FL36 初恋は音楽 19. 最後の言葉、他

投稿者: | 2023年6月16日

2022年10月25日にスタートした翻訳が、遂に最終回となりました。今回はオリバーの「最後の言葉」の他に「謝辞」、「本に向けて」、「写真」、そして「訳者から」を掲載しました。最後の最後まで読んでいただければ嬉しいです。

目次紹介

“Music Was My First Love”
初恋は音楽

 

●最後の言葉  
●謝辞  
●本に向けて  
●写真
●訳者から

 

19. 最後の言葉
 Last Words 

私の人生に影響を与えた音楽の思い出はこれでお終りです。思い出に耽るうちに、あちこち話が逸れてしまったことに、お詫び申し上げます。私はいつも話している感じで書いたので、私を知っている人は私らしいと思ってくれたと思いますし、私を知らない人は、これが私なのです。私はどれだけ幸運に恵まれた人生を送ってきたか、自分でも驚いています。たまたま出会った人、ライブを観させてもらった人、私の心にはそうした人たちの印象も焼き付いており、あと一冊書けるほどのお話や逸話があることにも気づきました。そんな話を読みたいと思ったら、どうぞ、私に手紙を下さい。それはともかく、あと幾つかお答えしなければならないことがあります。

 

●私はもともと人生で何を成し遂げるつもりだったのでしょう?

私は、ダンサーになりたかったですし、それに、トレーナーにも。私がこれまでに積極的に取り組んでこられた現状は、私が夢見てきたもの以上の物でした。

 

●何がうまくいき、何がうまくいかなかったか? 最終的にどこかで道を間違えたのでしょうか? また、間違えていた場合、それを修正できるでしょうか?

ほぼすべてが満たされました。今になって、もっと違うことをすれば良かったと文句を言っても意味がありません。その時々の環境と状況を考えれば、それは正しい判断でした。そうした判断のすべてを本文内でご覧いただけます。

 

●私は自分の人生で何を見ることを許され、また、私がしたこと、しなかったことで何かを奪われてきたのでしょうか?

いいえ、私は何ひとつ奪われていません! 倹約をモットーにした幼少期や青年期を過ごし、多くの子供が道を踏み外した地域に住んでいたにも拘らず、私たちは両親から本当に必要なもの、それ以上のものを受け取りました。我が家は尊敬と愛で満たされていました。今だから分かるのですが、両親が体力的に限界だったとしても、また、結局、父はそれで亡くなりましたが、私たちは決して不自由ではありませんでした!

 

パパが亡くなって以来、ある意味、家族の長となった兄のウォルフガングは、州検事となり、その職業において愛され、尊敬されています。彼には妻と成人した娘がいますが、彼女自身も職業において素晴らしいキャリアを持っています。弟のアンドレアスの夢は憧れのウォルト・ディズニーのような映画を創ることでした。彼はそれ以上のものを実現しました。彼はまた、専門家としても高く評価されています。漫画家や伝統的なアニメーターが減少傾向にあるにも拘らず、常に専門家として求められ、またその一方で、映画芸術科学アカデミーの会員でもあります。つまり、オスカー賞に投票する側の一人です。そして私は、いつも二人の間にいました。「若い二人」と言う時も「大きい二人」と言う時も、いつも私は含まれていました!夢を実現することができました。母が、3人の息子たちの人生の重要な場面にいつも立ち会ってくれていたことに感謝します。

 

父はきっと雲の上で座って、おいしいビールを飲みながら神学に関する深い専門的な話に夢中になったり、モーツァルトやベートーベン達と音楽を作ったりしながら、下を向いて気づくことでしょう。自分と母が、

“must have done something right!”
「何か正しいことをしたに違いない!」と。

 

 

謝辞
Acknowledgement

このような本を読み終えると、なんだか気持ちが楽になります。あなたが書こうとしていたものはすべて、小文字、あるいは太文字で目の前にあるのですから。本を出版するには特定の書き方がありますが、それで時間を無駄にすることはありません。ただあなたの魂からの考えを書き出すだけです。

この本で私はトーマス・クラアセン(Thomas Claaßen)から貴重な助けを得ました。彼は、正しい書き方の作業を引き受けて下さいました。どうやら私は、ラインハルト・メイ(Reinhard Mey)の曲「ドイツ正書法のタンゴ」に倣って書いていたらしいです。

最初の本「The Irvine Legacy」の時と同じく、私は機能するチームと協力し合うことが好きです。ですから、最初のお礼は、忠誠心と信念に基づいて私とつながっているダンススポーツ・インターナショナル(DSI)です。会社であっても、一緒に働くのは人間です。即ち、マルコム・ハーン(Malcolm Hearn)とジェラルド・シュワンツァー博士(Dr. Gerald Schwanzer)の両氏は私を助けてくれました。これからも多くのプロジェクトでご一緒できますように。

