KD37 北国ダンサー物語 5章第3話 幸ちゃん到着!

投稿者: | 2024年3月3日

5章第3話 幸ちゃん到着!

 

 翌日の午後、東山の幸ちゃんがホテルに到着すると、歓声が上がりました。周囲の人たちは「何事か!」「どんな有名人が来たのか!」という目で驚いたのは無理もありません。なにしろ10数名の団体が騒いでいるのですから。

寿 美: ごめんねえ、大変なお願いしちゃって!

幸 子: なんもさ。こちらこそ、お言葉に甘えてタクシーで来ちゃった。

さとし: いいってことよ。なんぼかかったって心配しないでいいから。

 

 こういう調子になってしまうと、千葉ちゃんが入りこむ余地はありません。

幸 子: みんなは昨日着いたんでしょ? どんな感じ?

美 和: みんな時差ボケで、昨日は一日中ボーっとしてたり、こんな地図を持って近所を探索して過ごしたの。だからまだ会場にも入っていないのよ。

 

 そう話しながら、手書きの地図を見せました。それは千葉ちゃんが雑誌でみつけてコピーしたものでした。

 

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美 和: こういうアバウトな地図の方が分かり易いんだから、不思議よね。

恵 美: ご飯食べるのも大変。レストランの人も一度に10何名も押し寄せるもんだから、席の確保に四苦八苦よ。(笑)

 

寿 美: あとから、みんなで会場に入ってみましょう。今日は準決勝で盛り上がっていると思うわ。私たちはダンスタイムで踊って、フロアの広さや雰囲気を感じ取ることにしましょう。

幸 子: そして、明日の勝負に掛けるのね。ワクワクするわ。衣装と靴はあるのよね?

美 和: 美樹ちゃんの持ってきている。衣装は合うと思うけど靴はどうかしら?

 

幸 子: 美樹ちゃんのはちょっと大きかったと思うわ。

寿 美: なんとか足を合わせて!

幸 子: テープで脱げないようにするから大丈夫。

 

ミッチ: チャミちゃん先生、結構無茶言うタイプなんですね。

幸 子: それにしても、本当にブラックプールにやってきたんですね。

 と、感慨深そうにみんなを見ました。2年前、「なんかやりたい」から社交ダンスが始まり、「またフォーメーションをしたい」からブラックプールまで来ることになったのですから。

 

 余談ですが、そのブラックプールは、もともと小さな村落でしたが、健康目的の海水浴が流行した18世紀半ばに成長し始めたようで、社交ダンスの第1回大会は1920年だったようです。(下の写真の撮影時期は不明)

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「北国ダンサー物語」(作:神元 誠)