G066 アルゼンチン・タンゴと健康

投稿者: | 2020年10月16日

熱心なダンサーへ贈る読むダンス用語集」(033 アルゼンチン・タンゴの項)からコラムを紹介します。一部内容を変更しています。

 

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★アルゼンチン・タンゴと健康★

 

2012年8月のことです。届いたDM(毎日1分!英字新聞)に、

 

「アルゼンチン・タンゴと心臓疾患患者の回復の速さとの関連性が実証され、アルゼンチンでは医師が患者にリハビリの一環としてタンゴのレッスンに参加することを勧めている」

と書かれていました。

 

そこには情報の出所を示すURLが付いていたので、さっそく訪問してみると、そこは、2008年に発足した「国際タンゴセラピー協会」のHPでした。2020年10月現在はURLもHPデザインも変更されていますが、私が訪問した2012年当時は、次のようなことが書かれていました。

 

    • タンゴ・セラピーには有酸素運動の効果がある。
    • 心臓病、アルツハイマー、パーキンソンなどに非常に有効である。

 

このセクシーなタンゴが好きな人ならば、きっと現実的に健康に良い影響を及ぼすことをご存知でしょう。ミロンガを訪れる人たちはタンゴの音楽で頭痛など、ある種の病気が改善されたと証言しています。こうしたことから、アルゼンチン国内のミロンガには、単なるレジャーセンターではなく、パーキンソンやアルツハイマーの専門治療の場となっているところもあります。

 

米国ワシントン大学の研究では、タンゴを踊る方が他の治療法よりもバランス感覚が改善されると報告しています。それをなくしてタンゴのステップはできないからです。

 

更にこの研究では、パーキンソン病の人たちを二つのグループに分けた実験もしました。ひとつのグループは従来の椅子を使ってのトレーニングをし、もうひとつのグループではタンゴを踊らせました。すると、もちろん椅子を使った治療も効果をあげましたが、タンゴを踊った人たちのバランス感覚は比較にならないほど改善されました。

 

 

 

DMには、「タンゴの独特な抱擁によってオキシトシンと言う、ストレスを抑える脳内物質の分泌が促進される」とも書かれていましたので、「オキシトシン」を知るために「脳の疲れが取れる生活術」(有田秀穂/PHP)を購入すると、次のようなことが書かれていました。

 

 

  • オキシトシンは哺乳類だけが持つホルモンで、心が癒される、幸せな気分になると言う効果があり、「幸せホルモン」として注目されている。

 

  • オキシトシンは、家族団らん、夫婦・恋人との抱擁などで分泌され、オキシトシンが十分分泌されると脳の疲れも取れるし体も健康にしてくれる。

 

  • 女性が分泌するホルモンとして知られていたが、男性も年齢も関係なく分泌されることが分かった。

 

こうした記事や書物を読むにつれ、ダンスと言う文化が広く理解され、かつ、医学方面でも積極的に取り入れられる日が日本にもやってくる日を切に望みます。

 

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ハッピー・ダンシング!