Artvertisement 社は再度、私が快適にできるよう、あらゆることをしてくれました。この本に全力を尽くしたアンドレ・ワイマールとアリーナ(Andre Weimar and Alina)、どうぞ私の感謝を受け取ってください。

もし私がこの困難な中を生きていなかったら(今でも困難ですが)、この本は決して生まれなかったかも知れません。私を精神的にサポートしてくれた皆さんに感謝しています。私をずっと励ましてくれた妻のヴェラが、自然にリードしてくれました。二人の兄は昼も夜も私の傍にいてくれました。その時期は特に私は話し相手を求めていました。ウォルフガングは長電話でも私を安心させ、アドバイスをしてくれました。アンドレアスは表紙をデザインし、その手仕事でこの本に命を吹き込んでくれました。彼はまた、英語版の原稿を読んで文法的に正しくなるよう修正し、かつ私の声を本に反映させてくれました。

最後に、私にインスピレーションとモチベーションを与えてくれた人たち、あるいは私を楽しませてくれたりしてくれたすべてのアーティストに「ありがとう」を送ります。あなたたちの名はすでに具体的に書いたので、ここでは出しません。

 

 

 

本書に向けて

 

■私はこれまで、世界で最も才能ある多くのダンサー達(過去も現在も)と話しをしてきましたが、彼らが音楽の基本である形式や構造を理解していないことに驚かされることがよくあります。音楽の中の重要な要素について知っていれば、それぞれのパフォーマンスを確実に向上させることができるのですよ。

 

優れたタイミングとテクニック、フットワークとフロアクラフト、ポイズ、ポスチャー、バランスなどを身につけるのは一つのことですが、音楽的に踊れるということは、まったく別物です。リスニングは過小評価されているようです。本書では、オリバーが “初恋 “の相手について、また、音楽に没頭することでダンスフロアでの成功を手に入れた経緯などを紹介しています。

ぜひ楽しんでください!

Ashley Frolick
Musical Director – Empress Orchestra


■この本は、ドイツダンス界の象徴であるオリバー・ヴェッセル・テルホーン、つまりOWT、あるいは、彼を愛するすべての人にとっての「オリー」の物語を、シンプルに、かつ、とても感情豊かに語っています。

彼が幼少期からどのようにダンススポーツに人生を捧げてきたか、そして、どのようにして長く、献身的で、トラブルが多く、大成功したダンスのキャリアで出会った、あらゆる種類の音楽への態度を身につけたかを、正確に段階的に説明しています。まさにそのようにして、彼は真の世界チャンピオンになりました、そしてこれからも真の世界チャンピオンであり続けます!

男性女性に関係なく、総てのダンサーはこの本を読まなければ! 私は堪能しました…。

敬意と親しみを込めて
Your Ralf Lepehne

 

写真

※本書では写真がまとまって入っています。どの写真をどの本文に使うのか分からなかったので、この最終回ですべてを表示することにしました。<訳者より>

*Copyright: All pictures are Private. The picture of Udo-Jurgens is with the permission of sport-picture.net.

 

者から

2012年、英国DSI社が自社のネットで “Champions Masterclasses” という番組(有料)を開始しました。これは、6名の元世界チャンピオンたち(ラテン:ブライアン・ワトソン、カルメン、ハンス・ガルケ、スタンダード:ロレイン・バリッキ、アンドリュー・シンキンソン、アウグスト・スキアボー)が、各人50項目に分けたショート・レクチャーをするというもので、総計10時間に及ぶ貴重なものでした。その日本語アフレコでロンドンに飛んだのが11月。アフレコ用に日本から持って行った原稿用紙は600枚と膨大でしたが、妻と十分なリハーサルをして行ったので、収録は僅か30時間で済みました。この時の代金の一部として“Music Was My First Love” の日本語翻訳権利をDSI社から貰ったのでした。

それから10年経過した2022年10月25日に、このHPでの紹介を開始しました。きっかけは、その前日に「ああ、今日はダラダラ過ごしちゃったな―」と考えたとき、「そうだ、こんなことしていられないんだった!」と余命2年半しかなかったことを思い出したからでした(笑)(2020年のブログ 余命4年)。しかも、2014年に少し翻訳した部分があったので、安心して1歩踏み出したのですが、始めてみてから粗訳に過ぎなかったことが判明し、後先あまり考えずに行動する自分の性格に少し後悔しました。でも、それを私の利点と捉えることが出来ます。始めたからには何とかしなければなりませんから(笑)。そのようにして、今回、遂に最終回を迎えることが出来ました。

少し大変な時もありましたが、こうしてオリバーの2冊目の本を通じて、読者の皆様と一緒に彼の頭の中を覗くことができたことを幸せに感じています。今頃、オリバーが空の雲の上から下界を見下ろし、私にこう言ってくれていると嬉しいのですが…。

“You must have done something right, but a little!”

 


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