拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。
魔法の言葉 Part 2
MA77 更にうまくなる20の話
(その14)フットワーク(HT)はヒールから出ない
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- Kさんの話
- 結論は?
- ひとつの実験
- 細かなフットワークを示しているテキスト
- サークルの初心者は
- 君の足は大丈夫?
■Kさんの話
かつてのレッスンでKさんがこんな話をしてきました。
「あるパーティーで、(スタンダードの)元アマチュア・チャンピオンのゲストがフットワークの詳しい説明をしてくれたのですが、『ヒールはヒールから出ないでボールから出る』というのです・・・」と。
それを聞き、彼女は自宅で練習を繰り返したものの、その意味が掴めずに何日も悩んだ結果の質問のようでした。
■結論は?
いったい、その説明は正しいのでしょうか?
結論から言うと、「ヒールから出るのは正しい」ことです。けれど、「ボールから出る」と「より良い足運びになる」ということなのです。
■ひとつの実験:
ワルツのナチュラル・ターンの中の1歩だけを使って実験してみましょう。
男性は1歩目の右足を出る時、女性は4歩目の右足を出る時、足の裏を次の順序で使ってみましょう。
(1)右足のボールが床を滑ってどんどん前に出て行き、
(2)限界直前にヒールになって、
(3)そこからフラットになります。このとき体重が完全に右足に移動しています(同時に左膝が右膝に寄ってきています)。
どうでしたか? 単に(H)から出たときより、遥かに歩幅が延び、かつ、静かに体重移動ができたのではありませんか? 中には、「いつもより、バック・バランスにならなかった」と感じた人もいたと思います。これが、アマチュア・チャンピオンが説明した「ボールから出ます」の理由です。
■細かなフットワークを示しているテキスト
アソシエイト・レベルを対象にケン・アクリル氏が書かれた “AN ANALYSIS OF THE MODERN TECHNIQUE TO ASSOCIATE LEVEL” というテキストがあります。下はワルツです。
その中のナチュラル・ターンのページを紹介しましょう。6歩の Detailed Footwork(細かなフットワーク)が書かれています。
男性1歩目右足と女性4歩目右足のフットワークは通常(HT)と話されていますが、ここでは【B→H→F→B】の順で示されています。興味のある方は、このフットワークで再び実験してみましょう。
この通りにやってみて体重移動が滑らかにならない人は、右足だけを使っている可能性があります。右足を送り出すには左足の働きが必要ですから、左足を使いながら右足を、先ほどのフットワークを使って出して行ってみてください。きっとうまく行くはずです。
※なぜ (HT)の分解ステップが【B.H.F.B】で【B.H.F.T】でないのかと疑問を持った人がいると思いますが、男性の2歩目(女性の5歩目)が着いてからもライズが継続していますので、著者はライズが完了していない1歩目(女性の4歩目)は【B.H.F.B】と考えているのだと思います。
■サークルの初心者は
初心者で大切なことは、まず、(HT)の場所ではきちんと(H)から出られるようになることです。そして、ムービング・レッグに力が入らないようにしましょう。
■君の足は大丈夫?
「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」(原題:The Irvine Legacy) の「第3章 君の足は大丈夫?」次のように始まります。
足を使っていないダンサーはタイヤのない車のようなものです。どういうフットワークをどう使うかという事はそれ程大切なことですから、かなり真剣に取り組まなければなりません。
これを読んでしまうと、熱心なダンサーはきっとこの先を読みたくなることでしょう!
ハッピー・ダンシング!