拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。
魔法の言葉 Part 2
MA72 更にうまくなる20の話
(その9) 体内をガス化する
◇ ◇ ◇
リード&フォローを考える上で「リードもフォローも足先を意識すると良いのではないか」とのひとつの提案をしました(MA69)。そして、そのリード&フォローが漏れることなく伝わるために「体に芯をもつ」話を書きました(MA71)。その上で、今回は「芯の太さと硬さ」を考えるところからスタートします。
■芯の太さと硬さ
前回、体の中に芯を感じる実験をしましたが、そのとき、あなたがイメージした芯の太さはどのくらいでしたか?
お友達に両肩を下に押されたり、体の2点を挟んで押されたとき、最初は「ふにゃ~」っと崩れてしまった人でも、二度三度と繰り返すうちに、「今度はもっとしっかり抵抗できるように」と、より太い丸太のような芯をイメージしたりして、遂に崩れなくなったと思います。また、一度「芯」のイメージできると、案外簡単に出来るようになっていったことと思います。
では、次の段階として
①2点を挟む芯をできる限り細く、そして、それが体中に張り巡らされているイメージをしましょう。
②また、体の中全体をコンクリートのように固めて対応した人は、その「個体」が「気体」に変わるイメージをしてみましょう。
①と②もイメージを突き詰めると、体が膨らんだ風船の感じになりませんか? どこを押しても全体に伝わる ―― そんな感じです。その「体の中がひとつの感じ」とは「MA70 ディップのリード&フォロー」で「首からも目からも余分な力を抜き、他の部位と同じ密度に感じるようにしてください」と伝えたことです。
結論として、芯は「細くて軽い」方が良いです。それを突き詰めていき、体を「軽い風船のイメージ」にし、その軽い風船を操作し合って踊るのが理想的な踊りと、私は考えています。
■体内をガス化する ――
体をコンクリートのイメージにすると重くて動けなくなることは容易に想像できますので、体の中を気体のイメージに変えてしまいましょう。ガスが充填された風船のイメージです。「液体」の方がイメージしやすかったり動きやすかったりする人は、それでもオーケーです。
どこか一点を押された力が全体に広がり、どこか流れ出る場所があると、そこに向かって流れ出ていく。それが理想的なボディのイメージだと思っています。
■ルンバの映像
突然ですが、このアンドレ・スクフカ&カタリーナ・ヴェントゥリーニ(Andrej Skufca & Katarina Venturini)のルンバのベーシックをご覧ください。
(出典:”BASIC with STYLE” Studio Himawari 2004)
ナチュラルで綺麗な踊り、しかも、ベーシック・ステップばかり使ったルーティンなので、サークルでも使えますね。
もう一度見てください。今度は40秒付近からを注意してください。女性がファン・ポジションからフット・チェンジをしてスリー・アレマーナに入りますが、そのフット・チェンジは、女性が自分でやっているのではなく、男性が女性の右足を左足に揃えさせてるリードをしています。
このリード&フォローが見えてくると、男性のボディの中で発生したリードが腕を抜け、女性の腕を通ってボディを抜け、右足に伝わるのが分かります。最初は見えないかも知れませんが、繰り返し見ていると見えてきますので、時間をおいてでも繰り返し見てください。
壊れたカート同士では壊れた踊りになるのが容易に理解できるように、より的確なリード&フォローをするには、二人のボディ全体がより的確なリード&フォローが伝わりあうようになっている必要があります。そのためには体が「膨らんだ風船」のイメージは最適だとおもいます。
他の人の踊りのリード&フォローが見えてくると、自分の踊りも自然と変わっていき、ますます踊るのが楽しくなってきます。
ハッピー・ダンシング!