1. ア行 (001-100)

    ウ/ヴ   

 

 

001 ア(a)
「ワン・ア(One-a)」とか、「イチ・ト」とカウントしたときの後の方のカウントで1拍の1/4の長さがあります。例えば、サンバ・ウィスクは「ワン・ア・ツー」とステップしますが、そのときのタイミングは3/4拍、1/4拍、1拍になります。ジャイブのシャッセも同様です。「ア」は(&)の意味合いで使うこともあります。➡038 アンド

 

002 アーム・ブレイカー(Arm Breaker)【J】
オープン・ブレイクからすれ違いざまに男性は、男性の左手と女性の右手のホールドを女性の背後で持ち替え、右手同士のホールドになります。英語の意味は「腕折り、腕を折る人」。

 

003 アイーダ(Aida)【R/C】
カウンター・プロムナード・ポジション(CPP)、すなわち、ハンド・トゥ・ハンド2小節目の形で、外側の足から3歩後退するフィガー。フォーラウェイとも言います。

◆アイーダの名称はアイーダという人が考案したという説、アイーダという女性の名前がついたという説、オペラのアイーダからきているなどの諸説をみますが、ISTDのHPには次のように書かれています。「(ラテン・ダンスを広めた)ムシュー・ピエールとミス・ラベル(Monsiuer Pierre and Miss Lavelle)は1953年にハバナにでかけ、ペペ・ロレンス(Senor Pepe Lorenz)と奥さんのアイーダさんからルンバのレッスンを受け、多くの新しいフィガーを学びました。このフィガー名は、このフィガーを素晴らしく上手に踊っていた彼女の名からきています。参考までに、彼女はそこから二回連続のスポット・ターン(ISTDテキストのエンディング2)を踊っていましたが、一般の人には難しいため、エンディング1のロックからスポット・ターンを作りました」。

 

 ♦003-1 アイーダ・エンディング(Aida Ending)
アイーダにつなげる終わり方。例としてルンバでナチュラル・トップを2小節踊った後、男性は左手と女性右手のホールドをおろしながら右手を離し、オープンCPP(ハンド・トゥ・ハンドの2セット目の形)になってアイーダに入ります。

 

004 アイソレーション(Isolation)
体の部位を単独で動かすことで、ジャズダンスをはじめ様々な踊りに使われます。例として、肩幅に足を開き両腕を横に開いて立ち、腰を固定し腕の水平ラインを保ったまま上半身を左右、あるいは前後に動かすと、上半身のアイソレーションになります。腰も上半身も同じ方向に動いてしまうとアイソレーションにはなりません。英語の意味は「孤立、分離」で、電気の「絶縁」の意味もあります。動詞はアイソレイト(Isolate)。

 

005 アウトサイド(Outside)
英語で「外側」の意味で「体重が~に流れる」、「表現を~に向けて」などと使用することができますし、「~に前進」のように、アウトサイド・パートナーの意味でも使われます。また、アウトサイド・スピンのようにフィガー名の一部にもなっています。➡041 インサイド

 

 

006 アウトサイド・エッジ(Outside Edge)
意味は足の「外側のへり」。略語はOE。例えば「アウトサイド・エッジ・オブ・フット(~ of Foot)」は足裏の外側部分を言います。テキストにはほとんど出てきませんが、技術講習会で詳細な足の使い方の説明に出てきたりします。

 

007 アウトサイド・スイブル(Outside Swivel)【F/T】
テキストにはタンゴで、オープン・プロムナードからの入り方が2種類とオープン・リバース・ターン2歩目からの入り方が出ています。このオープン・リバース・ターンからの入り方は、リバース・アウトサイド・スイブル(Reverse ~)といわれることもあります。フォックストロットではオープン・ナチュラル・ターンからの入り方が出ています。

 

008 アウトサイド・スピン(Outside Spin)【ST】
3歩構成のフィガーでワルツでは(123)、フォックストロットでは(SQQ)、クイックステップでは(SSS)のカウントで使われます。男性は1歩目で女性を右アウトサイドへリードし、そこから右へ1回転しますが、回転量を1/2や3/4に減らして使うこともでき、ガイ・ハワード(Guy Howard)氏のテキストでは3/4回転するものは、アンダーターンド・アウトサイド・スピンとして紹介されています。

 

009 アウトサイド・ターン(Outside of a Turn)とインサイド・ターン(Inside of a Turn)
二人が組んで回転する場合、回転の内側にいる人が行なう回転を「内回り回転(インサイド・オブ・ア・ターン/インサイド・ターン)」、回転の外側にいる人が行なう回転を「外回り回転(アウトサイド・オブ・ア・ターン/アウトサイド・ターン)」と言います。分かりやすく言うと、後退から回転に入る人は常に内回りで、前進から回転に入る人は常に外回りです。例えばワルツのナチュラル・ターンの場合、前半では男性が外回り(女性は内回り)をしますが、後半では男性が内回り(女性が外回り)に変わります。➡289 ターン

★ラテン・アメリカンでは(動きやポジションの)変化がたくさん出てくるので、(その場その場で)誰が内回りで誰が外回りかを理解することは非常に重要です。内回りと外回りの役割を何も知らないで踊ると、お互いに押したり引いたり、あるいは、動きが小さすぎたり大きすぎたり、タイミングを間違えてしまうことになるでしょう。(カルメン)

 

 ♦009-1 内回りと外回りの違い

1. 移動距離と回転速度を見ると外回りの人は移動距離が大きい分、内回りの人より回転速度は速く、反対に、内回りの人は移動距離が小さい分、外回りの人より回転速度は遅くなります。このため、内回りをするときは外回りのときより「穏やかに」回転するよう心がけなければなりません。

2. 内回りと外回りのもうひとつの大きな違いは回転の仕方にあります。通常、ひとつの回転は3歩間で行なわれ、内回りの人は、始めの2歩で回転を完了しています。一方、外回りの人は1~2歩間と2~3歩間で回転を2分割して行ないます。ワルツのナチュラル・ターン前半(3/8回転=135度)を例にとると、内回りの女性は2歩目をステップしたとき点で足の回転は完了していますが(体の回転は3歩目で完了します)、外回りの男性は1~2歩間で1/4回転(90度)し、2~3歩間で残りの1/8回転(45度)を行ないます。外回りの人が始めの2歩で必要な回転量を一気に得ようとしたり、あるいは、内回りの人が始めの2歩で体の回転を完了したりしてしまうのは、初心者が陥りやすい誤りです。

3. 例外として、男性がヒール・プルするフィガー、例えば、リバース・ウェイブやヘジテイション・チェンジの最後、あるいは、ナチュラル、及び、リバース・ピボットでは、男女の回転するタイミングは一緒になります。

 

 

010 アウトサイド・チェンジ(Outside Change)【W】
4歩構成(テキストにより3歩)の基本フィガー。アレックス・ムーア氏のテキストはイン・ラインで始まる形で、ガイ・ハワード氏のテキストは、1歩目で女性がOPに出る形で説明されていますが、どちらの方法も踊れます。

◆ケン・アクリル氏の資料に、「これは、かつてあったワルツのバックワード・パッシング・チェンジと言うフィガーの4~6歩目の発展型です」とあったので、ヘンリー・ジェイクス氏のテキストで調べると、男性は弱い左回転をしながら、イン・ラインで左足から3歩後退した後でリバース・ターンの後半を踊る、合計6歩の動きでした。

 

 

011 アウトサイド・パートナー(Outside Partner)【ST】
パートナーの右外側に出ていくことで、テキストではOPと略されています。男女を問わず前進する人に使われます。単にアウトサイド・パートナーと言うと相手の右外側に出ることを示し、左外側に出るときには「左アウトサイド・パートナー(Outside Partner on Left Side)」と表現します。➡391 パートナー・アウトサイド

★アウトサイド・パートナーの形を初めて意識的に使ったのはG.K.アンダーソン(G. Kenneth Anderson)とジョセフィン・ブラッドリーです。ジョセフィンは、「スリー・ステップで変わったツイストを使った他の競技選手と張り合っていたとき、G.K.アンダーソンがうまい具合に私の外側にステップし、それはとてもいい感じでした」と、回想していたようです。フェザー・ステップはこうして誕生しました。(Story)

★技術的にいえばアウトサイド・パートナーになるステップにはいつでもショルダー・リードがあります。(R.グリーブ)

★アウトサイド・パートナーに出るには、常に前のステップでサイド・リードを使え!  そして、膝から下を伸ばしてアウトサイドに出ていきます。(ビル)

★アウトサイド・パートナーに出るには、その前のステップを少し外側にステップして準備し、それからCBMPに出ていきます。文字通りに「相手の外側」にステップしてしまい、自分の腰と相手の腰が横並びになってしまうと、シルエットが大きく損なわれるだけでなく、その後の動きを壊してしまうので避けなければいけません。(サークルで)

 

 

012 アクション(Action)
アクションには「作用、活動、動作」などの意味があり、反対はリアクション(Reaction)「反作用、反応、反発」になります。例えば、男性が女性に対して行なうリードはアクション、それに対する女性のフォローはリアクションと言うことができます。

 

013 アクセント(Accent)
音楽において強く演奏されるリズムの部分で「強勢、強調」の意味ですが、そのまま日本語としても使われています。また、「タンゴでQQとある所は、基本的に始めのQにアクセントをつける」と言う風にも使います。

 

014 アクロス(Across)
英語の意味は「横切って、向こう側に」で、軸足を横切ってステップする足に対して使われます。CBMPも軸足を横切ってステップしますが、テキストには「CBMP」と「CBMPにアクロス」の二つの表現が区別されて使われており、横切る深さを区別しています。

 

015 アクロス・イン・シー・ビー・エム・ピー/シー・ビー・エム・ピーにアクロス(Across in CBMP)【ST】
進行方向に対し、より深くCBMPにステップしなければならない場合に「CBMPにアクロス」の表現が使われます。このステップの仕方はPPから入るステップに限定され、例えばタンゴのクローズド・プロムナードの2歩目は男女共に「CBMPにアクロスして」出ていきますが、動きの方向によっては、一人が「CBMPにアクロス」し、もう一人は単にCBMPと言うケースもあります。

