#019 Work As Fire in Tokyo 2012

投稿者: | 2020年3月29日

2012年のダンスファン10月号に掲載された「ワークアズファイア in 東京」のレポートを記録に残します。ブログ最後には特典が。

2012年7月7日~8日の2日間、東京で初めてのワークアズファイア(WorkAsFire)がダンススポーツトレーニングセンター(江東区有明)で開催されました。このワークショップはスタンダードの元世界ファイナリスト、マッシモ・ジョルジアンニ&アレッシア・マンフレディーニ(イタリア)が中心となり、ダンサーひとり一人の中に眠る可能性を目覚めさせ、さらにそれを引き出すことを目的にしています。そのため、参加には何の制限もありません。すなわち団体、プロ・アマチュア、スタンダード・ラテンの制限もなければ、一人での参加も可能です。

 

おりしも、マッシモさんの著書「ダンシング・ビヨンド・ザ・フィジカリティ」の翻訳を開始していた私たちは、書籍の内容をより深く理解できると思い、2日目のワークショップを見学する機会を頂きました。今回のテーマは「男と女」。

 

 

 

レポート「ワークアズファイア in 東京」をPDFで読む

(2012年ダンスファン10月号)

2012DF10massimo

 

 

 

オリジナル原稿で読む


 

「ワークアズファイア in 東京」

 

2日目の大まかなタイムスケジュールは ―

  • 10:00: エクササイズ開始
  • 11:00: ワルツを使っての表現法。無作為に選ばれた4組がショート・ルーティンを踊り、マッシモさんから表現法についてのコメントを受ける。
  • 12:00: スライドを使ってトレーニングについてのレクチャー
  • 13:00: 品物を使い、その長所をアピールする練習
  • 13:45: エクササイズ
  • 14:00: 言葉の持つ力をダンスに応用し、コンペで上に上がるための練習、および考え方のトレーニング
  • 15:00: ペアでコミュニケーションの取り方の学習と本日の:まとめ
  • 16:00: 終了

 

 

今回のワークショップを見学した感想は ―

 

1.休みなし

ちょっとした休憩が合計30分位ありましたが、実質6時間ぶっ続けでレッスンをしている感じでした。これは、できる限り多くの情報を伝えたいとするマッシモさんの思いからだと思いますし、また、彼の著書には、「ハードな練習で競技会に向けた体力を養う」旨が書かれていますので、暗にその練習も兼ねているのかも知れません。

 

 

2.エクササイズ

ビートの利いたディスコ調の音楽が流れ続け、やる気のある参加者を更にノリノリにして行きます。一つひとつとのエクササイズは実際のダンスに直結して役立つよう、良く研究・分析されていると思いました。バレエやジャズダンスなどに見る練習と同じように見える動きでも、ボールルームやラテン・ダンス向けに合理的に改良されていましたので、それを練習さえしていれば、実践で考えずに使えるようになっているという、優れたものでした。

 

 

3.目を覚ます

表情の練習の一つとして目を見開いたり、大げさな表現をしたりする練習がありました。これはペアで行なったり、全員が鏡に向かって行ったりしていましたが、目や顔の筋肉を普段よりも大きく使うため、参加者たちの表情が生き生きと変わっていくのを見たときは愉快でした。表情は踊りの一部と知ってはいても、練習時間の殆どを動くことに費やしがちな人には、このようにプログラムの一部としてしっかり組み込まれていることは大変有効だと思います。

興味深いことは、こうした練習の後では、一人一人がよりオープン・マインドな、外交的な感じになっていましたので、この部分の強化は私たち日本人には特に必要な部分ではないでしょうか。

 

 

4.踊りに表情を与える

同じワルツを使い、マッシモさんのキューに従って踊ります。「パワー!」、とか「楽しそうに!」といったキューが幾つも出されるのですが、その度に踊っている人たちは指示に従って表現を変えて踊ります。タンゴでも同様に行なわれました。

こうした練習は多くの日本人ダンサーには有効だと思いました。自分達だけでは偏った踊り方に陥ってしまうと感じている人には特に、幅広い表現法を練習させられる中で、自分達にもできるという自信を持てることは大変重要な事です。

これにプラスして、踊っている最中に、より深く音楽を聴くことが必要との説明もありました。それには、好きな曲だけで練習するのではなく、幅広いアーティストや曲を使って練習するようにアドバイスがあり、そうすることで異なる場面でも即座に対応できるような準備ができるということです。

 

 

5.メンタルの強化

ダンスには、単なる肉体の運動の他に、メンタルの強さが必要とされるということが、随所で語られていました。この部分の強化が諮られると、個人が持つ技術を最大限に表現することができる、とも言えましょう。

呼吸法も交えたこの練習では、実際に全員がワルツを2分間踊り、そこでマッシモさんがメンタル面でのアドバイスを与え、再び全員がワルツを踊るということを繰り返しました。これはかなりタフな練習に見えましたが、アドバイスを体に取り込むことで、肉体的な疲れの感じ方がずいぶん違っているように見えました。

 

ここでは書ききれませんが、その他にも、多くのレッスンが行われました。1日目の内容を想像すると、参加者はかなり幅広い学習ができたのではないかと思います。勿論、二日間だけで何かを完璧に成し得るわけではありませんのが、学習したことを忠実に、積極的に普段の練習の中に取り入れていくと、望む以上のレベルに最短で到達できるに違いないと感じました。

 

また、ワークショップは身体面、感情面、そして精神面にわたり、バランスよく構成されていましたので、現役選手のみならず、コーチャーやダンス教室の経営者、更にはサークルで教えている人たちにも、非常に役立つと思いました。

 

イタリアでは、毎回内容に変化を持たせ、工夫を凝らしているようですから、次回の日本でのワークショップが楽しみです。ワークショップの中で、マッシモさんはこう話されていました。

練習するときには間違いや悪い所を探しに行かない

 

これは、彼の本にも書かれていますが、ダンスの練習に限らず、日常生活にも言えることだと、心に響きました。

《文:神元誠・久子》

 


 

 

特典:

※私の書棚からマッシモ&アレッシアのワルツとクイックステップの映像です。YouTubeは限定公開にしてありますので、ここだけでご覧ください。

*The videos are ‘limited release‘ for this blog. Do Not Copy and Upload in YouTube or other SNS.

 

 

 

ハッピー・ダンシング!