質問54 スローにおけるノー・フット・ライズは?

投稿者: | 2020年6月12日

恥ずかしいのですが、いまだにノー・フット・ライズが分かりません。またこの動作にどういった意味、役割があるのですか? (東京都 Oさん 女性 )

 

今まで個人的に、あるいはダンスファン誌を通じて多くの質問を頂きました。中にはとても初級レベルのものもありましたが、初心者にしてみると切実な疑問や質問に違いありません。そこで、頂いた質問のレベルで選別することなく記録に残します。お役に立てばうれしいです。なお、回答には現時点の考えに書き直していることもあります。

 

 

前回はワルツのナチュラル・ターンを例にノー・フット・ライズを説明しましたので、今回はスローのフェザー・ステップにおけるノー・フット・ライズの説明をします。

 

 

フェザー・ステップでは…

フェザー・ステップのように直線的な後退の動きをする女性のステップでもノー・フット・ライズが使われます。足型図からノー・フット・ライズをする箇所を見てみましょう。

 

なんと、女性は1歩目左足、2歩目右足、3歩目左足の総てでノー・フット・ライズを使います。

しかし、ワルツのような明らかな回転をするステップではありませんから、前回ワルツで書いたような、「③それからポイントした2歩目に徐々にライズして行きながら1歩目を寄せてきます。その時、《トウを床の上を滑らせながら寄せる》ようにします」とはならず、2歩目に体重移動するときの1歩目はヒールであるようにします。同じく、3歩目に体重移動するときの2歩目はヒールになります。

 

 

❷ここでも実験

ワルツの時と同じく、ここでも実験をしましょう。

  • フェザー・ステップの1歩目も2歩目も3歩目もボールが床に残るようにして踊ってみましょう。

 

この実験をすると、男性とのホールドがきつくなり、押される感じになるのが分かると思います。それは、床にボールを押し付けていると体重が少しボールの方に残り、それが男性の前進を邪魔するからです。

「でも、私もボールになっているけど、そんな感じにはならないわ」という人がいましたら、それは、バック・バランスで倒れ続けているからかも知れません。それを確かめるには一人で踊って、次の2点を確かめましょう。

①両足が床に開いてついた形で止まれるか、そして、
②止まった時にボディ・バランスが両足の中間垂直にあるか。

 

 

❸トラブルは予備歩から始まっている

スローを踊るとき、多くの人は予備歩からフェザー・ステップ、そしてリバース・ターンに入る踊り方をしますが、実は、予備歩の時点でトラブっている人がたくさんいます。

予備歩は平らに歩くだけのステップですから、右足後退する女性の場合、前の左足はヒールになります。ここでボールが残っていると、上述したように男性の前進の邪魔をしてしまいます。つまり女性は、予備歩から踊る場合、①予備歩に入るときに体重の乗っている左足、②予備歩の右足、③フェザー・ステップの3歩の合計5歩総てで、前の足はヒールになります。

 

男性の場合、予備歩の左足やフェザー・ステップの1歩目をボールで出ていくと自分の前進運動を妨げます。その結果、女性の後退運動を妨げることになりますからフットワークには気をつけましょう。

 

 

❹後ろ足が行きたい所に行けるように前足のヒールを使う

女性のフェザー・ステップでは「前足はヒール」になります。しかし、ヒールは使いますが、ヒールでグイっとは押さないと考えています。何故かというと、ヒールでグイっと押してステップすると、動きにノッキングのようなむらが生じますし、次の足が後ろの床をとらえた瞬間、高さが低くなるからです。

 

男性の動きを見てみましょう。男性はフェザー・ステップの1の終わりでライズをすると、3の終わりまでその高さをキープしています。この男性のトウに上がっている高さに対応しようとするのが女性のノー・フット・ライズのテクニックですから、後退する度に縦ずれが生じることは好ましくありません。

 

縦ずれを起こないノー・フット・ライズをするには次のことを考えて踊ってみてください。

  1. 前にある脚が軸足を通過する瞬間のボディ・バランスが垂直であることを確かめる。
  2. その足が後方の床をポイントしながら着地点を探している間、後ろ足が行きたい所に行けるように前足のヒールを使います。この間、膝とボディと後ろ足のトウを使い、男性のライズの高さに対応します。
  3. 前後に両足が開き切ったとき、前足はヒール、後ろ足はトウになっています。
  4. この後ろ足は次にヒールに降りて軸足となりますが、ヒールに降りる間も縦ずれを起こさないようボディ・ストレッチを続けます。
  5. 両足が揃う瞬間、両足が開いて行く途中、両足が開き切った瞬間、開いた両足が再びが揃っていく途中のいずれでも、両足を底辺とする2等辺三角形をイメージし、中心にボディがあるようにします。底辺が狭くても広くても、いつも2等辺三角形です。

 

きっと、フェザー・ステップもスリー・ステップも、スローのあらゆるところのノー・フット・ライズを美しく踊れることでしょう。

 

ハッピー・ダンシング!