例1. ワルツのウィスクから入るウィーブ・フロム・PPの男性1歩目は「CBMPにアクロス」で、女性の1歩目は「CBMP」になっています。

例2. オープン・インピタス・ターンから入るウィーブ・フロム・PPの男性1歩目は「CBMP」で女性の1歩目が「CBMPにアクロス」になっています。

例3. タンゴのナチュラル・プロムナード・ターンの2歩目は男性が「CBMPにアクロス」し、女性はCBMPにステップします。

◆CBMPにアクロスするフィガーの一覧表を作ってみました。CBMPにアクロスする場所(=A/C)

 

016 アジューディケイター(Adjudicator)
審査員。ジャッジ。

 

017 アソシエイト(Associate)
英国におけるダンス教師資格のひとつ。アソシエイト(組合員、準会員)から始まり、メンバー(Member/会員)、ライセンシエイト(Licentiate/免許状所有者、修士)、フェロー(Fellow/特別会員、研究員)の4段階があります。

 

018 アップ(Up)【ST】
到達した高い位置を半カウント以上維持すること。例えば、ワルツのナチュラル・スピン・ターン5~6のライズ&フォールは「5の終わりでライズし、6でアップ、6の終わりでロアー」になっていますが、このように、5の終わりと6の始めで一瞬、高い位置を保つことをアップと言います。足の開き具合により実際のアップの高さは変化しますが、ボディ・ライズとフット・ライズが伴っていれば良いのです。

 

019 アップスイング(Upswing)【ST】
低いところから高い所へ向けてのスイング。反対はダウンスイング。➡593 ライズ&フォール

 

020 アップライト・コントラ・チェック(Upright Contra Check)【ST】
深く行なうコントラ・チェックではなく、お互いが比較的真っすぐで行なう浅めのコントラ・チェック。

◆ポピュラー・バリエーション集のワルツに、リバース・ターン前半 ~ リバース・コルテの1~3 ~ 右へのシャッセ(12&3) ~ コントラ・チェック(1) ~ オープ ン・フィニッシュ(2.3)のアマルガメーションが紹介されていて、コントラ・チェックの所にアップライトの説明が形容詞としてついています。アップライトは「真っすぐな」の意味で、家庭用のアップライト・ピアノとしても使われています。

 

 

021 アドバンスト(Advanced)
英語で「進んだ、上級の」等の意味。ルンバとチャチャチャにはクローズド・ヒップ・ツイストの発展系としてのアドバンスト・ヒップ・ツイストがあります。また、「アドバンスト・クラス(上級クラス)」のようにも使います。

 

022 アドバンスト・オープニング・アウト・ムーブメント(Advanced Opening Out Movement)【R/C】
アドバンスト・ヒップ・ツイスト前半の動き。

 

023 アドバンスト・ヒップ・ツイスト(Advanced Hip Twist)【R/C】
ルンバ、チャチャチャの基本フィガーのひとつ。男性が先行フィガーの最終右足を左足に揃えず左足前方に出し、1歩目左足も前方へステップ、3歩目は右足後ろにアクロスする形のものを言います。IDTAのテキストでは「クローズド・ヒップ・ツイストの前半をアドバンスト・オープニング・アウト・ムーブメントに替えても良い」との表現がとられています。

 

(追記:2021年3月/表は2004年作成)

 

024 アブラプト・ライズ(Abrupt Rise)【ST】
時にこの言葉を聞くことがありますが、これは唐突に行なわれるライズを示し、用語と言うより否定的な意味合いで使われる表現です。アブラプトとは「急激な、唐突な」の意味です。➡592 ライズ

 

025 アペル(Appel)【P】
床を強く踏む動作。

◆スリップ・アペル(Slip Appel)と言う場合は、コンタクトしたホールドからホールドを広げながら男女ともに後ろに下がって行なうアペルで、ISTDテキストに出ている説明です。他に上級者用として、ダブル・アペル(両足で行なう)、シンコペーティド・アペル、ドロップ・アペルなどがジェフリー・ハーン氏のテキストに出ています。

★アペルは仏語の「呼びかける」という意味で英語のコール(Call)に相当します。フランスでは、夜になりアパートの管理人が鍵をかけてしまった後、その敷地内に入ろうとするものは大きく手を叩いて夜間警備人に知らせなければいけませんでした。それが床を叩く音に似ているところからアペルの名が使われたと考えられています。(Concise)

 

 

026 アマウント・オブ・ターン//回転量(Amount of Turn)
「アマウンツ・オブ・ターン」と表現することもあります。スタンダードでは、1歩、あるいは数歩間で行なわれる足の向きの回転の量のこと。ラテン・ダンスでの回転量は通常、体の向きで測ります。➡289 ターン

例をあげると、1回転=360° 1/2回転=180°  1/4回転=90°  1/8回転=45°  3/8回転=135°  3/4回転=270° など。

 

 

027 アマルガメーション(Amalgamation)
二つ以上のフィガーを組み合わせたものを指し、英語の意味は「融合・合併」。類似の言葉のルーティンは、デモや競技会目的に予めフィガーの組み合わせ順を決めたものを指し、英語の意味は「所定のステップ、決まった出し物、決まってすること」ですが、ふたつは時として同じ意味で使用されることもあります。ステップ(1歩)が言葉の「いろは」だとすると、フィガーは「単語」、アマルガメーションは「文章」、ルーティンは準備した「スピーチ」に例えることができるでしょう。

★アマルガメーションを丸ごとひとつとして覚えると、その順番でしか踊れなくなる恐れがありますから、教わるときは、「ここからここまでは、このフィガー」と言う風に分解して覚えるようにしましょう。応用力が高まります。(サークルで)

 

 

028 アメリカン・スタイル(American Style)
アメリカン・スタイルにはアメリカン・スムーズ(American Smooth)とアメリカン・リズム(American Rhythm)があり、アメリカン・スムーズ(単にスムーズとも)には、ワルツ、タンゴ、フォックストロット、ヴィニーズ・ワルツが、アメリカン・リズム(単にリズムとも)には、チャチャチャ、ルンバ、マンボ、サンバ、イースト・コースト・スイング、ウエスト・コースト・スウィング、ボレロ、メレンゲが含まれています。スムーズではボールルーム・ダンスと同じベーシック・ステップと技術が用いられますが、パートナーと常にボディ・コンタクトする制限がないため、踊りの途中で女性のアンダーアーム・ターンやスピン、ディップ、ドロップや他のバリエーションなどを行なうことができます。基本的にヨーロッパのボールルーム・ダンシングと同じ音楽が使われます。クイックステップは例外で、スムーズでは踊られません。(DS)

 

029 アラインメント/アライメント(Alignment)

(1) 踊る人の足(片足、あるいは、両足)の向いている方向を示す用語で次の3種類があります。

a. 面して/フェイシング(Facing) ― 前進する方向にトウと体が向いているときに使います。

b. 背面して/バッキング(Backing) ― 後退する方向にヒールと背中が向いているときに使います。

c. 向けて/ポイントして/ポインティング(Pointing) ― 進行する方向に対し足と体の向きが違う場合に、足の向きを示すのに使います。
この場合、体の向きは別途説明が加わります。

(2) フロアの中にある仮想の8つの方向のことで、ダイレクションとも言います。(1)と組み合わせて使います。8つの方向とは、

1.  LOD
2.  壁斜め/ダイアゴナリー・トゥ・ウォー ル(Diagonally to Wall)

3.  壁/ウォール(Wall)
4.  逆壁斜め/ダイアゴナリー・トゥ・ウォー ル・アゲインストLOD (Diagonally to Wall against LOD)

5.  逆LOD/アゲインストLOD(Against LOD)
6.  逆中央斜め/ダイアゴナリー・トゥ・センター・アゲインストLOD(Diagonally to Center against LOD)

7.  中央/センター(Center/Centre)
8.  中央斜め/ダイアゴナリー・トゥ・センター(Diagonally to Center)

◆上記の1~8もアラインメント(あるいはダイレクション)といい、例えば、「部屋の中にはいくつのアラインメントがありますか?」との質問に対し、「8つ」と答えることができます。また、「ワルツのナチュラル・スピン・ターンをコーナーで踊るとき、男性の始めと終わりのアラインメントは?」の質問には、「始めは壁斜めに面して。終わりは新LODの中央斜めに背面して」と答えることができます。

◆アラインメントには「調整、同盟、連合」の他、「(鉄道・幹線道路の)路線設計」の意味もあり、踊りとの関連性が見えてくる気がします。少しとっつきにくい感じがする英単語ですが、ライン(線)を中心に作られたもの ―― アラインメント  ―― と気づくと親しみが湧くかもしれませんね。

 

 ♦029-1 「壁」と「中央」(Wall and Centre)
ダンスにおける壁や中央は物理的な部屋の壁や中心ではなく、LODに面して右直角方向が常に「壁」、左直角方向が常に「中央」になります。ですから、今の位置から移動すると、壁も中央も移動することになります。

 

 ♦029-2 「面して」と「背面して」(Facing and Backing)
ワルツのナチュラル・スピン・ターンを正規の回転量で踊ったとすると、6歩目の形は「男性は中央斜めに背面」、「女性は中央斜めに面して」いますが、別の見方をすると「男性は逆壁斜めに面し」、「女性は逆壁斜めに背面している」と見ることもできます。しかしダンスでは進む方向、あるいは、意識する方向を前提としているため、テキストでは男性は「中央斜めに背面」で、女性は「中央斜めに面して」の表現が取られています。

テキストにより、一部のステップでアラインメントの表現方法が異なる場合があります。それは先に述べた「進む方向」をとるか「意識する方向」を取るかの違いからくるものと思われます。下の一例を参照してください。

 

 

 ♦029-3 ポイントして/ポインティング/向けて(Pointing)
足と体の向きが異なる場合、足の方向を示す言葉として「向けて/ポイントして」が使われます。これが使われるケースとしては、

1. 正対して内回りするとき。例えば、ワルツの女性のナチュラル・ターン前半の踊り方は ―(1)後退の1歩目をステップしてから、2歩目のトウを進行方向へ向けますが、ボディの回転は後から起こします。(2)2歩目の足に体重が乗るのは、通常のステップのときよりも後からです。(3)ライズも後からです。1の終わりでノー・フット・ライズで右足をポイントしている間、サポーティング・フットの膝と足首の角度が変化します。この踊り方をポインティング・ステップとも言います。

