆一方、シュラグは英語で「肩をすくめる」という意味です。よく外国人が「わかりませーん」と言いながら両肩をすくめる動作をしますが、これがシュラグで、ダンスでは、ドラッグの最中に女性が肩をすくめる動作を言います。つまり、この動作がなければただのドラッグ ― と私は考えていますが、ドラッグとシュラグを同一とする考えも見聞きします。

◆「シュラグのリードはあるのかないのか」と、長いこと気になっていたので、あるとき、世界のトップ・ダンサー(英国人女性)にお聞きした所、「自分でやるの」と答えてくださいました。このことから、シュラグは女性から積極的に働きかける所と理解してよいと思っています。また、ドラッグには明らかな男性のリードがありますから、彼女との会話からも、ドラッグとシュラグは別物と考えてよいことが分かると思います。

 

 

360 トラベリング・コントラ・チェック(Travelling Contra Check)【ST
男性はコントラ・チェックに入りながら1歩目左足を前進し、2歩目右足を左足のそばに置き、3歩目でPPに出ていく踊り方。トラベリングは「移動しながらの」と言う意味。➡431 ピクチャー・ステップ

★ランニング・コントラ・チェック、プログレッシブ・コントラ・チェックとも言われていたことがありました。(P.ヘイラー)

 

 

361 ドランクン・セーラー(Drunken Sailor)【J
ジャイブで使うボタ・フォゴの別名。踊り方はボタ・フォゴの女性の後退ステップを、いくらかゆるい感じで踊ります。動きが酔っぱらいのように見えるところから、酔っぱらい船乗りの名前がついています。

 

362 トリプル・ステップ(Triple Step)【C
1&2とシャッセするチャチャチャ・シャッセのこと。

 

363 トリプル・マンボ(Triple Mambo
チャチャチャのこと。チャチャチャが世に出たのは1948年~1952年頃のようですが、マンボがキューバで誕生したのは1938年なので、マンボのほうがお兄さんになります。チャチャチャは、このマンボのステップの一部を3歩踏むようにしているため、トリプル・マンボとも呼ばれます。

 

364 ドレス・コード(Dress Code
服装規定。ここでのコードは電気コードやバーコードと同じ綴りですが、「規約、規則」の意味。行動規範はモラル・コード(Moral Code)。

 

365 ドロップ・オーバースウェイ(Drop Oversway【T】
ティルト・オーバースウェイとも呼ばれます。➡431 ピクチャー・ステップ

◆「ティルト(Tilt)」とは「傾ける」意味です。テキストに見るオーバースウェイもドロップ・オーバースウェイも、どちらも左回転から入りPPで終わる所までを含む5歩構成のフィガーです。オーバースウェイの女性はサイド・スウェイから左肩が左腰を越え、後ろに傾いた形になります。ドロップ・オーバースウェイの特徴は3歩目で男性は左足の上で左に、女性は右足の 上で右にシャープにボディを傾ける点、そして、それから素早く軸足を緩めて男性右、女性左へのスウェイをつける点にあります。

 

 

366 ドロップ・キック(Drop Kick)【ST
典型的なのは、セイム・フット・ランジから女性が左足軸に立ち、その場で右足を持ち上げてか
らキックする形。デベロペーとも言います。➡431 ピクチャー・ステップ

 

 

 

367 ドロップ・ボルタ(Drop Volta)【S

1. IDTAのテキストにはドロップト・ボルタ(Dropped Volta)が出ており、通常のボルタではカウント「1/4、3/4」で踊るステップを「1/2、1+1/2」で踊ります。また、通常1/2拍のステップは(BF)のフットワークになりますが、ドロップ・ボルタでは(T)のままになっています。

2. ポピュラー・バリエーション集(ラテン)に出ているドロップ・ボルタは通常の(1a2)のカウントですが、(2)ではドロッピング・アクションを用いています。

 

 

368 ドロップ・ロック(Drop Lock)【Q
足をクロスした後、すかさずロアーするアクションのこと。

 

 

369 ナチュラル(Natural
ダンスにおける右回転のことで、右回転する前進の場合、1歩目は右足で右側よりも左側が大きく進み、右足の動きと共に左腰と左肩が同時に動いて行きます。後退の場合、1歩目は左足で左側よりも右側が大きく進み、左足の動きと一緒に右腰と右肩が動いて行きます。また、ナチュラル(系)・フィガー(Natural Figure)とは右回転で始まるフィガーの総称です。右回転はナチュラル・ターン、ライト・ターン、ライト・ハンディド・ターン(Right-handed Turn)と表現することもできます。➡608 リバース

★ナチュラル系フィガーでは積極的に回転を起こすのに対し、リバース系では回転が起きるのを待つ感じです。そのため、ナチュラル系をアクティブ(積極的な)・ターン、そしてリバース系をパッシブ(受身の)・ターンと言うことができます。(オリバー)

 

 

