「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。
MT27 第5章 言葉の力/①ゴールデン・レッスン
Golden Lessons
私が考えたこのゴールデン・レッスンで何をするかというと、そのカップルの良い面を見つけて告げるのです。その目的は、そのカップルにコップには水が半分も入っていることを知ってもらうためです。水が半分しか残っていないことではありません。
ですから、どんなことでも、そのカップルの良いところを口に出して言うのです。例えば、「スタイルがいいね」とか、「一体感があるよ」とか何でも、他のカップルと比較して良いところを誉めるのです。
こうしたことは、自分の踊りが外からどう見えるかということを知る良い機会になります。このテクニックを使うと、カップルは自分の長所を耳にした途端、もっともっといい踊りをします。なぜなら、良い言葉は喜びを運びますから、それがより良いものを創り出すのは当然なことなのです。ここが大切なポイントなのです。なぜなら、一般的にカップルから聞くことは、
「悪いことを言われるのが怖い」とか、
「どんなふうに見られるか心配だ」といった類の言葉だからです。
そうした否定的なイメージを心の中に蓄積していくとどうなるでしょう。踊り始めるとすぐに、自分に向かって「うまくいかない」と言ってしまうのです。ですから、そうした対話を、今すぐ止めるようにしなくてはなりません。
あなたが踊っているとき、
観衆はあなたの最高の踊りを観たがっているのです。
できないことをやろうとしている姿ではありません。
(M. ジョルジアンニ)
同じお金を使うのであれば、あなたの踊りの長所を教え、あなたの限界を取り除き、励ます言葉をかけてくれることに使う方が素晴らしいと思いませんか? いつもは、ダメと言われることにお金を使っているのですから! 何も、今のダンス界を非難しているわけではありません。
それでもなお、時には、自分たちのここがきちんとできているとか、自分たちの踊りの良いところは何かを発見する、そうしたレッスンが必要だと私は考えます。それによって、もっと上達しなければならない部分と、すでに良くできている部分の確認ができるので、精神的なバランスを取る意味でもメリットがあります。
自由に動くには
疑念から解き放たれなくてはならない。
(M. ジョルジアンニ)
「MT27 第5章 言葉の力/①ゴールデン・レッスン 」