2. PPでステップするとき。ワルツの男性のオープン・インピタス・ターンの3歩目のようにPPでステップするときは、足の向きと体の向きが異なるため、この用語が使われます。

 

 ♦029-4 タンゴにおけるアラインメント
タンゴではムービング・ダンスと異なり、アラインメントは動きの方向を示します。これは、ホールドの関係上、足の向きと体の向きにずれが生じていますので、足の進む方向と体の向きが異なることに拠ります。例えば、男性のクローズド・プロムナードの1歩目は「PPで左足を横に」で、アラインメントは「LODに沿って、壁斜めにポイントして」となっています。これは、「左足を壁斜めにポイントしながらLODに沿って、PPの形で横にステップする」ことですが、このときの体の中心は「壁に面して移動する」ことになります。また、バック・コルテを例にとると、男性が中央斜めに背面したところから始め、1歩目は「左サイド・リーディングを使って後退。LODの方へ」となっています。これは、男性は左足をLODの方に左サイド・リーディングを使って後退することです。体の中心は中央斜めに背面し、左足ヒールも中央斜めに向いています。

 

 ♦029-5 ラテン・ダンスにおけるアラインメント
ラテンでは両つまさきが少し開いているため、スタンダードとは少し異なる定義になり、1.IDTAテキストでは部屋に対する体の向き。2.ISTDでは部屋に対する両足の位置、となっています。

 

 

030 アラウイング・リード(Allowing Lead)【LA】
フィジカル・リードで方向とタイミングを示した後、女性自身でアクションを終わらせることを言います。例えば、ルンバのオープン・ヒップ・ツイストの1歩目の出だしで女性が男性からフィジカル・リードを受けた後、1歩目後半でヒップをセトリングさせるところや、あるいは3歩目で引き込まれるフィジカル・リードを受けた後、ボディを継続して乗せていくところのように、男性が女性に任せる部分がアラウイング・リードになります。アラウイング・リードの後は、またフィジカル・リードになります。➡605 リード&フォロー

◆アラウイングは英語の動詞Allow「許す、させておく」からきています。

追記 2022/08/15】因みに私はこのアラウイング・リードを自分なりに「余韻のリード」と訳しています。

 

 

031 アラウンド・ザ・ワールド(Around-the-World)【LA】
女性が男性の前に位置し、タンデム・ポジションで行なうロール・アクション (例 サンバで、タンデム・ポジションで行なうリバース・ロール)。アラウンド・ ザ・ワールドは英語で「世界一周」の意味。

 

032 アルゼンチン・クロス(Argentine Crosses)【S】
サンバの基本フィガーのひとつ。

★初期のサンバでのアルゼンチン・クロスは、コーナーからコーナーへと踊り男性がLODに面して終わりました。そうすることで、次に使うフィガーの選択肢がたくさんできました。(Concise)

 

 

033 アルゼンチン・タンゴ(Argentine Tango)
アルゼンチン・タンゴは18世紀から19世紀にかけてアルゼンチンで生まれました。この踊りはブエノス・アイレスの大草原のガウチョ(カウボーイ)やアフリカから連れてこられた奴隷、労働者向けの酒場や売春宿、更には都市の犯罪文化に結び付くような、ただ泥臭くて感情的な踊りでした。このタンゴがアルゼンチンからパリに渡り、かなり洗練されたものに作りかえられる中で、インターナショナル・タンゴになっていきました。そこからアメリカに伝わり、ラテンの特徴づけが再びなされてアメリカン・タンゴとなりました。(Street)

 

★アルゼンチン・タンゴと健康       Column

 

2012年8月のことです。届いたDM(毎日1分!英字新聞)に、「アルゼンチン・タンゴと心臓疾患患者の回復の速さとの関連性が実証され、アルゼンチンでは医師が患者にリハビリの一環としてタンゴのレッスンに参加することを勧めている」と書かれていました。そこで、この情報出所の「国際タンゴセラピー協会」のHPを訪れると、次のようなことも書かれていました。

 

・‌‌タンゴ・セラピーには有酸素運動の効果がある。
・‌‌心臓病、アルツハイマー、パーキンソンなどに非常に有効である。

 

このセクシーなタンゴが好きな人ならば、きっと現実的に健康に良い影響を及ぼすことをご存知でしょう。ミロンガを訪れる人たちはタンゴの音楽で頭痛など、ある種の病気が改善されたと証言しています。こうしたことから、アルゼンチン国内のミロンガには、単なるレジャーセンターではなく、パーキンソンやアルツハイマーの専門治療の場となっているところもあります。米国ワシントン大学の研究では、タンゴを踊る方が他の治療法よりもバランス感覚が改善されると報告しています。それをなくしてタンゴのステップはできないからです。更にこの研究では、パーキンソン病の人たちを二つのグループに分けた実験もしました。ひとつのグループは従来の椅子を使ってのトレーニングをし、もうひとつのグループではタンゴを踊らせました。すると、もちろん椅子を使った治療も効果をあげましたが、タンゴを踊った人たちのバランス感覚は比較にならないほど改善されました。

 

DMには、「タンゴの独特な抱擁によってオキシトシンと言う、ストレスを抑える脳内物質の分泌が促進される」とも書かれていました。「脳の疲れが取れる生活術」(有田秀穂著/PHP)には次のようなことが書かれています。

 

・‌‌‌‌‌‌オキシトシンは哺乳類だけが持つホルモンで、心が癒される、幸せな気分になる効果があり、「幸せホルモン」として注目されている。

 

・‌‌‌‌‌‌オキシトシンは、家族団らん、夫婦・恋人との抱擁などで分泌され、オキシトシンが十分分泌されると脳の疲れも取れるし体も健康にしてくれる。

 

・‌‌‌‌‌‌女性が分泌するホルモンとして知られていたが、男性も年齢も関係なく分泌されることが分かった。

 

こうした記事や書物を読むと、ダンスと言う文化がもっと広く理解され、かつ、医学方面でも積極的に取り入れられる日が日本にもやってくることを切に望みます。

 

 

034 アレックス・ムーア(Alex Moore 1901-1991)
近代ボールルーム・ダンシングのパイオニアであり、ダンサーであり、ダンス教師でもあった彼は、長年ISTDの議長を、後にISTDとNATDの会長も務めています。彼の著書には、バイブルと絶賛されている「ボールルーム・ダンシング」の他、「リバイズド・テクニック」、「ポピュラー・バリエーション」等も。ダンス界に貢献した人に与えられるカール・アラン賞を、また、英国王室からはMBEの称号を授与されています。

 

 

《用語集には収録されていない情報を追加します》

ISTDの議長、後に会長を務めました。ダンス界に貢献した人に与えられるカール・アラン賞を、英国王室からはMBEの称号を授与されています。近代ボールルーム・ダンシングのパイオニア、ダンサー、ダンス教師、ボールルーム・ダンシングの本の著者。その“ボールルーム・ダンシング”はボールルーム・ダンシングの“バイブル”と絶賛されています。

6才からダンスを始め、1923年プリンス・ギャラリーで行なわれた“ブルース”大会にお姉さん(もしかすると妹さん)と出場して好成績を残しました。1926年のワールド・チャンピオンシップで準優勝し、プロのダンサーとして注目を浴びていた一人でした。

1932年、後の奥様となるパット・キルパトリック(Pat Kilpatrick)さんとパートナーを組み、欧州諸国、北アメリカ、日本、オーストリア、南アフリカなど、世界中をデモや講義をしに周りました。MLSで知られた彼のマンスリー・レター・サービス(Monthly Letter Service)は1932年に発行され彼が亡くなるまで続きましたが、このレター・サービスの発行のきっかけとなったのは南アフリカへの旅行で、現地の教師たちが英国から隔離されているように感じていたこと、そして、世界のダンス事情を知りたがっていること、そうしたことをを肌で感じたからのようです。当時の交通事情や通信事情は現在とは全く違っていましたから。それで、踊りのヒントや大会のニュースを載せたレター・サービスを発行したのですが、これは数ヶ国語に翻訳され、40カ国で親しまれました。

ムーア氏はプロのダンサーとして優れていたのは当然ですが、教師としての才能は格別でした。キングストン・オン・テムズという地にある彼の教室(ジータ・ダンス・スタジオ)にはレッスンや教師試験を希望する教師たちが世界中から集まり、その模様を、エリザベス・ロメインさんは「ダンスの国連」と表現したようです。スタジオ“ジータ”の名は、近くにあったカフェの名前から取ったようです。きっと常連さんだったのでしょうね。

“ボールルーム・ダンシング”の初版は1936年に発行され、当時のISTDの教師試験に使われていました。世界中を回り、初心者を教える難しさを痛感していたようですから、“バイブル”はそうした経験から生み出されたのでしょう。ちなみにこの本の足形図にある升目は彼の考案です。それから12年後の1948年にリバイズド・テクニックが、1954年にポピュラー・バリエーションが出版されています。彼の優れたダンス分析能力、文章能力、チャートや足形図などの創意工夫能力が今日のダンスを築き上げたといっても過言ではないでしょう。このリバイズド・テクニックを基に変更を加えたものがボールルーム・テクニークでISTDから発行されています。

アレックス・ムーア氏は1991年の他界。奥様のパットさんも2006年に亡くなられたようです。

私が放浪してロンドンにいたとき、ジータ・ダンス・スタジオの前を通ったことがあります。リバイズド・テクニックの話は知っていたので、『あの有名な先生のスタジオなんだね』と2人で話したことを覚えています。その放浪人が30年後に、彼の奥様、パットさんにお便りすることになるとは誰が想像できたでしょう! 『サークルで上達するボールルーム』の件で私が英国へ飛び、お嬢様にお会いした時、残念ながら奥様はご病気でお会いすることはできませんでした。謹んでご冥福をお祈り致します。(2007年5月 神元)

 


以下の記事はアメリカのUSISTD試験官のロリ・ウッズゲイさん(Lori Woods-Gay)が書かれたもので、英国ISTDのウェブサイトで見つけました。注意して訳しましたが、誤訳がありましたらお許しください。(2007/06 神元)

 

アレックス・ムーア氏って誰?
リバイズド・テクニックって何?
何がリバイズド(改定)され、なぜ関心持つの?

