MA64 更にうまくなる20の話 (その1)知識は自己解決する力

投稿者: | 2020年11月6日

拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。

 

魔法の言葉 Part 2
MA64 更にうまくなる20の話
(その1)知識は自己解決する力

 

以前に近隣の市のサークルで教えていたときの話を紹介しましょう。

 

そのサークルからは「バリエーション中心で教わりたい」と依頼されましたので、その主旨に応える形でレッスンをスタートしました。会員が覚えたい魅力的なバリエーションを紹介して教え始めたところ、全員、バリエーションを覚えるのは何ら問題ありませんでした。

 

ところが、バリエーションを教えた後に問題が発生したのです。

組むと踊れない」問題が…。

 

そこで、どうしたらトラブルを少なくしてカップルとして踊れるかのアドバイスするわけですが、大方の場合、うまく踊れないのは、基本に沿った動きがきちんとできていないことが原因でしたので、動きの原理・理論を説明していくと、ほどなくトラブルは解消され、やりたいバリエーションが踊れるようになっていきました。

 

そんなレッスンが二か月程続いたころ、バリエーションを教わりたい」と言っていた会員たちが、基本を教わりたい」と言い始めました。意識が完全に変わったのです。

 

この「基本」とは、ベーシック・ステップだけをすることではありません。動きの基本・原理・理論のことですから、そのままどんなバリエーションにも使うことができます。下に紹介するのは、そうした基本のレッスンを進めていったある日の会話です。

 

私:「前回、タンゴのどんなことを話したっけ?」
サークル員:「ホールドのこと」

私:「そうだね。男性の右肘と女性の左肘の関係を話したね。それから?」
サ:「タンゴは踊らないで、歩く」

私:「そう! “S” と “Q” カウントがあるけど、歩くだったね」
サ:「前進はヒールから」

私:「後退のときの前の足は?」
サ:「ヒールになっていること」
私:「そう。男性の後退では違う使い方があるけど、それは今度話すね」

サ:「第1クイックにアクセントがあるので強く踏み込む」
私:「例外は?」
サ:「プログレッシブ・リンク! プログレッシブ・リンクは第2クイックにアクセント!」
私:「そう。プログレッシブ・リンクでは2歩目を強くだね」

サ:「PPからの始めの2歩はヒールから」
私:「そう! 1歩目も2歩目もヒールから出るよ」

 

するとAさんが、
「PPからの2歩目がヒールから出られない」と解決策を求めてきました。

 

私:「じゃあ、ヒールから出られない原因はどこにあると思う?」
サ:「顔が前に入ってるから?」

サ:「2歩目の時、1歩目が残り過ぎてる?」
私:「それもあるね。じゃあ、Aさんの問題はどこにあるんだろう?」

サ:「1歩目がトウになってる!」
私:「そうだね。トウで出てしまうと上体が前に行き、2歩目はヒールから出にくくなるね。偉いぞ!」

 

こんな風に対話が進み、みんなで原因を見つけることができました。そしてAさんの踊りが改善されたのは言うまでもありません。

 

◇ ◇ ◇

 

基本的な動きに関する知識が身に着くと、この対話に見るように、自分の力でトラブルの原因を見つけることができるようになるのですから、必然的に、サークルで更にうまくなることが可能になるのです。

 

私たちがいつも話すのは、

 「知識はポケットに入れて持ち運びできる」 ―― です。

 

まあ、「ポケット」は冗談にしても、知識は持ち運びできる大きな武器であることは間違いありません。

 

ポケットの中の知識は
解決策を示してくれる宝物ものです。

 

ハッピー・ダンシング!