370 ナチュラル・ウェイブ(Natural Wave)【SF
◆「リバース・ウェイブがあるならナチュラル・ウェイブもあるんじゃない?」と考えるのですが、滅多に耳にしませんしテキストにも載っていません。しかし、1994年NHKのレッツ・ダンスの中で、当時の世界チャンピオンのジョン・ウッド&アン・ルイス組が、「ナチュラル・ターンの3歩をオーバーターンし、男性が左足からイン・ラインで3歩後退するこの3歩がナチュラル・ウェイブ」 ―― と紹介していました。

この踊り方は、ナチュラル・ウェイブの名前こそ出ていませんが、
(1) ポピュラー・バリエーション集のフォー・ウェイブスの中にも含まれています。
(2) リバイズド・テクニックの、カーブド・フェザー ~ バック・フェザーのアマルガメーションのひとつとして紹介されています。
(3) ガイ・ハワード氏のエクステンディド・リバース・ウェイブの注記にも含まれています。

【追記 2021/07/16】やっと、ナチュラル・ウェイブを解説するジョン・ウッドたちの動画をアップしました。

 

 

371 ナチュラル・オープニング・アウト・ムーブメント(Natural Opening Out Movement)【LA
クローズド・ヒップ・ツイストやスパイラルの1~3歩の動きのこと。

 

372 ナチュラル・スピン・ターン(Natural Spin Turn)【W/Q
ワルツとクイックステップで使われる6歩構成の基本フィガーで、1~3歩目はナチュラル・ターン、4歩目はピボット(女性はピボッティング・アクション)、5~6歩目はスピンをします。

◆長年「男性4歩目のピボットがやりにくいし、世界のトップ・ダンサーもテキスト通りに踊っていないように見える」と思っていましたが、どうやらそれは私だけではなかったようです。日本のダンス界に大きな影響を与えたといわれているスクリブナー氏は彼の著書 “Just One Idea” (1983年発行)の中で、「(男性の)スピン・ターン4歩目を真っすぐ後退すべきとの主張には意味がない。その踊り方は不自然だ」と語っています。そして2012年のBDFコングレスを見ていて長年の疑問が一気に解決しました。元世界チャンピオンのステファン・ヒリヤー(Stephen Hillier)氏がこう話されていたのです ― 

「(男性は)ナチュラル・ターンの1~4を踊り(つまりピボットしないで)、5歩目のフットワークをTからHTに変えて踊るのです。今日の世界のチャンピオン・ダンサーたちは皆、こうして踊っています。私が皆さんに誤ったテクニックを教えていると思わないでください。でも、これが今日のトップ・ダンサーたちが踊っている方法です。もし4歩目でピボットする場合、4歩目と5歩目はとても小さなステップになります」

と。

★教師試験を受ける人達がしばしば当惑するのは、ナチュラル・ピボット・ターンの後続フィガーにナチュラル・スピン・ターンの5~6が出てくることです。受験者たちは、それだと、そのフィガーはナチュラル・スピン・ターンになってしまうではないかと反論します。ナチュラル・スピンはかつて2歩から成り立つ単独フィガーだったのですが、今日の受験者はナチュラル・スピン・ターンの一部としてしか知らないのです。実は、ナチュラル・スピン・ターンはナチュラル・ターンの1~3、ナチュラル・ピボット、そしてナチュラル・スピンから構成されているのです。(K.アクリル)

 

 

373 ナチュラル・ターン(Natural Turn)【ST
スタンダード・ダンス全般で使われる6歩構成の基本フィガーですが、アマルガメーションの説明などにおいては、前半の3歩のみをさす場合が多々あります。ブルースのナチュラル・ターンはナチュラル・ターン前半と右へのシャッセで構成されています。タンゴではナチュラル・ツイスト・ターンを単にナチュラル・ターンと言うことがあります。

 

374 ナチュラル・ターン・ウィズ・ヘジテイション(Natural Turn with Hesitation)【Q
クイックステップの基本フィガーのひとつ。「ヘジテイションが入った」ナチュラル・ターンの意味で、ヘジテイションとは同じ足の上に2拍以上体重が乗るアクション。

◆ナチュラル・ターンとナチュラル・ターン・ウィズ・ヘジテイションの違いは、ナチュラル・ターンでは7歩目が男性左足前進で終わるところを、ウィズ・ヘジテイションでは7歩目での体重移動がなく6歩目のそばに寄せられるところです。

 

 

375 ナチュラル・ツイスト・ターン(Natural Twist Turn)【T/F
6歩構成の基本フィガー。タンゴでは通常PPで終わりますが、6歩目の終わりで男性が女性に対しスクエアに回り込んで終わる方法もあります。フォックストロットではツイストした後、ホバー・フェザーで終わります。

★タンゴのカウントは(SQQSQQ)ですが、(SQQQQS)で踊ると女性が踊りやすく感じ、男女ともステップの最後で余裕が出るなどのメリットがあります。(サークルで)

 

 

376 ナチュラル・トップ(Natural Top)【R/C
ルンバとチャチャチャの基本フィガーのひとつ。ナチュラルは右回転、トップは独楽を意味しています。ISTDとIDTAのテキストに見る踊り方は少し異なっています。