 

少しご年配でダンスの歴史をご存知の方にはごめんなさいね。でも、私より若い方がには(きっとほとんどの人よ)、この情報が役に立つことを願っています。

アレックス・ムーア氏は1901生まれ。6才からダンスを始め、1926年のワールド・チャンピオンシップにお姉さんと(もしかすると妹さん)出場して準優勝。後の奥様となるパット・キルパトリックさん(Pat Kilpatrick)とは1932年にパートナーを組み、共に欧州諸国、北アメリカ、日本、オーストリア、南アフリカなど、世界中を回ってデモをしたり講義をしたりしました。彼はダンス界のパイオニアであり、ボールルーム・ダンシングの知識を本を通して、旅行しながら、また彼のISTD議長、ISTD会長、NATD会長としてのポストを通して、さらにはマンスリー・レター・サービスを通して世界に広めたのです。80年以上にもわたるキャリアの中で、インターナショナル・ダンスに対して行なわれた彼の貢献は驚くべきものがあります。

彼は英国の、キングストン・オン・テムズにジータ・ダンス・スタジオと呼ばれる教室を持っていました。この名前は近くにあったカフェから付けられたものです。そこにはレッスンや教師試験を希望する教師たちが世界中から集まり、その模様を、エリザベス・ロメインさんは「ダンスの国連」と表現したようです。その模様は蓄音機と78枚のレコードから容易に想像できます。間違って落としたりすると、粉々になってしまうことでしょう。

1932年、彼がパット・キルパトリックさんに出会った同じ年、MLSで知られたマンスリー・レター・サービス(Monthly Letter Service)はが発行されました。このレター・サービスの発行のきっかけとなったのは南アフリカへの旅行で、現地の教師たちが英国から隔離されているように感じていたこと、そして、世界のダンス事情を知りたがっている ―― とを肌で感じたからのようです。このMLSにはプロ試験へのガイドラインや、技術的な質問、そしてダンス大会のニュースが盛り込まれており、40カ国に発送され、様々な言語に翻訳されていました。彼が成しえたことは今日の基準で計っても偉大なことですが、その時代の通信技術や交通手段は今のものとは比較にならないものです。カール・アラン賞を受賞し、MBEも頂いています。アレックス・ムーア氏は1936年にボールルーム・ダンシングを出版していますが、どのような経過で出版されたのでしょう。ボールルーム・ダンシングはISTDの試験し使用されていましたが、現在でも出版されており、近年の改版は2002年、エリザベス・ロメインさんの手によって行なわれました。

アレックスはボールルーム・ダンシングを教えるために世界中を回りましたが、当時の旅行は今とは違いますし、勿論マイレージ・サービスもありませんでした! 彼はダンスを習っている人たちが習ったことを思い出すために、チャートを考え出し、それを私たちが今日でも使用しているのです。彼は最高のダンサーたちの動きを観察し、それを書き下ろしたのでした。(そこにでている)フィガーは意図的に考え出したものではなく、ボールルーム・ダンシングが自然に進化していく中で発展したものです。私たちがコンピューター技術の恩恵をこうむる遥か以前、かれは4本の指を使いながらタイプに向かい、1948年に完成したのがボールルーム・ダンシングのリバイズド・テクニックでした。この本の最も賢明な点は、持ち運びに便利なようにと配慮して作られた点です。当時は、誰もが車を所有していたわけではなく、旅行といえば主にバスか列車でしたから、軽くてコンパクトなものが必要だったのです。今日においてさえ、彼の考え方は非常に正しく、手元に置いておくにも大変便利です。リバイズド・テクニックには膨大な基本情報が含まれており簡単に調べることができます。教育を受けた完成されたダンサーであれば誰しもボールルーム・ダンシングのような分厚い技術本を書き上げることができるでしょうが、リバイズド・テクニックの特徴はその簡潔で便利な形式にあります。

誰一人として「この本を全部覚えると素晴らしいダンサーになれます」とは言わなかったと確信していますし、最低、そう願いたいところです。リバイズド・テクニックは偉大なる本ですが、それは決して先生の代わりをするために書かれたものではありません。アレックスのリバイズド・テクニックのオリジナルには、先行と後続の後で「でも、余り良くない」と記述されているところがあります。私が教師として未熟だった頃はいちいちそんなことを書かなくても良いのではないかと思ったものです。しかし今では、彼が人間がそうしたつながりで踊りたがる本質的なものを見抜いた上で、それでも踊りとしては良くない事、音楽に乗って踊らなければいけないこと、リードとフォローのし易さなどを考慮した上で書き記したことが、そして彼の賢明さがわかるようになりました。今度あなたがその本を開く時、1948年当時、手動タイプライターの前に座り、タイプミスをしないように気をつけながら書き上げた彼の姿を思い描いてください。手動タイプライターでのミスは修正に時間を費やし、大変だったのです。リバイズド・テクニックの一貫した形式と技術用語の驚くべき点は、1993年での改定でも、改定されたのはほんの少ししかなかったことです。今日の踊りは色々な形で発展し美しく作り上げられてきましたが、そうしたものの原型がそこに書き記されているのです。1993年、リバイズド・テクニックを基にボールルーム・テクニックと名づけられた灰色の本がISTDの技術本として認められ、ISTDのボールルーム部門で改定が行なわれてきています。

私がアレックス・ムーア氏に興味を抱いたのは長年ダンスのレッスンを受け、勉強し、そして私の師であり、アドバイザーであり、友人でもあったエリザベス・ロメインさんとの20年を超える交流の中から生まれました。エリザベスはISTDの試験官で、ダンスの技術に関して素晴らしい知識を持っています。試験を受けようとする者に対して行なう彼女の試験準備トレーニング方法が優れているため、彼女の名は世界中に知れ渡りました。無数のトレーニングした人々の中にはトップの競技選手や世界チャンピオンもいます。彼女には素晴らしい踏暦がありますが、彼女が第2次大戦中にボールルーム・ダンシングに興味を示す以前には、バレーやタップダンス、そして喜歌劇の先生をしていました。国内外から様々な賞を受けていますが、1990年にはインペリアル・アウォード(帝国賞/恩賜賞)を授与されています。長年、ジータ・ダンス・スタジオで学び、働き、アレックス・ムーア氏が1991年に亡くなった後も奥様のパット・ムーア氏さんとお嬢様のパット・ホープさんと友好を続けていましたが。ごく最近、奥様も亡くなられました。ご両親が他界されたことでお嬢様は、ご両親のフラットに残されたものをどうしたらよいか心配されましたが、歴史として残していくことが重要だと考え、ほとんどを私が管理させていいただきたいと申し出ました。これがきっかけで、皆さんとアレックス・ムーア氏のことを分かち合いたく、このタイミングで記事を書かせていただいた次第です。

この3月にお嬢様にお会いする機会を得ました。私は彼女のお父様を素晴らしく尊敬しているので、どうしてもそのことをお伝えしたかったのです。私自身の人生に、そして多くのダンサーの人生に衝撃を与えたことをお話したかったのです。個人的にアレックス・ムーア氏にお会いすることはありませんでしたが (私が彼のスタジオに出入りするようになったのは彼が交通事故に遭った直後の1989年のことです。かれは道路横断中に車にはねられ重傷を負ったのでした)、エリザベスさんと過ごしたことで彼の価値を知り、彼の信念を知り、お慕いするようになったのです。(おわり)


 

035 アレマーナ(Alemana)とアンダーアーム・ターン(Underarm Turn)【R/C】
どちらもルンバとチャチャチャにある基本フィガーです。アレマーナはファン・ポジションからスタートする6歩構成でテキストに出ていますが、オープン・ヒップ・ツイストの1~3から入ることもできます。一方、アンダーアーム・ターンは3歩構成で、男性左手と女性右手のホールドの下を女性が左足から右回転する右へのアンダーアーム・ターン、右足から左回転する左へのアンダーアーム・ターンの2種類があります。男性がアンダーアーム・ターンすることもあります。

◆手元の「西語―英語辞書(Cassell’s Spanish-English Dictionary)には、アレマーナは「ドイツやフランダースの踊りを起源とする古いスパニッシュ・ダンス」とあり、ルンバやチャチャチャのアレマーナはこの踊りの動きからきていると推測されます。辞書には他にも、ドイツ人、ドイツ人女性の意味も出ています。かつて、ある人からアレマーナは「石臼」の意味と聞いたことがあります。まだそれを記した資料に出合っていませんが、もしかすると、「古いスパニッシュ・ダンス」の名の起こりなのかもしれないと思いつつ、調査対象として残してあります。

◆「女性のアレマーナとアンダーアーム・ターンの回転はどう違うの?」これは誰もが抱く疑問かもしれません。

第1の違いは歩数にあり、ルンバで考えると、アンダーアーム・ターンは3歩構成で、アレマーナは6歩構成です。

第2の違いは回転量にあります。アンダーアーム・ターンは、一般に、片手ホールド(例えば男性の左手と女性の右手)をしたまま女性がスポット・ターンを踊りますので、女性の回転量は1回転(男性の正面から始め正面で終わります)です。しかし、アレマーナは一般的にファン・ポジションから始めますので、女性は3歩目右足の上で右へ1/8回転し、続く後半3歩のアレマーナ・ターンでは右に1+1/8回転します。よって、全体ではアンダーアーム・ターンより1/4回転多くなっています。

第3の違いは女性の回転の仕方にあり、アレマーナ・ターンでは3歩間で三角を描くように移動します。つまり、2歩目で男性から少し離れて行きます。アレマーナをオープン・ポジションから踊る場合、女性の回転量は1回転に減りますが踊り方は変わりません。一方、アンダーアーム・ターンは1歩目の前進から2歩目は元の足に体重を戻す直線上の移動になります。

以上が私の理解している違いです。アレマーナ・ターンをスポット・ターンにして踊ることもできますが、違いを知り、違いをつけて踊れると楽しいと思います。勿論、男性のリードにも違いがあり、女性がそれに的確に反応しなくてはならないと思っています。

◆アンダーアームは直訳すると「腕の下」という意味の英語ですが、実の所は「脇」のこと。脇を直接的に表わすアームピットという英語もありますが、アンダーアームはそれを上品に表現したものです。

 

 

