どこかの誰かのダンスに役に立つことを願い、拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」を公開中です。今回から、第3章「スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話」に入ります。今回は顔の使い方についてです。
MA27 第3章 スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話
(第5話)タンゴらしく踊るハイレベルな話
「タンゴらしく踊るにはどうしたらいいの?」
と聞かれることがあります。
そんなとき、
「顔を変えればいいんだよ」と話します。
自分では「この説明、結構いい線いってる」と気に入っています。なにしろ、「ステップをああしなさい、こうしなさい」のような技術的なことは何もいらない! それにも関らず、ハイレベルなテクニックだと思っています(笑)。
先日、同じ質問を受けたので、この話をしたところ、「・・・・・なんか、その話よく分からないです・・・・・・」と、とても率直な返事をいただいちゃいました(汗)。確かに、顔だけでは済まないでしょうし、もう少しまともな返事を期待していたのでしょう。ちょっとがっかりさせてしまいました。
でも、ここでちょっと、タンゴをニコニコ笑顔で踊ってごらんなさい。どうですか? 全然タンゴらしくないでしょ(笑)? ついでに、チャ・チャ・チャを渋い顔して踊ってごらんなさい。ちっとも楽しく感じられないし、ルンバで相手が知らん顔して踊ったら、途中で踊りを止めたくなることでしょう。
ほらね? 顔が踊りの中で重要な役割をしているのが分かってもらえたでしょ?
タンゴの力強さを表現するために、体中に力を入れて踊ろうとする人がいますが、トップ・ダンサーはどうしているのでしょう? あるトップ・ダンサーはレクチャーの中で、「タンゴのホールドはソフト」だと話していました。「いったい、どのくらいソフトなの?」と思っていると、「スタンダードで一番ソフト」と。
ホールドがそれほどソフトなら、体をガチガチに固めている筈はありません。筋肉を固めると却って動けなくなってしまいますから。
そこで、「顔だけタンゴっぽくね」のアドバイスになるのですが、もちろん、スイング・ダンスのように、足の一部が常に床に接しているようにはステップしません。一歩一歩を歩くときのように床から足を持ち上げて(ピックアップして)ステップしますし、スタッカートのアクションも使います。その上で「顔だけタンゴ」にしてみましょう。
ここまで来ても、やっぱりタンゴらしくないと思っている人がいるかもしれませんから、そう言う人は、ちょっと騙されたと思ってやってみてください。そして、それを隣の人に見てもらってください。必ずや、
「すごくいい!」
「タンゴらしい!」
と褒めてくれることでしょう。
でも、なぜでしょう? 専門書で調べた訳ではないので正しいかどうか分かりませんが、自分の体を観察すると、「タンゴのストロングな顔」とか「クイックのハッピーな顔」にすると、その表情に自然とボディが付いてくる気がします。
何はともあれ、お面を取り換える感じで顔を変えて試してみて!
そうそう、こんな実験もしてみてください。
パートナーに目をつぶってもらいます。
あなたはタンゴの顔かそうじゃない顔のどちらかを使って踊ります。
数小節踊ってからパートナーに「どっちの顔をしていたと思う?」と尋ねます。
そこには、驚くべき答えが待っていることでしょう。
顔を変えて、それだけで上手になるのなら、儲け物じゃないですか!
いつも、そう思います(笑)。
顔を変える」は疑いのない
ハイレベルなテクニックです。
(「第3章 スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話(第5話)タンゴらしく踊るハイレベルな話」おわり)
ハッピー・ダンシング!