MA77 更にうまくなる20の話(その14)フットワーク(HT)はヒールから出ない

投稿者: | 2021年3月24日

拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。

 

魔法の言葉 Part 2
MA77 更にうまくなる20の話
(その14)フットワーク(HT)はヒールから出ない

 

◇ ◇ ◇

 

  • Kさんの話
  • 結論は?
  • ひとつの実験
  • 細かなフットワークを示しているテキスト
  • サークルの初心者は
  • 君の足は大丈夫?

 

 

■Kさんの話

かつてのレッスンでKさんがこんな話をしてきました。

 

あるパーティーで、(スタンダードの)元アマチュア・チャンピオンのゲストがフットワークの詳しい説明をしてくれたのですが、『ヒールはヒールから出ないでボールから出る』というのです・・・」と。

 

それを聞き、彼女は自宅で練習を繰り返したものの、その意味が掴めずに何日も悩んだ結果の質問のようでした。

 

 

■結論は?

いったい、その説明は正しいのでしょうか? 

結論から言うと、「ヒールから出るのは正しい」ことです。けれど、「ボールから出る」と「より良い足運びになる」ということなのです。

 

 

■ひとつの実験

ワルツのナチュラル・ターンの中の1歩だけを使って実験してみましょう。

男性は1歩目の右足を出る時、女性は4歩目の右足を出る時、足の裏を次の順序で使ってみましょう。

(1)右足のボールが床を滑ってどんどん前に出て行き、
(2)限界直前にヒールになって、
(3)そこからフラットになります。このとき体重が完全に右足に移動しています(同時に左膝が右膝に寄ってきています)。

 

どうでしたか? 単に(H)から出たときより、遥かに歩幅が延び、かつ、静かに体重移動ができたのではありませんか? 中には、「いつもより、バック・バランスにならなかった」と感じた人もいたと思います。これが、アマチュア・チャンピオンが説明した「ボールから出ます」の理由です。

 

 

■細かなフットワークを示しているテキスト

アソシエイト・レベルを対象にケン・アクリル氏が書かれた “AN ANALYSIS OF THE MODERN TECHNIQUE TO ASSOCIATE LEVEL” というテキストがあります。下はワルツです。

 

 

その中のナチュラル・ターンのページを紹介しましょう。6歩の Detailed Footwork(細かなフットワーク)が書かれています。

 

 

男性1歩目右足と女性4歩目右足のフットワークは通常(HT)と話されていますが、ここでは【B→H→F→B】の順で示されています。興味のある方は、このフットワークで再び実験してみましょう。

 

この通りにやってみて体重移動が滑らかにならない人は、右足だけを使っている可能性があります。右足を送り出すには左足の働きが必要ですから、左足を使いながら右足を、先ほどのフットワークを使って出して行ってみてください。きっとうまく行くはずです。

 

※なぜ (HT)の分解ステップが【B.H.F.B】で【B.H.F.T】でないのかと疑問を持った人がいると思いますが、男性の2歩目(女性の5歩目)が着いてからもライズが継続していますので、著者はライズが完了していない1歩目(女性の4歩目)は【B.H.F.B】と考えているのだと思います。

 

 

■サークルの初心者は

初心者で大切なことは、まず、(HT)の場所ではきちんと(H)から出られるようになることです。そして、ムービング・レッグに力が入らないようにしましょう。

 

 

■君の足は大丈夫?

「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」(原題:The Irvine Legacy) の「第3章 君の足は大丈夫?」次のように始まります。

 

足を使っていないダンサーはタイヤのない車のようなものです。どういうフットワークをどう使うかという事はそれ程大切なことですから、かなり真剣に取り組まなければなりません。

 

これを読んでしまうと、熱心なダンサーはきっとこの先を読みたくなることでしょう!

 

 

ハッピー・ダンシング!