★アンダーソン/G.K.アンダーソン(G. Kenneth. Anderson)《用語集に収録されていない情報です》
1920年フォックストロットのオープン競技会が開催され、当時全く無名だったカップル、ミス・ジョセフィン・ブラッドリーとミスター・G.K.アンダーソンに素晴らしい賞が審査員から与えられました。二人が用いたステップは大変シンプルなもので、ウォーク、スリー・ステップ、クロス・ビハインドとサイド・ステップで、サイド・ステップはLODに対し45度に使い、足をゆっくりドラッグし、チェンジ・オブ・ディレクションに良く似ていました。二人は第1回‘アイボリー・クロス全英選手権’でも引き続き成功を収めました。
「モダン・ボールルーム・ダンシング(ビクター・シルベスター著より)」

 

 

036 アンダーターン(Underturn)
正規の回転量より少なく回ること。例えば、ワルツのナチュラル・スピン・ターンの正規の回転量は6歩間で1 + 1/4回転ですから、男性は壁斜めに面して始め、同じLODの中央斜めに背面して終わりますが、コーナーでは同じ踊り方ができないため回転量を3/4回転に減らして、新LODの中央斜めに背面して終わる踊り方をします。こうした場合、スピン・ターンを「アンダーターンする/~した」と表現します。➡075 オーバーターン289 ターン

◆アンダーターンド(Underturned)と言う場合は、「回転量を少なくした」の意味で、ガイ・ハワード氏のテキストにはアンダーターンド・アウトサイド・スピンというフィガーが載っています。

 

 

037 アンチクロックワイズ(Anticlockwise)
反時計回り。ムービング・ダンスでフロアを回る方向はアンチクロックワイズです。時計回りはクロックワイズ(Clockwise)です。

 

038 アンド(and/&)

1. 1拍を等分割(1/2拍と1/2拍に)したときの後の方のカウント。例えば、ワルツのシャッセ・フロム・PPのカウント(12&3)の長さは、それぞれ1拍、1/2拍、1/2拍、1拍です。

2. 英語の「~と」の意味。

★タンゴは2/4拍子で(1 &2 &) とカウントします。(1 &)も(2 &)もそれぞれに(S)カウントですが、後ろ足がフロアから離れるのは“アンド”の“ド”の 所です。(オリバー)

 

 

039 イン・ライン(In Line)

1.  二人が正対した形でステップすること。「イン・ラインにステップする」とは、二人が向き合って組んでいますから、左足の場合は相手の右外側方向にステップし、右足の場合は相手の足の間の方向にステップします。「アウトサイドからイン・ラインに戻る」のようにも使います。

2. スクエア(正対)の意味。

 

 

040 インクライン(Incline)/インクリネーション(Inclination)
インクラインは「傾斜する、体を曲げる、頭を下げる」と言う英語の動詞でインクリネーションはその名詞。ダンスでは体を前に曲げたり後ろに反らしたりすることで、用語の使い方としてサンバのナチュラル・ロールを例にとると、「男性は前半で後方(女性は前方)にインクラインする」、あるいは、「男性は前半で後方(女性は前方)へのインクリネーションを使う」という表現になります。

◆英国のテキストで、リーン/リーニング(Lean/Leaning)の表現を使う場合がありますが同じ意味です。一般にインクライン、インクリネーション、リーン、リーニングは前後に対して用い、左右への傾斜にはスウェイを使う傾向がありますが、区別しないケースもありますので頭を柔軟にしておきましょう。➡224 スウェイ

 

 

041 インサイド(Inside)
「~の内側」の意味の英語。➡005 アウトサイド

 

042 インサイド・エッジ(Inside Edge)
足の「内側のへり」のこと。略語はIE。用語としてはタンゴに多く使われ、例えば足の内側全体を使う「インサイド・エッジ・オブ・フット(~ of Foot)」、ボールの内側を使う「インサイド・エッジ・オブ・ボール(~ of Ball)」という風に使われます。インサイド・エッジはスピードや回転を急激に抑えるブレーキの役目として使われたり、膝を閉める動作に使われたりします。

 

043 インサイド・ターン(Inside of a Turn)
009 アウトサイド・ターンとインサイド・ターン289 ターン

 

044 イントロ(Intro)/イントロダクション(Introduction)
音楽の序章、前奏。本や話などの前置き、序論。ダンス音楽では通常4小節か8小節のイントロがあり、それに対する振り付けもイントロと言います。

 

045 インバーティド(Inverted)
英語の意味は「逆の、逆さまにする、ひっくり返す」。

◆フィガーとしては、インバーティド・スイブルとインバーティド・スローアウェイ・オーバースウェイがジェフリー・ハーン氏のテキストに出ています。後者の踊り方では、女性のスローアウェイする足が右足になります。

 

 

046 インピタス・ターン(Impetus Turn)【W/F/Q】
3歩で構成される基本フィガーのひとつ。このフィガーをPPで終わるとオープン・インピタス・ターンに、閉じた形のまま終わるとインピタス・ターン、あるいは、クローズド・インピタス・ターンと言います。ターンをつけないで言う場合もあります。インピタスは英語で「勢い、弾み、機動力」の意味。

◆男性がヒール・ターンするのはこのインピタス・ターンの仲間だけです。また、通常、3歩間で行なわれる回転では、内回りの人は1~2歩間で必要な回転量を得て、外回りの人は1~2歩間と2~3歩間で回転を分割して踊りますが、このインピタス・ターンでは内回り外回り共に、同じタイミングで回転し同じタイミングでライズする珍しいフィガーです。

◆インピタス・ターンで大きなスイングをしようとして、男性はヒール・ターンを使わない場合がありますが、それもOKです。この踊り方は「ボールルーム・ダンシング」に出ており、実際にトップ・ダンサーも使っています。

 

 

 

047 ウィーブ(Weave)【W/F/Q】
基本フィガーのひとつ。

◆ウィーブは英語で「布を織る、糸を紡ぐ、他の車を避けながら進む」様子を表す意味があり、二人の足の軌跡からその意味が理解できると思います。ウィーブが付くフィガーには、ウィーブ・フロム・PP、ベーシック・ウィーブ、クイック・ウィーブ、ナチュラル・ウィーブ、ランニング・ウィーブなどがあります。

 

 

047-1 ウィーブ・エンディング(Weave Ending)
あるフィガーの終わり、あるいは途中からウィーブの4~6歩に続ける踊り方を説明するときに使います。ウィーブ・フィニッシュ(~ Finish)と言うこともありますし、「アウトサイド・チェンジにつなげる」と言うこともあります。

 

048 ウィーブ・イン・ワルツ・タイム(Weave In Waltz Time)【W】
「ワルツのリズムで踊る(フォックストロットの)ウィーブ」と言う意味で、リバース・ターン3歩目の後、男性右足後退から左足前進に切り替えて入るウィーブの踊り方を言います。「(ザ)ウィーブ」とも言います。

 

049 ウィスク(Whisk)【W/F/Q/T/S】
基本フィガーのひとつ。その発展形として、レフト・ウィスク、バック・ウィスク、フォーラウェイ・ウィスクがあり、ラテンではサンバ・ウィスクがあります。ウイスク、ホイスクとも書きます。

◆英語の意味には「小箒(こぼうき)でサッと掃く様子、牛や馬がしっぽでハエなどを追い払う様子、あるいは、魚が岩陰にサッと隠れる動作」があり、「(料理用)泡立て器、泡立てる」意味でも使われます。

◆ウィスクの考案について調べたことを列記します。

(1) ウィスクの発案と命名者はパット&アレックス・ムーア(Pat and Alex Moore)です。(P.ヘイラー)

(2) このフィガーをはじめてフォックストロットで使ったのはアレックス・ムーアで、プロムナード・フェザーに続けました。(K.アクリル)  

(3) キングストンにあったアレックス・ムーアの学校でレッスンを受けていたカール・ブライアント(Carl Bryant)が1930年代にこのフィガーを創ったとガイ・ハワードが語ってくれました。(L.ウェインライト)  

(4) 「ロンドンはサボイ・ホテルでのパーティー会場でのこと。ウェイターがフロアにスープをこぼし、拭き取った所を左足からのクローズド・チェンジを踊ろうとした男性が2歩目で足を滑らせ、とっさに左足を後ろにクロスしてバランスを保ちました。これがウィスクの始まり。男性は続けて右足からのクローズド・チェンジを踊ろうとしましたが、2歩目でまたまた足が滑ったため、とっさに1歩多くステップしたのがシャッセ・フロム・PPの始まりでした」。このような話を、元世界チャンピオンのステファン・ヒリヤー(Stephen Hillier)氏が話されているビデオを見たことがあります。 

(5) ムーア氏は無類のウイスキー好きで、レッスンの前にはいつも1、2杯飲んでいました。そんなあるとき、左足からのクローズド・チェンジを踊ろうとしてよろけ、すかさず左足を右足後ろにかけたのがウィスクの起こりです。ウイスキーのおかげで生まれたこのフィガーの命名には手間をかけず、(ウイスキーのwhiskyから’y’を取って)ウィスクとしました。(オリバー)

どれが正しいのか分かりませんが、どれも楽しい話であることは間違いありません。

 

★多くの女性が「ウィスクで右を向く」と主張しているのを知っていますが、私が言う、「左を向いている方が良いという踊り方」の方が踊りにくいと言う男性には、いまだ会ったことがありません。(L.スクリブナー)

★女性としての私の感覚は、ウィスクの3歩はずっとバックし続け、前進してくる男性のスペースを作っているような感じです。もし女性が単に男性にくっついて後退していく感じで踊ったとすると、スペースが作られないのでバランスを崩すことになります。(ロレイン)

 

 

050 ウィップ(Whip)【J】
基本フィガーのひとつ。英語の意味は「何かを鞭打つこと、強くかき混ぜること」で、「泡立てる」意味のウィスクよりも強く勢いがあります。卵白や生クリームを撹かくはん拌したホイップと同じですから、ホイップと書いても間違いではありません。

 

051 ウィップラッシュ(Whiplash)【W/F/Q】
英語の意味は「鞭のひも、鞭打ち」。「鞭。鞭で打つこと」で、PPから入る女
性の右足が鞭の一振りの動きを表現しています。チェアから発展したフィガー。➡312 チェア

◆英語のWhiplash のラッシュ(lash)は鞭の「ひも」の部分を指しています。ウィップそのものには「激しく打つ」意味があり、棒のようなもので叩いてもウィップになりますが、そこに紐がくっついて「ムチ」になっています。

