IL05 第2章 ホールドしてみましょう

投稿者: | 2020年4月24日

「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」(白夜書房/神元誠・久子翻訳/2011年)を公開します。原書は2009年に英国のDSI社から出版された”THE IRVINE LEGACY” (Oliver Wessel-Therhorn)です。

 

目次

書籍「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」

 

 

 

第2章 ホールドしてみましょう
Let’s Get into Position

 

パートナーと踊るには、1章の中で説明している正しいポスチャーが、ことさら重要です。自分のバランスが崩れていると相手のバランスにも影響を与えるからです。ビルは彼のダンス人生を通して、軽やかで完璧なホールドを求め続けましたが、それに応えることができたのはボビーだけでした。そこに到達するまでには膨大な時間を費やしましたが、その背景には、ビルの脳裏に残る偉大なヘンリー・ジェイクスの言葉があったからです ― 「私はパートナーが欲しい訳ではない。スカートをはいた幽霊を求めているのだ」。

 

数年後、オーストラリアで世界選手権が開催されたときの事です。優勝したビル&ボビーを見たジェイクス氏はこう語りました。「ビルはスカートをはいた幽霊を見つけた。間違いない」と。

 

 

 

 

― 足の距離 ― 

コンタクトして踊っている時、男女の足の距離は非常に重要で、15cmを目安に離れて立ちます。私たちの足の上に立った垂直なラインがライズ・アンド・フォールをしている時に変化することは自然なことですが、そのライズのときもロアーのときも体重は僅かに前の方にかかりますから、そのために、二人の間にスペースを空けておくが必要になるのです。このスペースは、脚部を自由にスイングするためにも必要です。従って、二人の足が適切な距離を保って離れているように注意を払うことがとても重要になるのです。

 

 

 

 

― ホールド ― 

さて、足の次はホールドです。ホールドでは、腕を持ち上げたときに問題が起こりがちです。男性も女性も両腕は斜め前に出すようにします。そのようにすると、両腕と自分の背中のコネクションができ、筋肉に余分な負担をかけることなく、ホールドが安定するからです。

 

次に、男性は左手で女性の右手を取ります。このとき、互いの手にトーンが感じられるようにしますが、同時にグリップに軽さを感じられなければなりません。そうするための方法として、二人の手の中にはハミングバードの卵があり、それを壊さないように運ぶ所を想像すると良いでしょう。

 

男性の右手は女性の左肩甲骨の下の部分に置きます。両手は女性のものだと思ってください! お互いの両手を非常に敏感にして、パートナーを感じ取れるようにします。女性の背中に置いた男性の右手は、女性のポジションを操ったりリードしたりするのに必要な役割を果しています。

 

「腕がなくても踊れるが、手がなければ決して踊れない!」

 

手に力が入り過ぎると肩にも力が入り過ぎるようになってしまいます。しかし、これに関する詳しい事は、後からお話しすることにしましょう。

 

 

男性は女性のために、自分の肋骨の下のほうに窪みを作るようにすることが大切です。そうすると、女性はその窪みの中に入ったバストラインの下から肋骨下部のボディを通して、正しいコンタクトを感じることができます。

 

「かつては、女性が男性のホールドに入ってきたもので、その逆はなかった!」

 

最後に女性の左手が男性の右上腕部に置かれると、すべてのコンタクトが完成します。この時点で、男女のボディはパラレルになっていなくてはなりません。

 

スイング・ダンスにおいて、自分の左サイドが右サイドより前に出たり、または、その逆のことがあったりしてはなりません。唯一、プロムナード・ポジションの時にだけ、女性は男性の右サイドが出ているのを感じます。

 

よく見られる興味深い現象として、プラクティス・ホールドを近めに組んで踊っている時には、色々なステップがうまくできているにも拘らず、普通のホールドにするとうまくいかなくなるケースがあることです。その一般的な原因は、カップルがホールドしようとして、男性の左手と女性の右手を組んだ時、無意識のうちに男性の左サイドが僅かに開いてしまうからなのです。こうなったときのパラレル・ポジションに戻る対処法として、男性は自分の中心、即ち、おへそを少しだけ自分の右手方向へ向けるようにすることです。しかし、右手が一緒に右方向へ動いてはいけません。

 

ボディのコネクションが適切に調整されると、女性は自分のポジションの中で、先程より大きなスペースを得ることができるようになります。

 

 

― 二つの楕円形 ― 

こうしたテクニック、そして、その応用をよりよく理解するためには、次の基本原則をしっかり把握しておいてください。

 

下の絵をちょっと見てみましょう。絵の中には、私たちのバランスのことを明確に示してくれる大小二つの楕円形が描かれています。 内側の楕円上には二人のおへそがきて、外側の楕円上には二人の左肘がくるのです。

 

 

さて、これからお話しする事はあらゆるフィガーを踊る時に使えます。まず、男性のヘッド・ウェイトは内側の楕円の上に、一方、女性のヘッド・ウェイトは外側の楕円の上にきます。この原理を、踊っているときに作るあらゆるシェイプの中で活かしてください。最近良く見かけるのは、男性のヘッド・ウェイトが女性と同じ外側の楕円上になっていることです。その結果、女性は必死に自分の楕円にしがみつくことになってしまうのですが、それでは上手く踊れません。覚えておきましょう ― 男女共に自分の楕円の上にいる ― です。テキストに出ているフィガーを上手に踊るには、この方法しかありません。そしてまた、そこから更なる上達を目指すにも、この原理をしっかり認識し、いついかなる時もこの原理を使うことが不可避なのです!

 

ダンスを踊る時の頭の位置は、普段の時よりも僅かに上になります。これは脊椎をまっすぐ起しているためです。それに伴い、バランスの取れたホールドをするためには、目の使い方が問題になってきます。男性は自分が進む方向をしっかり見ておきましょう。

 

「トウの上に鼻!」

 

 

 

 

― ダイヤモンド ― 

しかし、私達がよく目にするのは、男性が極端に左を向いている姿です。そのために、一般の人達にはダンスが非常におかしな、不自然なものとして捉えられてしまっています。そうならないためのダンスのルールは、日々の生活でしているように行く方向を見なさい、です。

 

観衆やジャッジが見て判断できるのは、ダンサーのホールドしたシルエットからです。変わることのない綺麗なシルエットを見て貰えるようにすることが、ダンスの成功には不可欠です。そこで、男性の背後からのシェイプを見てみることにしましょう。ダイヤモンドの形 ― こういう風に見えるようにしましょう。

 

 


(「第2章 ホールドしてみましょう」おわり)