MA72 更にうまくなる20の話(その9) 体内をガス化する

投稿者: | 2020年12月10日

拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。

 

魔法の言葉 Part 2
MA72 更にうまくなる20の話
(その9) 体内をガス化する

 

◇ ◇ ◇

 

リード&フォローを考える上で「リードもフォローも足先を意識すると良いのではないか」とのひとつの提案をしました(MA69)。そして、そのリード&フォローが漏れることなく伝わるために「体に芯をもつ」話を書きました(MA71)。その上で、今回は「芯の太さと硬さ」を考えるところからスタートします。

 

 

■芯の太さと硬さ

前回、体の中に芯を感じる実験をしましたが、そのとき、あなたがイメージした芯の太さはどのくらいでしたか?

 

お友達に両肩を下に押されたり、体の2点を挟んで押されたとき、最初は「ふにゃ~」っと崩れてしまった人でも、二度三度と繰り返すうちに、「今度はもっとしっかり抵抗できるように」と、より太い丸太のような芯をイメージしたりして、遂に崩れなくなったと思います。また、一度「芯」のイメージできると、案外簡単に出来るようになっていったことと思います。

 

では、次の段階として

①2点を挟む芯をできる限り細く、そして、それが体中に張り巡らされているイメージをしましょう。

②また、体の中全体をコンクリートのように固めて対応した人は、その「個体」が「気体」に変わるイメージをしてみましょう。

 

①と②もイメージを突き詰めると、体が膨らんだ風船の感じになりませんか? どこを押しても全体に伝わる ―― そんな感じです。その「体の中がひとつの感じ」とは「MA70 ディップのリード&フォロー」で「首からも目からも余分な力を抜き、他の部位と同じ密度に感じるようにしてください」と伝えたことです。

 

結論として、芯は細くて軽い方が良いです。それを突き詰めていき、体を「軽い風船のイメージ」にし、その軽い風船を操作し合って踊るのが理想的な踊りと、私は考えています。

 

 

■体内をガス化する ―― 

体をコンクリートのイメージにすると重くて動けなくなることは容易に想像できますので、体の中を気体のイメージに変えてしまいましょう。ガスが充填された風船のイメージです。「液体」の方がイメージしやすかったり動きやすかったりする人は、それでもオーケーです。

 

どこか一点を押された力が全体に広がり、どこか流れ出る場所があると、そこに向かって流れ出ていく。それが理想的なボディのイメージだと思っています。

 

 

 

■ルンバの映像

突然ですが、このアンドレ・スクフカ&カタリーナ・ヴェントゥリーニ(Andrej Skufca & Katarina Venturini)のルンバのベーシックをご覧ください。

(出典:”BASIC with STYLE” Studio Himawari 2004)

 

ナチュラルで綺麗な踊り、しかも、ベーシック・ステップばかり使ったルーティンなので、サークルでも使えますね。

 

もう一度見てください。今度は40秒付近からを注意してください。女性がファン・ポジションからフット・チェンジをしてスリー・アレマーナに入りますが、そのフット・チェンジは、女性が自分でやっているのではなく、男性が女性の右足を左足に揃えさせてるリードをしています。

 

このリード&フォローが見えてくると、男性のボディの中で発生したリードが腕を抜け、女性の腕を通ってボディを抜け、右足に伝わるのが分かります。最初は見えないかも知れませんが、繰り返し見ていると見えてきますので、時間をおいてでも繰り返し見てください。

 

壊れたカート同士では壊れた踊りになるのが容易に理解できるように、より的確なリード&フォローをするには、二人のボディ全体がより的確なリード&フォローが伝わりあうようになっている必要があります。そのためには体が「膨らんだ風船」のイメージは最適だとおもいます。

 

他の人の踊りのリード&フォローが見えてくると、自分の踊りも自然と変わっていき、ますます踊るのが楽しくなってきます。

 

 

ハッピー・ダンシング!