★もともとのチェアは、PPから女性が内側の足をステップしてスイブル、そして、アウトサイドに出てから再びスイブルと、二回スイブルを踊っていました。このアクションはとても速く、ほとんどの人がそのスピードについて行けなかったので、ゆっくり踊れるような形に発展させ、ラインを強調したのがウィップラッシュとなりました。(R.グリーブ)

 

 

052 ヴィニーズ・クロス(Viennese Cross)【T】
タンゴで使われるフィガー。ベーシック・リバース・ターンのカウント(QQSQQS)を(QQ&QQ&)に変えた踊り方。

★1961年、チャールズ・シーボルト (Charles Thiebault) のレッスンを受けているとき、彼は考案したフォー・フェザーズを見せてくれました。また、ダブル・リバース・スピンの次に男性が左足でピボットし、そこから男性が女性のダブル・リバース・スピンを踊る踊り方を披露してくれましたが、私は男性がヒール・ターンするのが気に入らなかったので、今のダブル・リバース・スピンからのオーバー・スピン、そしてヴィニーズ・クロスの形を考え出しました。(ビル・アービン)

 

 

053 ヴィニーズ・ワルツ(Viennese Waltz)
ウィンナ・ワルツとも書きます。音楽は軽快な3/4拍子。基本リズムは(123、123)で1にアクセントがあります。競技会用のテンポは1分間に60小節くらい。踊りの起源は1700年代の後半に南ドイツで作られ、農民たちがレントラーと呼ぶ速いテンポで回転する踊りが1800年代に全ヨーロッパとアメリカで広がったものと考えられています。

◆ヴィニーズは英語で「ウィーン(人)の、ウィーン風の」の意味。ウィンナを広辞苑で引くと、英語の(Vienna)とドイツ語の(Wienna)が併記されています。どちらの発音も「ヴィエナ」ですが、ドイツ語綴りを日本人が英語読みしたところから「ウィーン」が出たのだと思われます。

◆ヴィニーズ・ワルツは通常の教師用テキストにはなぜか載っていません。また、ヴィニーズ・ワルツの小冊子には7種類のフィガーしか記載されていません。1930年代の世界チャンピオン、ジョニー・ウェルズ&レニー・シソン(Jonny Wells and Renee Sissons)の写真を掲げるDANCEPLAZA.COM(*青文字は修正追加)HPは次のように書かれていました ― 「1960年代に競技会で使われるべきヴィニーズ・ワルツのフィガー議論が英国とドイツの間で盛んに行なわれ、1983年、ICBD(International Council of Ballroom Dancingの略。国際ダンス評議会。現WDC)が最終決定として、ナチュラル・ターン、リバース・ターン、ナチュラルからのフット・チェンジ、リバースからのフット・チェンジ、ナチュラル・フレッカール、リバース・フレッカール、そしてリバースからナチュラルに切り替えるときのコントラ・チェックと決められた」 ―― なぜフィガー数の調整をする必要があったのか疑問でしたが、「制限をなくすと踊りの特徴が失われる危険があるから」と、R.グリーブさんからお聞きしたことがあります。

◆1833年にミス・セルバート(Miss Celbart)が発行した作法の本Good Behaviour には、「既婚の女性は踊っても良いが、未婚の女性が踊るにはあまりにもふしだらな踊りです」と書かれているようです。知らない男性に抱擁されるような形に不快感を抱いたようです。

 

 

054 ウィング(Wing)【W/Q】
3歩構成の基本フィガーで、3歩間に女性が男性の右から左アウトサイドへ移動します。

◆ウィングの意味は「翼」としてよく知られていますが、このフィガーから翼をイメージするのは難しくありませんか? しかし、ウィングの意味を「中央から左右に出ている部分」と知ると、空港の建物に「南ウィング」があったり、舞台の「そで」をウィングと呼んだりする訳がわかります。考えてみると、翼も体の左右にはみ出したものでした。ウィングには他にもスカートの「ヒラヒラした動き」の意味もあります。そして、これはとても余談になってしまいますが、二の腕の肉が緩み、「タプタプ」して気にしている女性も多いかと思いますが、これを「ビンゴ・ウィング」と話している英国人がいました。説明は要らないと思いますが、ビンゴで当たって手を振り上げているときに「パタパタ」しているからです。

★この名前は親鳥がひな鳥の上に翼を広げている様子から付けられました。(オリバー)

 

 

055 ウィンドー(Window)
スタンダードで使われる表現で、正対してホールドしたときに、相手の右肩から自分の左肘までの幅を持つ仮想の窓のことで、そこから外の風景を眺めるようにすると美しいシルエットができます。

 

056 ウィンドミル(Windmill)【J/Q】
基本フィガーのひとつ。

1. 英語の意味は「風車」で、ジャイブのウィンドミルはその動きから一目瞭然です。

2. ポピュラー・バリエーション集のクイックステップにはウィンドミルの名前がつけられたアマルガメーション(9種類のフィガーを組み合わせたもの)が紹介されています。

◆ウィンドミルはウィンド(風)の力を利用したミル(粉引き器)と言う意味の言葉です。「えっ、ウィンドー・ミルじゃなかったの?」と聞かれたことがありますが、「ウィンドー(Window)」は窓で「ウィンド」は風。でも、あながち外れていないようです。ウィンドーの語源を調べると、ウィンド「wind(風)」のオー「ow(目)」から来ているとありましたから。

 

 

057 ウォーク(Walk)
前後に動く「1歩」のこと。2歩以上になると「ウォークス」となります。ラテンとスタンダードでも用いられる用語です。また、ムービング・ダンスでの予備歩を指す場合もあります。

◆タンゴのウォークのルール

1.  男女共に左足前進はCBMPにステップします。そのため、フットワークはHと記載されていますが、実際の左足は僅かにアウトサイド・エッジから床に着きます。

2. 男女共に右足後退はCBMPにステップします。そのため、フットワークはBHと記載されていますが、実際の右足は僅かにアウトサイド・エッジから床に着きます。

3. 男女共に右足前進は右サイド・リードを使います。そのため、フットワークはHと記載されていますが、実際の右足は僅かにインサイド・エッジから床に着きます。

4. 男女共に左足後退は左サイド・リードを使います。そのため、フットワークはBHと記載されていますが、実際の左足は僅かにインサイド・エッジから床に着きます。また、男性は右足の上にポイズを長く残しておくため、左サイド・リードで左足後退してヒールが下りたとき、その前の右足はトウが床に残っています。女性の後退では、しかしながら、ヒールがあるため男性と同じ動きにはなりません。

5. PPからスタートする殆どのフィガーの1歩目と2歩目はヒールから出ます。

 

◆少し面白いのは、クイックステップとフォックストロットでも踊りの途中にウォークが入ってくることがあることです。クイックステップでは中央斜めに入ったプログレッシブ・シャッセからクイック・オープン・リバースにつなげるとき、クイック・オープン・リバースに入る直前の男性の右足をウォークと捉えることができますし、フォックストロットのスリー・ステップの男性の1歩目左足もウォークといえます。いずれのステップでもフットワークはタンゴのウォークと同じ(H)でライズがありません。➡622 ルンバ・ウォーク

★私はウォーク・アクションを理解しマスターすることが、ダンスの上達の大いなる秘訣と思っています。(L.スクリブナー)

★ボールルーム・ダンスは踊るような形で歩くことから成り立っていますので、ダンスが上手になるには歩き方を学ばなくてはなりません。(オリバー)

★例えば街を歩く場合、一定のテンポで歩き、スピードを上げたいときは、体全部のスピードを上げますが、ダンスでは、これはやってはいけないことです。ボディ・ウエイトを移動させるには、ボディ・パーツのタイミングを分けなくてはなりません。(B.ワトソン)

★足型図の本に示された1歩1歩に足を置くだけでは、ストロボで照らし出された静止画像と同じで、動きは途切れてしまいます。そこで「足型図では踊れない」となるのですが、1歩1歩を追いかけるだけでは踊りにはなりません。それは、テキスト、ビデオ、ハウツー本でも同じです。なぜなら、踊りはこの1歩と次の1歩の間に存在しているからです。(サークルで)

 

 

058 ウォルター・レアード(Walter Laird 1920-2002)
ハリー・スミスハンプシャー(HarrySmith-Hampshire)は彼を次のように表現しています ― 「ラテン・アメリカン・ダンスを発展させた崇高な父であり、彼の著書、テクニーク・オブ・ラテン・ダンシングは高い目標を持っているラテン・ダンサーにとりバイブルである」と。幼少の頃からダンスを始めた彼は、最初の奥様となるアンドレ・ライオンス(Andre Lyons)とパートナーを組み、英国初のエイト・ダンス・チャンピオンとなり、1955年までに8種目戦(W. T. SF.Q. R. Sa P.J)のイングリッシュ・プロフェッショナル・チャンピオンに3度輝いています。その奥様と別れた後、1960年代になるとロレイン(Lorraine Reynolds)とパートナーを組み世界選手権、ヨーロッパ選手権でそれぞれ3度優勝したのを始め、数々の優勝をしています。前述の彼のテキストは1961年に発行され、その後改定しながらIDTAのラテン教本として現在まで使われています。彼はアンドレと知り合った頃、英国国立航空研究所でコックピットの計器設計と言う極秘の仕事についていたのですが、そうした能力が、彼がテキストの中で行なったラテン・ダンスの動きの細かな分析に役立っていたのではないか、とする人もいます。(参考文献:Ballroom Icons)

 

059 ウッドペッカー(Woodpecker)【Q】
その場でホップしながら、もう一方の足のトウで床をトントンと叩くステップ。床をトントンと叩かず、移動しながら行なうトラベリング・ウッドペッカー・アクションと言うのもあります。➡431 ピクチャー・ステップ

◆ウッドペッカーは「きつつき/啄木鳥」のこと。木を突くのには、巣穴を作る、採餌する他に、コミュニケーションの目的もあるようです。

 

 

060 エカール(Ecart)【P】
ISTDテキストに出てくるパソ・ドブレのフィガー名で、フォーラウェイ・ウィスクの別名が付いています。エカルトと書くこともあります。

