「いまさら恥ずかしいのですが、内回りと外回りって、どうやって分かるのですか?」と質問されました。
確かに「いまさら」という気持ちも分かりますが、誰でもそういうことがたくさんあります。この先、知らないままいくより、今質問したほうがずっといいですし、「知る」ことで踊り方も変わります。スタンダードのケースを例に説明します。
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G017 質問11A 内回りと外回り、何が違うの?
◆内回り、外回りとは ――
二人で一緒に踊るとき回転はつきものですが、その回転の内側にいる人が行うのを「内回り回転」、回転の外側にいる人が行うのを「外回り回転」といいます。分かりやすくいうと、スタンダードではほとんどの場合、男女が向かい合って組んで踊っていますが、その場合、後退の人は常に内回りで、前進の人は常に外回りです。
例えばワルツのナチュラル・ターンの場合、
・1~3歩目は、男性は外回りで女性は内回り。
・4~6歩目は、男性が内回りで女性が外回りになります。
もうひとつ例を挙げましょう。同じくワルツで、今度はナチュラル・スピン・ターンです。
・1~3歩目は、男性は外回りで女性は内回り。
・4歩目は男性が内回りで女性が外回り。
・5歩目は男性が外回りで女性は内回りになり、そして、
・6歩目では男性は単に後退で女性も単に前進になります。
これで内回りと外回りの見つけ方は大丈夫ですね。
◆内回りする人と外回りする人の踊り方の違い ――
1.移動距離と回転速度の違い
- 外回りする人は移動距離が大きく、内回りの人より回転速度は速い。
- 反対に、内回りの人は移動距離が小さい分、外回りの人より回転速度は遅くなります。
- したがって、内回りをするときは外回りのときより「穏やかに(ゆっくり)」回転するよう心がけなければなりません。回転で相手とずれてしまうのは、内回りする人が外回りと同じ気持ちで踊った場合に起こります。
- しつこいですが、内回りと外回りを同じ気持ちで踊りません。
2.回転の仕方の違い
内回りと外回りのもうひとつの大きな違いは回転の仕方にあります。
- 通常、ひとつの回転(例:ナチュラル・ターン前半)は3歩間で行われ、内回りの人は始めの2歩で回転を完了しています。
- 一方、外回りの人は1~2歩間と2~3歩間で回転を2分割して行います。
- ワルツのナチュラル・ターン前半(3/8回転 = 135度)を例に取ると、内回りの女性は2歩目をステップした時点で足の回転は完了していますが(ただし、体の回転は3歩目で完了します)、外回りの男性は1~2歩間で1/4回転(90度)し、2~3歩間で残りの1/8回転(45度)を行います。
注意1:外回りの人が始めの2歩で一気に3/8回転しようとすると、オーバーターンして相手とずれを起こしたり、バランスを崩しやすくなります。
注意2:あるいは、内回りの人が始めの2歩で体の回転を完了してしまうと、体の移動速度が外回りの人より速いため、相手とずれてしまいます。
※注意1,2の両方とも、初心者が陥りやすい誤りです。内回りするときは「相手の人と一緒に動く」ではなく、「相手の人をいかせてあげる」気持ちが必要です。
※この「内回りと外回り」の理論は、ラテン・アメリカンでも使われます(例:サンバのリバース・ターンやナチュラル・ロール)
ハッピー・ダンシング!