MA74 更にうまくなる20の話(その11)通じるか試してみる

投稿者: | 2021年1月4日

拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。

 

MA68 更にうまくなる20の話(その5) 名著の中のリード&フォロー」以来、リード&フォローに関する個人的な考え方や練習法を書いてきましたが、今回は、これまで話してきたことを、ルンバのファン・ポジションを使って実際に実験してみようと思います。

 

今回の話は「おどりびより」に提供した下の動画でもほぼ同じ話をしていますので、そちらも参考にしてください。

 

 

■女性はなぜフット・チェンジするの?

ルンバやチャチャでファン・ポジションから次のフィガーに入るとき、女性はその場でフット・チェンジしてから次のフィガーに入るよう教わるので、そのように踊りますが、では、女性はその時「バック」してはいけないのでしょうか? そんな疑問を抱いている人も多いかと思います。

 

例えばルンバで、ファン・ポジションからアレマーナに入る場合、女性は最初に左足に右足を寄せ、その場で体重移動をします。経験者の女性は当たり前のように、それをしていますが、初心者はそうはいきません。「バックしたくなる」からです。

 

ですから、先生から「足を揃えてフット・チェンジしますよ」と言われても、

「なぜ揃えるの?」
「どうして、バックしちゃいけないの??」

と、疑問が湧きます。

 

経験者の中には

「そう習ったから、それでいいじゃない」

と、疑問も抱かずに済ませている人もいるかも知れませんが、実際の所、なぜ足を揃えるのでしょう?

 

 

■小冊子の中にヒントが!

そこで紹介するのがこの小冊子です(27頁しかありませんが£2.50しました)。

 

A Concise History of Latin American Dancing in The United Kingdom

 

この中に、次のヒントがあります。(P21より)

 

「ピエール氏のオリジナル・テクニークでは、ルンバにおけるアレマーナ、ホッケー・スティック、オープン・ヒップ・ツイスト、スリー・スリーズなどでの女性の1歩目(カウント2)は、右足を左足に閉じるか、あるいは、左足後ろにきつくクロスしてもよく、どちらを使うかは女性の好みの問題でした。」とあります。

 

Slightly out of context I would here like to mention that in Pierre’s original Technique in such figures as the Alemana, Hockey Stick, Open Hip Twist and the Three Threes etc., the Lady had a choice on the first step (count 2) of either closing Right foot to Left foot or crossing it rather tightly behind the Left foot and “using one or the other was just a question of style”. Since Pierre and Miss Lavelle interchanged some of the figures, this option also applied to two or three figures of the Cha Cha Cha.

 

つまり、女性にはファン・ポジションから右足をバックする選択肢があったのです。

 

そうなると、アレマーナの1歩目もホッケー・スティックの一歩目も、女性がお決まりで右足を揃えるのではなく、そこにはリード&フォローが存在することが分かってきます。

 

そこで、リード&フォローのこんな実験をしてみると面白いでしょう。

 

●男性と女性はファン・ポジションになります。

●男性は両足を開いたまま:ー

「自分のエネルギーが、つないだホールドを通り、女性の体の中を通り、女性の右足が左足に閉じる」と静かに、かつ、強く思ってリードします。両足は開いたまま、女性とのホールドは極力動かないようにします。

●あるいは、「女性の右足がバックする」とイメージしながらリードしてみましょう。

 

何度かトライしていると、つないだ手で女性を動かそうとしなくても、女性にリードが通じるようになりますよ!

 

●女性は、男性から伝わってくるリードが自分の右足を閉じさせようとするのか、それとも、バックさせようとするのか、右手を含む体全身をアンテナにして聴こうとします。

 

徐々に、男性がどちらのリードをしているのかが分かかるようになりますよ。

 

 

■ルンバの映像をもう一度

ここで以前にも紹介した、アンドレ・スクフカ&カタリーナ・ヴェントゥリーニのルンバのベーシックをもう一度見て見ましょう。

 

40秒付近から女性がファン・ポジションからフット・チェンジをしてスリー・アレマーナに入りますが、そのフット・チェンジは、女性が自分でやっているのではなく、男性が女性の右足を左足に揃えさせているリードをしているのが見えてくることでしょう。

(出典:”BASIC with STYLE” Studio Himawari 2004)

 

 

■オープン・ヒップ・ツイストで別のリードに挑戦!

先ほど紹介した小冊子には、「オープン・ヒップ・ツイスト、スリー・スリーズなどで」とあります。そこから、オープン・ヒップ・ツイストやスリー・スリーズに入る時も、今のようにバックではなく、女性は足を揃える選択肢もあると考えを広げることができます。

 

実際、妻はダンスを習い始めた頃をこう述懐しています。

「思い起こすと、私がロンドンで習っていた時、レオナルド・パトリック先生はオープン・ヒップ・ツイストでも足をバックではなく、揃えるリードをすることがありました。」

 

男性のみなさんも、オープン・ヒップ・ツイストで女性に足を閉じさせるリードも研究して見てください。

 

ハッピー・ダンシング!