◆「もともとのフィガー名はエカール・エ・ベロニク(Ecart et Veronique)でした」と(Concise)に書いてあります。つまり、「エカールとベロニク」の意味ですが、エカールは仏語で「(基準から)外れること、逸脱すること、ギャップ」のことで、英語のフォーラウェイと同じ意味。一方、ベロニク(英語はveronica / speedwell)は花の「オオイヌノフグリ」のこと。「十字架を背負って刑場に向かうキリストの顔の汗を拭いた女性のハンカチにキリストの顔が浮かび上がると言う奇跡が起き、そのときの女性の名前がベロニカである。オオイヌノフグリの美しい花をよく見ると、花の中にキリストらしい人の顔が浮かび上がってくる」と、「身近な雑草の愉快な生き方」(稲垣栄洋著/ちくま文庫)に書いてありました。ベロニカに関してはここまで調べがつきましたが、フィガー名とのつながりが見えていません。更なる調査が必要です。

 

 

061 エキストラ(Extra)
エキストラとは「余分な、臨時の、番外の」と言う英語の意味で、ひとつのステップに対し、余分に(S)カウントを使うカウントをエキストラ・スロー、決められた回数より多く回るスピンをエキストラ・スピンと表現したりします。

 

062 エクステンディド(Extended)
英語で「延長した/する」の意味があり、これがフィガー名と一緒になったときにはそのフィガーの一部を繰り返して歩数を増やして踊ることを言います。エクステンディド・ウィーブ(~ Weave)ではウィーブの4、5歩目を2度繰り返し、エクステンディド・ファイブ・ステップ(~ Five Step)では3、4歩目を繰り返して踊ります。エクステンディド・ホバー・クロス(~ Hover Cross)は4歩目の後に2歩追加する踊り方で、女性はホバー・クロスした足をほどいて男性を軸に男性の周りを移動します。

 

063 エクステンディド・リバース・ウェイブ(Extended Reverse Wave)

◆踊り方:(1)リバース・ターンの3歩(SQQ)、(2)バック・スリー・ステップの3歩(SQQ)(ここまではリバース・ウェイブの1~6歩目です)と、(3)バック・フェザーの3歩(SQQ)、(4)バック・スリー・ステップ3歩(SQQ)から構成されています。男性は(2)と(4)で、女性のスリー・ステップを、(3)では女性のフェザー・ステップを踊ります。

★このフィガーでは男性がよくフットワークの間違いを犯しますので、間違わなくて済む大切なアドバイスをしましょう。男性は第1Qのステップではトウに踏みとどまります! (オリバー)

★エクステンディド・リバース・ウェイブをイン・ラインで踊り通す踊り方はビル&ボビー・アービンのトレードマークでした。ビルはこの踊り方をエクステンディド・ウェイブと呼んでいました。(オリバー)

 

 

064 エスコート(Escort)
踊りの始めで男性が女性をフロアにお連れし、踊りの後では女性を席までお届けすること。つないだ手の肘は少し曲がります。

 

065 エスコート・ポジション(Escort Position)【LA】
エスコート時と同じ形になること。ニュー・ヨーク1歩目の形。

 

066 エチケット(Etiquette)とマナー(Manner)
英語のマナーには他人に対して、あるいは、他人と共にとるべき最低限の形の意味があります。一方、エチケットは昔の仏語からきており、「宮廷の門に貼り付けられた紙切れ(チケット)」の意味で、正式な式典が行なわれた際、招待客には式典に参加したときの役割を書き記した小さな紙の招待状が送られたことに由来します。転じて現在は、催し物などの場面で「当然行なわれるべきこと」の意味に使われています(参考 Crab’s English Synonyms)。そのためか、欧米のウェブサイトでダンスのマナーについて調べると、エチケットとして書かれているのを多く見かけます。

 

067 エックス・ライン(X Line)【ST】
男女がPPから外側の足を横の方へ開き、正面から見たときにアルファベットの「X」に見えます。➡431 ピクチャー・ステップ

 

068 エル・オー・ディー (LOD)
LODとはLine of Dance(ライン・オブ・ダンス)の略で、フロアにおける踊りが進んでいく4つの反時計回りの進行方向のこと。時として壁のほうへ、時として中央のほうへと踊りながらも、大きな左回りの流れの中で進んでいきます。LODはスタンダード種目の他、ラテンのサンバとパソ・ドブレで使用されます。この流れに逆らって動くとき、「逆LOD」の表現が使われます。

 

 ♦068-1 アクロスLOD(Across LOD)
LODには4つの進行方向の意味の他に、もうひとつの概念があり、それは縦横無尽に存在する見えない仮想の線(LOD)のことです。例えば今、一歩踏み出したとすると、その足先に壁と並行するLODがあると見なします。その足を少しずらすと、そこにも別のLODがあると見なします。「同じLOD上に」とか「アクロスLOD/LODをアクロスして/LODを越える」などの表現は、こうした概念の上に成り立っています。クイックステップを例にとると、クオーター・ターン2歩目はLODに沿ってステップですが、ナチュラル・ターンの2歩目は1歩目を置いた所のLODを越えてステップするため、「LODを越えて/横切って」の意味で「アクロスLOD」が使われます。

 

 ♦068-2 ニューLOD/新LOD(New LOD)
今のLODから次のLODに踊りの進行が変わるとき、次のLODを、ニューLOD/新LODと表現します。右図を見ると、男性は「壁斜めに面して」ナチュラル・スピン・ターン(アンダー・ターンド)を踊り始め、リバース・ターンの4~6歩目につなげて終わった所です。さて、フロアがA-A’の先(図の上のほう)まで続いていて、次にリバース・ターンを踊る場合、1歩目は同じLODの中央斜めにステップし、6歩目は同じLODの壁斜めに終わることになります。所がフロアがA-A’で終わる場合、方向転換してLOD2に進んでいかなければなりません。ここでは、ウィスクを使うことにしましょう ― ウィスクの1歩目はリバース・ターンの1歩目と同じ方向へステップしますが、フィガーそのものはLOD2に対して踊ることになるため、1歩目の方向は『中央斜めに』とは言わず、「新LODの壁斜めに」と言う表現をします。LOD1からLOD2に変わるからです。ここでもし「壁斜めに」と言ってしまうと、元のLODの壁斜め、つまり、ナチュラル・スピン・ターンの踊り始めと同じ方向を指してしまうため、正しい方向にウィスクを踊ることができません。そこで、文章の中や、正確な説明が求められる場合には「新LOD」の表現を使うことになります。勿論、サークルのレッスンでも個人レッスンでも、いちいち「新LOD」と言う必要はありませんが、いま、どのLODに対して踊っているのか認識しながら踊ることは大切です。

 

 ♦068-3 ダウンLOD(Down LOD)
「LODの方向に」の意味です。

 

069 エレベーション(Elevation)【P】
パソ・ドブレのシャッセで使われる踊り方で、上体をアップに保ったままシャッセします。エレベーションは英語で「高める、昇進」などの意味です。

 

070 エレベーション・ライズ(Elevation Rise)【ST】
★その場で足首を使って継続するライズのこと。例えば、ワルツの1~2歩目にかけてスイング・ライズし、次の3にかけてはその場で足首を使って継続するライズしますが、これをエレベーション・ライズと言います。(R.グリーブ)➡592 ライズ

 

 ♦071 エロス・ライン(Eros Line)【ST】エロスは恋のキューピッドのことで、その名はロンドンのピカデリー広場にあるエロス像の形に似ているところから付けられたと聞いたことがあります。キューピッド・ライン(Cupid ~)とかアラベスク・ライン(Arabesque ~)とも言われ、次の種類があります。➡431 ピクチャー・ステップ

 

 ♦071-1 エロス・ライン・トゥ・ライト(~ to Right)
最もポピュラーな形で、女性は男性の右側で左足に立ち、右膝から先を折るように後ろに上げます。ワルツでの一例を挙げると、オープン・ナチュラル・ターン(1~3) ~ クイック・アウトサイド・スピン(&1&) ~ スピン&ピボット(23) ~ 男性はヒール・プルから右足体重のままボディを右に回していき、女性を右へのエロス・ラインへ(1231) ~ 男性は女性とスクエアに戻りながらカーブド・フェザー(23) ~ オープン・インピタス・ターン(123)。

 

 ♦071-2 エロス・ライン・トゥ・レフト(~ to Left)
女性は男性の右側で右足に立ち、左膝から先を折るように後ろに上げる形で、アティチュード・ライン(Attitude Line)とも言われます。セイム・フット・ランジからスイブル、あるいはヒンジの後に使われます。この後はセイム・フット・ランジ・ポイントの形になります。ワルツでの一例を挙げると、セイム・フット・ランジ(123) ~ 男性は左足に体重移動しながら、女性を左足を軸に左へスイブルさせ(1) ~ 女性を左へのエロス・ラインへ(23) ~ 男性は右足体重になりながら女性をセイム・フット・ランジ・ポイントへ(&1) ~ ウィーブ・エンディングへ。

 

 

072 エンディング(Ending)

1. 音楽の終わりの部分。
2. 踊りの終わりの振り付け部分。
3. あるフィガーの終わり方(PPエンディングなど)の意味で使われます。リバース・エンディング(Reverse ~)とはリバース・ターンの4~6に繋げる踊り方で、ウィーブ・エンディング(Weave ~)とは、あるフィガーの終わり、あるいは途中からウィーブの4~6歩に続ける踊り方を説明するときに使い、ウィーブ・フィニッシュ(~ Finish)と言うこともあります。

 

 

073 エントリー(Entry)

1. 音楽の導入部
2. 踊り始めの振り付け部分(この振り付けには音楽のイントロ部分を使いますが、それ以上長く使うこともあります)。
3. 競技会などへの「参加、参加者、総出場者」。例えばアマチュアの競技会の区分として次のようなものがあります。

  • アダルト・アマチュア(Adult Amateur)16才以上のアマチュア。
  • アンダー・フォーティーン(Under 14)14才までの少年少女。
  • オーバー・フィフティ(Over 50)50才以上。
  • オーバー・フォーティファイブ(Over 45)45才以上。
  • オープン(Open)国籍、戦績を問わない。
  • シニア(Senior)35才以上。
  • ジュニア(Junior)16才までの年少者。
  • ジュビナイル(Juvenile)12才までの少年少女。
  • ユース(Youth)21才までの青年。
  • ライジング・スター(Rising Star)過去に準決勝入りした選手を除くカップル。

