KD10 北国ダンサー物語 2章第3話 新しい仲間が加わった

投稿者: | 2023年10月30日

2章第3話 新しい仲間が加わった

 

  旭川の帰りも「スピードか死か」のカーブを難なくスピードで切り抜けた連中が夜の公民館に集合しました。

千 葉: 半年限定コースを始めます。先日、突然家の中に郵便配達の人が現れる事件がありましたが、その人が奥さんと参加してくれることになりました。文次さんと悠里さんです。拍手―!

悠 里: こないだ、うちの人が帰ってきたら、ものすごい勢いで話してくれたんです。

千 葉: ダンスの話?

悠 里: それと、恐怖の体験談も。

 

(爆笑)

 

悠 里: ダンスはTVで見たことあって、私も踊ってみたいなーって、ずっと思っていたんです。だから、この町で習えるなんて、とてもうれしいです。

寿 美: 恐怖の話は早々に忘れてもらうことにして、文ちゃんがポスター作って貼ってくれました。誰か来てくれるといいですね。

 

 
 そう話している所に、参加希望者が現れました。

 

美 和: あっ、美樹ちゃん、純子ちゃん、それに昭ちゃん。

昭 二: よっ!

美 樹: ポスター見たんですけど…。

純 子: 参加させて下さい!

さとし: 勿論だべー! さあ、どうぞ、どうぞ! チャミちゃん先生、これでこの町の同世代に近い人間全員集合です!

寿 美: オーバーな!

河 合:悠里ちゃんはパンを作るのが得意なんです。

寿 美: あら、おいしそう!

ヤ ス:昭ちゃんも元3年F組でーす!

寿 美: あら、いやな予感!(笑)

加 藤: 4年下の美樹ちゃんは、以前、この街で本屋をしていました。同じく4年下の純子ちゃんは病院に勤めていたことがあります。

寿 美: あら、なんだかんだ情報ありがとう! 興信所にいるみたいね。(笑) 

 

【人物紹介】
・樋口悠里:既にお分かりの通り、樋口文次の妻。
・鈴木昭二(昭ちゃん):元3年F組。
・竹本美樹(美樹ちゃん): 4年下で7月31日生まれ。(作者は登場人物の細かな設定していることを暗にアピールしているだけ(笑))
・上杉純子(純子ちゃん):同じく4年下。昔のスタイルを維持している。

 

寿 美: あら、全員、ダンス靴持ってるのね?

美 樹: 買ってきました。

千 葉: 素晴らしい! では新しい人たちが加わり、今日から半年コースを始めます!

寿 美: みんな、初めてダンス靴を履いた感じはどう?

恵 美: 私、靴下で踊っていたとき、足の裏の使われ方が家の中で歩くのと違うって感じてた。だから靴履くと、足裏がよそ者っていうか、足と靴が別物みたいなの。

美 和: 私もさー!普段の靴を履いているときは、そんなこと考えなかったのに…。

千 葉: 元世界チャンピオンの話なんだけど、靴を履いて練習ばかりしていると、足裏の感覚が養われないという話をしていたよ。テスト期間中、靴は要らないと言ったけど、そんな理由もあったからなんだ。

美 和: どうして、そんな話、知っているの?

千 葉: えっ、いや、どっかで聞いた気がする…。ま、あんまり気にしないで。

ヤ ス: いや、「気にしないで」じゃなくて、確かな話をしてくれよ。ホントによー。

 

余談ですが、2016年に行われた「JDC東京コングレス」の中で元スタンダード世界チャンピオンのロレイン・バリー氏がこのような話をしていました。

 

「今日は靴を脱ぎ、私の足の使い方を見て貰おうと思います。足を使うには足を柔らかくして床を感じなくてはなりません。自分が床の上で何をしているか、足裏を通して感じたいです。インサイド・エッジ、アウトサイド・エッジ、トウ、ボール、ヒールなどの話もしますが、ご覧のように、足を通してのローリング・アクションがあります。良く起こる事は、靴に足を入れると、自分の足のアクションを忘れ、靴の使い方だけを考えている事です。」

 

コングレスの模様は2016年の「ダンスファン5月号」でレポートされていますが、上の話は出ていません。つまり、千葉ちゃんはコングレスに参加していた人が話しているのを、どこかでちらっと聞いただけに違いありません。テキトーな千葉ちゃんのことですから、美和ちゃんが「どうして知っているの?」と突っ込まれなければ、あたかも自分の知識のように振舞っていたことでしょう。油断も隙もありゃしません。

 

そろそろ、話を物語に戻しましょう。

 

 

 そこに寿美が割り込んで紙を配り出しました。

 

寿 美: そこにあるように、ブルース、ジルバ、ワルツ、タンゴ、ルンバ、チャチャチャを練習します。毎回、ワルツが入っているのはワルツのフォーメーションの練習をするからです。全 員が参加できれば、男女8組の理想的なフォーメーションができます。そんなわけで、よろしくお願いします。

全 員: おー!!

 

やる気満々です。

 

千 葉: これからの半年間、いかに「楽して」上達するかをしていきますので、しっかりついてきてください。

河 合: 千葉ちゃんよー、なんだよ、その「いかに楽して」って。やる気なくすべや。

さとし: 俺たち必死こいてやるに決まってるべさ。

寿 美: そうね。一生懸命はいいことよ。でも、「頑張るぞ」って力むと、かえって体は動かなくなるの。だから、頑張らないでうまくなってしまおうというのが目的です。その一つには、知識を持つことです。知識や理論はどこにでも持ち歩けますからね。それを日ごろから考えていると、効率的にうまくなる筈です。

千 葉: 残りの人生、長くないからね。

全 員: 確かに…。(大笑)

寿 美: これが私たちのいう「楽して」ってこと。さあ、レッスン開始しますよ!

全 員: はーい!!

 

  この日からホワイトボードも利用し、ちょっとした学校の授業風景になったのでした。

 

「北国ダンサー物語」(作:神元 誠)

 

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