「ファン・ポジションに入るとき、どこに出たら良いのでしょう？」 ―― チャチャチャのレッスンで女性から受けた質問です。
今まで個人的に、あるいはダンスファン誌を通じて多くの質問を頂きました。中にはとても初級レベルのものもありましたが、初心者にしてみると切実な疑問や質問に違いありません。そこで、頂いた質問のレベルで選別することなく記録に残します。お役に立てばうれしいです。なお、回答には現時点の考えに書き直していることもあります。
■この疑問を抱いた自分を褒めてあげて！
「ファン・ポジションに入るとき、どこに出たら良いのでしょう？」
チャチャチャのレッスンで女性から受けた質問ですが、最初に、この質問が出たことが素晴らしいと思います。つまり、チャチャでもルンバでも頻繁に出てくるファン・ポジションへ「どのように出ていくのが良いのだろうか」と考えた先には、「後続フィガーでトラブル原因は、このファン・ポジションにあるからではないか」と考えたことが伺えるからです。
■動画で観察
最初に下の二つの動画を見て見ましょう。観察する点は、
①ファン・ポジションへの出方、
②ファン・ポジションの終わり方、
③次にフット･チェンジした時の女性の男性に対する体の向きと足の形です。
(from BASIC WITH STYLE by Andrej Skufca & Katarina Venturini / Studio Himawari)
（Limited Release / 限定公開）
(from YouTube Hand to Hand by A.Voloshko & K.Kyrylenko)
■私たちの動画
私たちがサークルで話している注意点を動画にしていますので、これも参考にしてください。
■テキストの「ファン（Fan）」の解説はどうなっているか
テキストに出てくる“ファン”というフィガーを見ていきましょう。
（１）ISTDのテキストでは、
①通常の【ダンス・ホールド】でベーシック・ステップ前半を踊り、後半でファンに開く全10歩を言います。
②女性の6歩目左足は男性の足の間に前進し、左に1/8回転しながら右足後ろ、少し横にステップ。
③次にチャチャチャ・ロック・ステップで左に1/8回転しながら後退してファン・ポジションになります。この間、男性はチャチャチャ・シャッセをします。
女性は6歩目を男性の足の間に出るのか、それとも左足外側に出るのか悩みます。正解は、「男性がリードする方向に出る」です。男性が両足の間にリードしたら女性はそこへ出て行き、男性が左外側にリードしたら女性は男性の左外側にステップして行きます。男性はどっちにするのか、明確な意思を持ってリードします。
ここで、ISTDのテキストに出ていない、女性が男性の左外側に出る踊り方は、正しいのか正しくないのかと言うことが気になる人がいると思いますが、IDTAのテキストでは左外側に出る踊り方になっていますから大丈夫です。
男性にとり、両足の間にリードするときに意外と難しいのが左手の使い方です。男性は６歩目から7歩目にかけて、いったん左手のひらを下の方に向けながら女性をファン・ポジションに出すと良いと思います。一方、左外側に女性をリードするときは、ホールドの問題はほとんどないと思います。
（２）IDTAのテキストでは、
ISTDのテキスト（W. Laird 2003）には、上記ISTDの前半のベーシック・ステップは含まれておらず、ISTDの後半の所のみを”ファン”としています。ISTDのテキスト（W. Laird 2014）には、ISTDと同じく10歩の説明に変更されています。
ISTDのテキストと大きく違う点は、女性の6歩目左足は男性の左足外側に前進になっています。従って、7歩目右足は前進してから左回転を起こすことになります。
このファンに出て行くところの６歩目をヒールで出て行く女性を良く見かけますが、ボールで出て行きましょう。ラテンらしい美しさを表現できます。
ハッピー・ダンシング！