質問65 チェイスとフォロー・マイ・リーダーのリードの違いは?

投稿者: | 2020年10月28日

サークルでチャチャチャのチェイスとフォロー・マイ・リーダーを習いました。ステップそのものは理解できたのですが、女性からチェイスとフォロー・マイ・リーダーの男性のリードがどのように違うのかはっきりしないと質問が出ました。会員の誰もが曖昧なままなので、女性にどちらのステップに入るのかが伝わりません。最初のリードをどのように変えたら良いのでしょうか? (HAさん)

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誰もが抱く疑問です。回答も難しく、「どう説明すると分かりやすいだろうか」と、書き直しを繰り返しているまに数日が経過してしまいました。そこで、今日は分かりやすい説明になることを祈りつつ、「エイ、ヤー!」と思い切って切り込むことにします。

 

回答するに当たり、

チェイスはこのHPのサルサで取り上げている「Salsa 02 チェイス」をチャチャチャ・ステップに変更した踊り方と理解します。また、

フォロー・マイ・リーダーは便宜上、このHPの(Cha 10 フォロー・マイ・リーダー変形バリエーション)で紹介している動画の、

    • IDTA(ハパライネン組)の踊り方を、フォロー・マイ・リーダー(1)
    • ISTDの踊り方をフォロー・マイ・リーダー(2)とします。

 

 

❶結論

「手の離し方はどうするか」「手が離れた後はどうするか」、その具体的な説明は少し長くなりますので、時間のない人のために私なりの結論を先にお話しします。

  1. 手の離し方で、次に入るフィガーのリード&フォローはできない。
  2. ホールドをしていないとき、女性は何をやっても良い。 

 

驚かれるかも知れませんが、これを覚えておくと便利です。つまり、男性が手を離したら、女性は男性が再びホールドしに来るまで、好きなことをしていて構いません。初心者にはベーシック・ステップやタイム・ステップなど、男性の方を向いたまま踊るシンプルな基本ステップをお勧めします。そのうちに男性が戻ってきます。

 

「せっかく習ったのだから、二人でチェイスやフォロー・マイ・リーダーを踊りたいです!」

こうした声が上がった場合に備え、男性にお勧めする方法があります。それは次のフィガーに入りながら、
 「よーし、チェイスだ!」
 「フォロー・ミー!」
と、楽しそうに声を出すことです。立派なリードになりますし、遊び心があるので、一層楽しいダンスになることでしょう。

 

 

ここから先は少し踏み込んだ説明になります。興味のある人は読み進んでください。

 

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手の離し方で、次に入るフィガーのリードはできない。

今回の二つのフィガーのように、男性が女性の手を「そこに置く」形で離す場合、男性は次に入るフィガーのリードをすることも、女性が次に何を踊るか判断することもできません。しかし、フォロー・マイ・リーダー(2)の動画は女性のアレマーナ・ターンから入っているので、

「フォロー・マイ・リーダー(2)には、アレマーナ・ターン(あるいは、アンダーアーム・ターン)から入らなければならない」

と考える人がいるかも知れませんが、そんなことはありません。チェイスと同じ要領でフォロー・マイ・リーダー(2)に入ることもできますし、逆に、アレマーナ・ターン(あるいは、アンダーアーム・ターン)からチェイスやフォロー・マイ・リーダー(1)に入ることもできます。このように、手の離し方で次のフィガーは決められないのが一般です。

 

 

❸どうやって女性は判断するか?

