世界的に有名なマヨ・クリニックの医学レポートを拙書「熱心なダンサーへ贈る読むダンス用語集」のコラム(236 スタンダード・ダンスとモダンとボールルーム・ダンスの項)で簡潔に紹介していますが、ここでは全訳をお届けします(2009年翻訳)。
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■ダンスは楽しいだけでなく健康にも良い?
私たち夫婦の話から始めましょう。
ダンスを始めた人から次のような話をよく聞きます。
- 体調がよくなった
- 医者通いをしなくなった
- 姿勢がよくなった
- 若々しくなった
- 体力がついた
- 生活にメリハリがでた
- 人前に出るのが怖くなくなった
「体調がよくなる」のは当然なことに思えます。と言いますのも、ダンスの綺麗な姿勢は内臓を不要な圧迫から解放するので、本来の持つ機能を果たすようになりますから、肩こりが治ったり体の張りが消えたりすることは十分考えられます。
あるとき、「今日は血圧が高くて調子が悪いの」と辛そうにしていた人に、両手をあげて左右に振る体操を勧めると、少しして、「あら、下がったみたい」と元気を取り戻しました。ダンスそのものの健康効果もありますが、ダンスの前後に体操やストレッチをする人は、更なる効果が期待できます。
社交ダンスでは、
- 異性と手を取り、体を触れ合って踊る
- 音楽を聴きながら踊る
- 後退のステップがある
- リード&フォローで瞬間、瞬間の判断を必要とする
など、こうした他の運動には見られない特質が健康に良い影響を与えない訳がありません。
では、本題のネット上で見つけた記事を紹介しましょう。この記事は下の医学レポートを参考に書かれています。原文はここをクリックして読んでください。
- Columbia University: Dancing for Health
- New England Journal of Medicine, June 19, 2003
- The Telegraph Online October 9, 2005
- WebMD: Dancing Your Way to Better Health
- USA Dance
The Health Benefits of Dancing —
Including Specific Benefits of Different Dances
by www.SixWise.com
ひとりで家にいるとき、こっそり踊るまねをしてみたり、誰かとチャチャを踊ってみたいと思っているならあなたはラッキーです。ダンスは単に自分を解放したり楽しんだりする最上の方法であるだけでなく、健康にも素晴らしい効果をもたらすからです。
実際、マヨ・クリニック(Mayo Clinic)の研究員たちはソシアル・ダンスには次のような効果があると報告しています。
- ストレス解消
- エネルギー増加
- 体力増強
- 筋肉の正常な緊張と協応性(二つ以上の事を同時に行なうこと)の増強
国立心臓・肺・血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute (NHLBI))は、ヒップホップで自由に飛び回っても、カントリーダンスを踊っても、ダンスには次のような効果があると言います。
- 心臓疾患のリスク減少
- 血圧現象
- 体重のコントロール
- 足腰の骨の強化
ダンスはユニークな運動で、社会活動に参加すると同時にエアロビのような有酸素運動から得られる心臓に良い働きもあります。ダンスは特に心を刺激します。ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに発表された21年間にわたる研究では、ダンスをすると高齢者のアルツハイマーや健忘症などのリスクを回避できる可能性があることがわかりました。
この研究によると、1週間に一度、読書やダンス、楽器演奏やボード・ゲーム(盤を使うゲーム)をする人75才以上の人たちは、しない人たちと比較して7%健忘症にかかる割合が減少していますし、そうした活動を1ヶ月に最低11日行なっている人たちは、63%もリスクが減少しました。
興味深いことに、健忘症の減少につながった11種類の研究項目のうち、体を動かすものはダンスだけでした。「ダンス音楽がダンスをする人の心に影響を与えているのかも知れません」と、アルベルト・アインシュタイン医学大学神経科(Albert Einstein College of Medicine)医のジョー・ギルバーズ博士(Joe Verghese)は話します。
博士によるとダンスには脳に対しても3つの効用があるといいます。ダンスによる運動で、脳に対する血液循環がよくなるだけではなく、社会的活動をすることでストレス、鬱病や孤独感を減少させます。更に、ダンスをするにはステップを覚えなくてはいけませんし、パートナーと一緒に踊るわけですから、そうしたことで、脳の健康には不可欠のチャレンジする精神が養われることになります。
How Good of a Workout is Dancing, Really?
実際の所、ダンスはどれくらいいいの?
ダンスから得られる利点は、他の運動と同じく、どういうダンスをするか、どのくらい熱心に行なうか、継続期間、そしてあなたのレベルにより異なります。ウィスコンシンで総合フィットネス・コンサルタントをしている運動生理学者のキャサリン・クラム(Catherine Cram)さんはこういいます。
「いったん心拍数があがると、その時点ですでに素晴らしいトレーニングとなっています。ダンスは体重負荷のかかる運動で、骨を作ります。また、上半身の強化についても“素晴らしい”効果があります」
「フォックストロットを踊っているとしたら、大きな歩幅で、床をすべるように後退のステップをしますが、それはウォーキング・マシンの上で歩き続けることや、近所をジョギングするのとは全くちがう運動です。アメリカのプロダンサーで、ダンススポーツ機関のスポークスマンを勤めるケン・リチャード氏は「ボールルームダンスで使う腿とお尻のうしろの方の筋肉は、他の多くの運動とは違う筋肉の使い方をしています」 ―― と。
Specific Benefits of Different Dances
異なるダンスによる効用
もし特定のダンスに対する効用を知りたいのでしたら、これをどうぞ。そして、どんなダンスでも、ダンスをしないよりずっとましだという事も頭に入れて置いてくださいね。
Belly Dancing
- 姿勢が良くなり、筋肉の調和がとれる。
- 柔軟性を保つ
- 腰痛防止
- 腕や肩の調子を整える
- 体重減少
Ballroom Dancing
- 体調を整える
- 心臓の状態を適切に整える
- スタミナ増強
- 循環器系の発達
- 柔軟性とバランの増強
- 体重減少
- ストレス解消
Salsa Dancing
- スタミナと耐久性の増強
- 体重減少
- ストレス解消
- 発刊作用による解毒作用
- 血圧低下とコレステロールの減少
Square Dancing
- 心臓血管のコンディションをよくします
- 心拍数低下、血圧低下、コレステロール経歴の改善につながる可能性があります
- 骨を強化します
- 強力な社会的つながりを築くのに役立ちます
- 筋肉を緩めたり適度の緊張をつくる
「健康面の他に、ダンスをすることで、その人の一日が明るくなります。離婚があったり、ふさぎこむような時期をすごしたり、そうした人生の変化があった場合にスタジオを訪れる人も少なくありません。そうした人たちが繰り返し躍りに来ると、どんどん変わっていくのが見えます。しばらくすると明るい表情で歩き出しています。それって、ダンスがそうさせたのよ」
こう話すのは、ボールルームを経営するカレン・テビュー(Karen Tebeau)さんです。
Dancing Off Those Calories
消費カロリー比較
人気の高い踊りの中から、65キロくらいの人が1時間踊った場合の消費カロリーは:-
- スイング・ダンス: 235カロリー/1時間
- ボールルーム・ダンス: 265/1時間
- スクエア・ダンス: 280/1時間
- バレエ: 300/1時間
- ベリー・ダンス: 380/1時間
- サルサ・ダンス: 420+/1時間
- エアロビ・ダンス: 540+/1時間
(以上、翻訳終わり)
やっぱり、ダンスは楽しいだけじゃないですね。
ハッピー・ダンシング!