◆「ルンバのナチュラル・トップにヒップ・ムーブメントはあるか」と質問されることがあります。ビデオを見ていると、なんとなくあるようにもないようにも思えるので、手元の原書テキストを開いてみると、男性のナチュラル・トップには次のように書かれていました。

(1)IDTAのテキストには、「スピードと回転が継続するため、最終歩を除き通常のヒップ・アクションは起こらない」

(2)ISTDのテキストには、「回転継続で膝が伸び切らないため、ほんの少しだけナチュラル・ヒップ・ムーブメントが使われる」、とあります。

こうしたテキストによる微妙な表現の違いをどう判断して踊るかはあなた次第です。また、クロスした足の使い方次第でも動きに違いが出ますから、そこも観察の対象にすると良いでしょう。因みに、IDTAのその足のフットワークはTHTになっており、「Tでステップし、次のステップに移るときにフットワークが完了する」との注記があります。一方、ISTDのテキストには1,3,5,7歩はプレスト・バックワード・ウォークと書かれており、その足の使い方を見ると、「まず、パート・ウエイトでボールで床と捉え、次に全体重を足に乗せながらヒールに下り、膝を伸ばす」となっています。

 

 

377 ナチュラル・ピボット(Natural Pivot)【ST
スピン・ターン4歩目の男性のステップで単にピボットとも言います。➡440 ピボットとピボッティング・アクション

★このピボットでは常に左足ボールで回転をします。左足ヒールがフロアに軽くタッチ(キス)するのは、ボディ・ウエイトが次の足に移る直前です。そうではあっても、回転はボディの中心から起こり、左足はアクションを継続するのです。右足に体重移動するのは、左足の上で必要な回転量を得てからの後になります。(オリバー)

 

 

378 ナチュラル・ヒンジ(Natural Hinge)【ST
男性の右サイドで作るヒンジ・ラインのこと。ライト・ヒンジとも言います。➡431 ピクチャー・ステップ

 

379 ナチュラル・フォーラウェイ(Natural Fallaway)【W
フォーラウェイとは「PPで後退する」形をいい、ここでは、オープン・ナチュラル・ターンの3歩目からフォーラウェイになる踊り方。

 

380 ナチュラル・ロール(Natural Roll)【S
サンバの基本フィガーのひとつ。クロース・ホールドで右回転をしながら相手を包み込むように踊る踊り方。二人の反りを合わせて回ります。

◆ロールとはボディ・スウェイとボディ・インクリネーションを駆使するセクシーな動きで、ワルツなどのナチュラル・ターンとは別物の感じが伝わってくると思います。音楽のロックンロール(Rock and Roll)の語源が黒人のスラングでセックスを意味していますが、ロールそのものにも「転がる」と言う意味の他に、スラングでセックスの意味があることも知っておくと便利でしょう。

 

 

381 ニー・バック(Knee Back)【LA
「ニー」は膝、「バック」は後ろ。ラテン・ダンスで軸足のヒップに体重を乗せ、普通に立つときより膝がギューっと後ろに入るくらいに使うことを言います。

 

382 ニュー・ヨーク(New York)【R/C
ルンバとチャチャチャの基本フィガーのひとつ。IDTAのテキストでは動きを機能的に表現し、前半(ルンバの場合は1~3歩目)を「チェック・フロム・オープンCPP」、後半(ルンバの場合は4~6歩目)を「チェック・フロム・オープンPP」と表現しています。

◆フィガーの意味は「ニュー・ヨーカーの略でブロードウェイに住む粋な連中のこと」、という説を見たことがあります。そのためかアメリカではこのフィガーをニュー・ヨーカーとも言うようですし、ブライアン・ワトソン氏も使っています。

◆ニューヨーク都市の元の名は、ニュー・アムステルダム(オランダ領)。1665年英軍に占領されてから、当時の英国国王の弟のヨーク公の名にちなみ、ニューヨークと改称された ―― と、司馬遼太郎氏の「風塵抄」にありました。

 

 

383 ネック・ロール(Neck Roll)【Salsa
男性が自分の肩にかかっている女性の手の下を、頭を通す動きのこと。

 

384 ノー・スウェイ(No Sway
「スウェイなし、スウェイを使わない」と言う意味。ピボット、スピン、シャッセ、ロック・ステップなどでは、基本的にスウェイは使われません。➡224 スウェイ

 

385 ノー・フット・ライズ(No Foot Rise)【ST】
テキストではNFRと略します。直訳すると「足のライズはない」という意味です。言い換えると「トウに上がってのライズはしない」ということで、次の足が床に着くまで体重を乗せている足のヒールを床から離さず上体と膝で行なうライズのことを言い、ムービング・ダンスの内回り回転の1~2歩間に行なわれます(ただし、フォックストロットの男性のリバース・ターン後半の踊り方は例外)。ノー・フット・ライズでは2歩目に体重を移す際、1歩目はヒールで送らない点に注意します。フォックストロットにおける女性のフェザー・ステップのように、回転が起きない後退運動でもノー・フット・ライズになる所があります。そうした所でフット・ライズを使うと、男性の前進運動を妨げてしまいます。➡592 ライズ593 ライズ&フォール