競技選手は離れていても二人で完璧な踊りをしていますが、それはそうした振付があるからです。勿論、そうした振付の中でもリード&フォローを意識して踊っています。

ですから、ある意味においては、決められた振付やルーティンのないフリーダンスの方がリード&フォローが難しいとも言えます。しかし、そのフリーで手が離れた場合であっても、ある程度の女性のフォローは可能です。

 

Cha 10 フォロー・マイ・リーダー変形バリエーション」の中の3つの動画を見ると、女性が踊りながら男性に注意を払い続けている様子が見られます。このように、手が離れている時、女性は男性の踊りに注意を払い、次にすることの手がかりを掴もうとしています。

 

別の簡単な例をお話しすると、ルンバやチャチャのスポット・ターンでは一瞬手が離れますが、女性は2歩目のステップに入りながら男性が次に何をしたいのか、様子を伺います。次がベーシック・ステップなのかニュー・ヨークなのかいろいろ選択肢があり、事前に分からないからです。

 

 

■チェイスの場合

女性はまだバック・ベーシックを踊っている時に男性がチェイスに入るので、女性は次の小節でチェイスに入れ良いことが分かります。つまり、女性は男性より1小節遅れて同じ踊りをすることになります。

女性がチェイスの1小節目を踊る躍る間は男性に背中を見せていてフォローできませんので、次に男性の方を向いたときに、男性が何をしているかを見極めます。もし男性の背中が見えていたら、それは男性がチェイスを繰り返した証拠ですから、女性も再びチェイスを踊ります。

これを繰り返し、男性が自分を向いてホールドしにくるのを待ちます。

 

 

■フォロー・マイ・リーダー(1)の場合:

女性の前半から後半にかけてはチェイスと同じ要領で踊ります。因みに、このフォロー・マイ・リーダー(1)では男性がフット・チェンジをますが、基本的にラテンで女性がフット・チェンジをすることはありません。離れていてリードできないからです。

 

後半の始まりで女性が「両足を揃え、スリップ・バックする」部分がありますが、ここはリードもフォローもない部分で、知らないとできません。ステップとして習った人は使って演出を楽しみましょう。

習っていない人や度忘れした場合は、普通のベーシック・ステップを踊れば大丈夫です。

 

女性は「スリップ・バック」してから、次のチャチャチャ、チャチャチャで2度右回転をして男性と向き合って終わりますが、この部分も知らないとできません。習った人は使って演出を楽しみましょう。

習っていない人や度忘れした人は、男性がフォワード・ロック・ステップで迫ってきますから、バックワード・ロック・ステップで対応しましょう。回転をする必要はありません。

私は、女性がこの踊り方を習ったのに忘れているような気がした場合、女性がスリップ・バックしてもしなくても、そこのタイミングで女性に指を向けてクルクル回して、回転を促すようにしています。使ってみて下さい。遊びの要素も加わり楽しいですよ。

 

 

■フォロー・マイ・リーダー(2)の場合:

フォロー・マイ・リーダー(2)では曲線的な動きをしていますので、女性がそれを察知したなら、真似をすると良いでしょう。真似をせず直線的な動きをしていても何ら問題ありませんし、曲線と直線の対比が素敵に見えるかも知れません。

 

 

 

❹テキストはどう書いているか?

参考になると思いますので、ISTD テキストのタイム・ステップ(ホールドなし)に書いてあることを紹介します。

フィジカル・リードがないため、しばしば次のようなアマルガメーションが使われます。

 

男性左足、女性右足から始めるタイム・ステップを2小節踊ってから、男性は右へのスポット・ターン、あるいは、左足からのキューバン・ブレイクスを踊ります。この間、女性はタイム・ステップを踊ります。

 

男性が右足からのタイム・ステップを踊る間、女性は(その挑戦を受けて)右へのスポット・ターン、あるいは、左足からのキューバン・ブレイクスを踊ります。

 

(Latin American Cha Cha Cha (2003 Sixth Edition) P53)

 

ここからも、フィジカル・リード(ホールドを含む)がない時にはリードが難しいことが分かります。

 

いかがでしたか? 次回はホールドをしていないときどうしているか、何を考えているか、私の知っている世界チャンピオンたちのお話「G071 離れている時どう踊るか/世界チャンピオンたちの考え方」をします。お楽しみに。

 

ハッピー・ダンシング!