MT32 第5章 言葉の力/⑦魔法のことば

投稿者: | 2020年3月11日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

■目次

 

MT32 第5章 言葉の力/⑦魔法のことば
Magic Words

 

「いー、いーですねーーー」
「元気を出して」

「ブラボー」
「ファンタスティック」

「心配はいりませんよ」
「そのやり方でいいですよ」

「あなたはできますよ」
「自分たちはすごい!」 などなど。

 

現役時代の私は、常に、自分の意図をより明確にすることで、感情や自分自身の何かを観衆の心に伝えようとしていました。そうしているうちに、内部に宿る会話と外部の会話が一致したとき、調子の良い日には、非常に明確に意図を伝えることができることに気づいたのです。実際、そうした明確に意図を伝えることができた動きは、すべて、その動きに対する考えを心に抱いた後でできたのです。

 

それは、心の中で行なった自分自身との会話であって、パートナーとの会話でもなければ、他の誰との会話でもありませんでした。このことは、パフォーマンス(音楽、パーティション、座席配列、照明、観客、ジャッジなど一切を含めた)を行なう上で重要で不可欠な部分です。あなたが心の中で行なう会話はどのようなものであっても、言葉には魔法の力があります。

 

 

その魔法を起こすには、使う言葉にしても口調にしても、驚いたり、ものすごく感謝をしたりして、なんと素晴らしいという深い気持ちを表すことです。それをしているつもりで、単に体を動かすとか、機械的に動くのでは意味がありません。そこには感情移入が必要で、気持ちを込めること、そして、単純で機械的な行為をくつがえすのだという目的意識が必要です。 

 

自分が話す言葉は自分自身となりますので、自分自身に対して魔法をかけるような話し方を学ばなくてはなりません。そうすることによって、私たちの脳は受け取った魔法を体に伝えるのです。踊り始める瞬間は特別なものであるべきで、その瞬間、私たちの感覚は敏感になり、体のあらゆる部分に神経が集中されたところで、私たちの心と肉体がひとつのシステムと化し、ゴールへと向かうのです。この魔法の会話は、まるでウイルスのようにあなたの臓器に感染拡大し、自分を辛辣に批判しているあなたの心を、強力な同盟関係に変えてくれるのです。

 

ここで、ある深刻な病に陥っていた複数の患者に行なった研究結果をお知らせしようと思います。この研究結果により人間の免疫システムに及ぼす言葉の力が確認されました。

 

それによると、例えば、「あなたは癌に侵されています」とか、「心臓に欠陥が見つかりました」などと冷ややかに、事務的に告げられ、なんの精神的なサポートを与えられなかった患者たちは、絶望の気持ちに打ちのめされ、うつ病になり、免疫力が低下するという危機に面しました。一方、非常に悪い状態の患者であっても、うつ病にならないよう手を差し伸べられた患者たちは、免疫力も自動的に上がっていきました。

 

この研究には他にももっとメリットもありましたが、私はそれを発表する権利を有していません。しかし、あなたたちに今一度気づいて欲しいのは、言葉が自分自身にも他人に対しても及ぼす、その力の大きさについてです。従って、ダンスの話に戻りますが、どのような言葉を使うか、その選択次第で、練習の質、競技会での質、そしてレッスンの質をも変えてしまうのです。

 

ですから、ダンサーの皆さんは、日々行なっているコミュニケーションの質について、今一度考えてみる必要があると思います。それにより、単にお互いの関係が良くなるということのみならず、パフォーマンスにも違いをもたらすのですから。

 

用いる言葉は ― 動きとなって現われる。

(M. ジョルジアンニ)

 

 

 

■エクササイズ

 無意味な言葉

・ あなたが自分自身に使っている、無意味な言葉のリストを作りなさい。

・ あなたがパートナーに使っている、無意味な言葉のリストを作りなさい。

・ パートナーから言われている、無意味な言葉のリストを作りなさい。

 

 

 建設的な表現

・ あなたが口にしたい建設的な言葉のリストを作りなさい。

・ パートナーが聞いて喜ぶ、建設的な言葉のリストを作りなさい。

 

 

 

■まとめ

1, 言葉は私たち自身のあり方に影響を与えます。

2, 言葉は私たちの心にも行動にも影響を与えます。

3, 心の中の会話があなたの行動を決定づけます。

4, 意味のない言葉を使うのは、やめなさい。

5, 自分が考えるように、自分はなっていきます。

6, あなたが心の中で自分に何を話しかけているか、目から読み取ることができます。

7, 話す言葉は、あなたの内面を映し出します。

8, 私たちは言葉を使って自分の心と対話しています。

9, 常に言い続けている言葉や心の底からの言葉は現実となって現われます。

10, 力を奪うような言葉は、別の言葉に変えてしまいなさい。

11, 私たちはジャッジするためではなく、そのカップルが他のカップルと比較してどうかという個人的な評価をするためにいるのである。単に比較すべきであって、ジャッジしてはいけないのです。

12, 覚えておきましょう。言葉には感情に与える大きな影響力があり、よって、行動にも影響を与えることを。

13, コミュニケーションの取り方を変えると、競技会に出ているカップルの競技会での表現方法がより自由になり、より素晴らしいパフォーマンスとなり、結果として、どのような競技会においても、標準成績のアップにつながるのです。

 


(「MT32 第5章 言葉の力 」おわり)