★練習のときにはある程度の自己批判や分析は上手になるために必要だが、競技会のフロアに立ったなら、もう練習ではない。自分たちが一番素晴らしいと考えるときです。センスを生かして自信を持って踊り、最大限に楽しむときなのです。自分とパートナーのために踊りなさい。(L.スクリブナー)

 

 

074 オーバースウェイ(Oversway)【ST】
テキストではタンゴで扱われているフィガーですが、スタンダード種目で広く用いられるピクチャー・ステップのひとつ。この動きの中でオーバーにするのは男性の左回転で、その上でスウェイをかけます。結果的に、女性の左肩が左腰を越えていきます。男女の足の位置は、スウェイのときと同じです。

★オーバースウェイはタンゴのオープン・リバース・ターン、パートナー・イン・ラインから発展しました。(P.ヘイラー)

★日本からの知的な質問にお答えしましょう。オーバースウェイの名は、厳密にいえば踊りを正しく表現していません。なぜなら、オーバーにスウェイすると言うよりボディをオーバーターンするからです。今日、不思議なことに、スウェイの言葉があるために、ボディ・ターンの中に強い右スウェイが加わるようになりました。(P.ヘイラー)

 

 

075 オーバーターン(Overturn)
正規の回転量より多く回ることで、オーバーターンド(Overturned)と言った場合は「回転量を多くした」の意味です。反対はアンダーターン。➡036 アンダーターン289 ターン

 

 

オーバーターンド・ターニング・ロック(Overturned Turning Lock)(用語集にはありません)
288 ターニング・ロック・トゥ・R

 

076 オープン(Open)
「開いた」と言う意味の英語。➡144 クローズド

1.  フィガー名に付いている場合は、

(1)最終歩で足が揃わないで終わる場合(例:オープン・プロムナード)
(2)最後にPPで終わる形の場合(例:オープン・テレマーク)
(3)オープン・ポジションで踊り始める場合(例:オープン・ヒップ・ツイスト)の3通りの使い方で用いられます。

2. 参加資格を問わない間口を開いた競技会のこと。

 

 

077 オープン・カウンター・プロムナード・ポジション(Open Counter Promenade Position)【LA】
ルンバのニュー・ヨーク1歩目の形のように、通常のPPの形とは逆向きで内側の手をつなぎ、外側の手が離れた状態を指します。英語の頭文字を取ってオープン・シー・ピー・ピー(Open C.P.P.)とも言います。

 

078 オープン・シャッセ(Open Chasse)
踊りのスピードに対応するため2歩目を完全に閉じない、半分くらいで閉じるシャッセ。例えば、クイックステップのティプル・シャッセやティプシーはオープン・シャッセです。ハーフ・シャッセとも言います。

 

079 オープン・ターン(Open Turn)【ST】
回転の3歩目で両足が揃わない形をとる踊り方。例えば、フォックストロットの男性のナチュラル・ターンは前半も後半もオープン・ターンですが、クイックステップの男性のナチュラル・ターン前半は両足が揃うのでクローズド・ターンで、後半はヘジテイトでするのでオープン・ターンになります。➡146 クローズド・ターン

 

080 オープン・テレマーク(Open Telemark)【W/F/Q】
基本フィガーのひとつで女性がヒール・ターンします。フィガーの最後でPPになるため「オープン」が付いています。PPにならない場合は(クローズド)テレマークと言います。

 

081 オープン・ナチュラル・ターン(Open Natural Turn)【W/Q】
ナチュラル・ターンの3歩目がフォックストロットのステップのように前後に開く踊り方。パッシング・ナチュラル・ターン(Passing~)とも言います。PPから始める場合が多いので、PPの形がオープンと考えてしまいますが、スクエアで踊り始めても2歩目に3歩目が揃わなければオープン・ナチュラル・ターンになります。

 

082 オープン・ヒップ・ツイスト(Open Hip Twist)【R/C】
基本フィガーのひとつ。「オープン」はオープン・ポジションで踊り始めるために付いています。➡148 クローズド・ヒップ・ツイスト

 

083 オープン・フィニッシュ(Open Finish)
タンゴのオープン・プロムナードのように、フィガーの最後で足を開いて終わること。➡149 クローズド・フィニッシュ

 

084 オープン・フォーラウェイ・ ポジション(Open Fallaway Position)【LA】
片手ホールドでしたフォーラウェイの形。ルンバのハンド・トゥ・ハンドの1歩目の形を、男性右手と女性左手のオープン・フォーラウェイ・ポジションと言
います。

 

085 オープン・ブレイク(Open Break)【LA】
ジルバのリンク1歩目のように、男女が向き合う形からお互いに1歩目で後退 → 元の足に体重を戻す → 揃えるステップ。➡494 ブレイク

 

086 オープン・プロムナード(Open Promenade)

1. タンゴのフィガー名: 4歩構成のフィガーで、男性は4歩目を女性のアウトサイドに出て終わります。オープン・プロムナード・イン・ラインと言う、4歩目で男性は右足を女性のイン・ラインに出ていく踊り方もあります。

◆「かつてこのフィガーは常にLODに沿って踊られており、中央斜めに進む選択肢ができたのは後になってからのことです」とケン・アクリル氏の資料にありました。

2.ルンバのニュー・ヨーク4歩目の形のように、片手で行なうプロムナード・ポジションのことも言います。

 

 

087 オープン・プロムナード・ポジション(Open Promenade Position)【LA】
ルンバのニュー・ヨーク4歩目のように通常のPPの形を片手で行なう形。単にオープン・ピー・ピー、あるいは、オープン・プロムナードとも言います。

 

088 オープン・ベーシック(Open Basic)【R/C】
クローズド、またはオープン・ポジションで踊る回転を伴わない前後のベーシック・ムーブメントのこと。オープン・ベーシック・ムーブメントとも言います。

 

089 オープン・ポジション(Open Position)【LA】
男性と女性が離れて向き合って立つ形の総称。これには片手ホールド、ダブル・ホールド、あるいは、ホールドなしの形が含まれます。

 

090 オープン・リバース・ターン(Open Reverse Turn)【T】
6歩構成のフィガーで、リバース・ターンの3歩目で男性が女性をアウトサイドにリードしながら後退する踊り方の「オープン・リバース・ターン・レディー・アウトサイド」と、3歩目で女性がイン・ラインに前進する「オープン・リバース・ターン・レディー・イン・ライン」と言う二種類があります。

◆後半の終わり方は、テキストではレディー・アウトサイドがオープン・フィニッシュ、レディー・イン・ラインはクローズド・フィニッシュになっていますが、実際に踊るときには終わり方を入れ替えても何ら問題ありません。

◆ヘンリー・ジェイクス氏の本によると、クローズド・フィニッシュはコルテ・フィニッシュとなっています。一方、オープン・フィニッシュの方は3歩目から殆ど回転しないで4歩目(S)で後退して女性を引き込み、そこから、プログレッシブ・サイド・ステップ(3歩)をするような7歩構成になっています。

 

 

091 オープン・ロック(Open Lock)
半分程度の浅く掛けるロックの仕方。例えば、クイックステップのホップ ~ シャッセ ~ ロックのアクションではきちっとロックせず、足が前後するくらいの所で終わらせます。これはスピードに対応するためです。

 

092 オープン・ロック(Open Rocks)【S】
サンバの基本フィガーのひとつで、男性がクローズド・ロックの動きをする間、女性は男性の右側と左側にルンバのオープニング・アウトの動きをします。

 

093 オナー・ダンス(Honour / Honor Dance)
優勝した人や入賞した人が特別に踊る栄誉の踊り。オナーは英語で「栄誉、名誉」の意味。辞書には「(ダンスで始めと終わりに相手に対する)お辞儀をする」意味も出ています。

 

094 オフ・バランス(Off Balance)
意図せずにバランスが崩れた状態になること。倒れそうな形になること。 ➡414 バランス

 

095 オフ・ビート(Offbeat)とオン・ビート(On Beat)
通常の4拍子の音楽では(強、弱、中強、弱)のように強い部分と弱い部分があり、この1拍目と3拍目にアクセントがくることをオン・ビートと言います。オン・ビートとは「ビートに乗っている」、すなわち、リズムに乗っていることで、「表拍」とも言います。一方、2拍目と4拍目の本来弱いところにアクセントを持ってくることをオフ・ビートと言い、「裏拍」と言うこともあります。英語のオフは「~に乗っていない、裏通りの」の意味があり、オフ・ビートには「風変わりな、普通でない」の意味がありますが、否定的な意味合いは少ないようです。一方、「音楽に合わない、調子はずれの」と言う場合には、アウト・オブ・チューン(out of tune)を使います。

 

096 オフ・ビート・スピン(Off-Beat Spin)【VW】
男性がカウント(1、2)で右足前進して強い右回転を起こし、カウント(3)で左足を横から後ろにステップし右回転を継続するフィガーで「ボールルーム・ダンシング」に紹介されています。

 

097 オブリーク・ライン(Oblique Line)【LA】
女性がバランスをとりながら斜めのラインを作るストーク・ラインの一種で、(主に)女性のボディが弧を描くようにしたのが特徴的です。オブリークは英語で「斜めの」の意味。➡431 ピクチャー・ステップ

 

098 オポジション・ポイント(Opposition Point)【ST】
ピクチャー・ステップのひとつで、正面から見ると男女の足が(ほぼ)対照的な形を造りだすフィガー。例えば、ワルツでライト・ランジを踊り、男性はライト・ランジと同じ形のままライズとスウェイ・チェンジの中で女性にフット・チェンジさせると、女性は右足に乗り左足がストレッチしたオポジション・ポイントになります。また別の例を挙げれば、タンゴでPPの形から1歩前進し、男性が左足に乗り、右足がまだ後ろにある形のまま、女性には右足体重のまま左足を前方に振り出すときにリードをすると、オポジション・ポイントになることができます。➡431 ピクチャー・ステップ

◆オポジションは「対照、反対」を意味する英語。こうした形をエックス・ラインと言う人もいます。

追記 2022/08/15

 

099 オルターナティブ(Alternative)
英語で「~の代わりの」の意味。例:サンバのオルターナティブ・ベーシック・ムーブメント。

 

100 オン・ビート(On Beat)
095 オフ・ビートとオン・ビート