MT10 第2章 ニーズ/④愛情

投稿者: | 2020年2月21日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

 

■目次

 

第2章 ニーズ/④愛情
Love

 

愛情 ― これも、人間の根本的な欲求のひとつに違いありません。生まれたばかりの赤ちゃんを思い浮かべてください。赤ちゃんにとって、ボディ・コンタクトのもつ一番の意義は愛情を受けることなのに、もし、赤ちゃんからこのボディ・コンタクトを奪ってしまうと、それは、水も空気も与えないようなものです。そんな小さな子供にさえ、愛情という欲求が満たされることがいかに大切か、分かって頂けると思います。

 

愛情は受けることも大切ですが、与えることも大切です。愛情を受けることも与えることもない人生を想像してみてください。私は、そんな自分の人生はとても考えられませんが、きっと、あなたも同じだと思います。誰かと一緒にいることや、何かに属しているという感情も愛情と同じです。それは、感情を共有すること、夢を共有すること、そして、結果や成果を共有することと同じなのです。

 

愛情があることで、自分は一人ではないと分かり、そうした確信が自分にエネルギーや夢を与え、ゴールに向かう燃料を与えてくれるのです。もちろん、愛情にもいろいろな種類があります。子供に対する愛情、妻に対する愛情、両親に対する、あるいは友人に対する愛情、また、あなたの傍で応援してくれる人への愛情もあります。そのような愛情は人に元気な気持ちを与え、落ち着きを与えてくれます。

 

私が強く思っていることに、自分のパートナーを愛することを学ばなければならない、ということがあります。私は、なにも夫婦に限ったわけではなく、二人の人間の間の愛情についてお話しをしているのです。

なぜなら、私のこの考えを好むと好まざるに関わらず、そのカップルのことは、外から見て分かってしまうからです。お互いに尊敬し合う人たちや、素敵だと思っている人たち、愛し合っている人たちは見て分かります。同じように、嫌い合っている人たちも分かってしまいます。

 

 

・ 二人で踊っているとき、観客は二人の肉体の動きだけではなく、心の状態にも気付くのです。

・ 二人で分かち合う部分を増やしなさい。一人だけで重荷を増やすのではありません。

 

 

お互いに、相手を好きになることを習慣づけるようにしましょう。そして自分のダンスを好きになり、悪い面を見せるのを止めるようにしましょう。自分の踊りを尊重し、自分を褒め称える気持ちを持たなくてはなりません。それができないようであれば、「それはなぜ?」、「なぜ自分のことを好きじゃないのだろう」と、今すぐその理由を探しましょう。その答えを見つけることができれば、道が開かれ、そこにエネルギーが流れ、あなたが観たいもの、感じたいものに結びついていくのです。

 

 

人から好かれるには、まず自分を好きになること。
(M. ジョルジアンニ)

 

 

「必要なものはすべて、自分自身の中に見出すことができる」という言葉を、私は確信を持って信じていますので、必要なものは、どんな偏見や否定的な考えにも邪魔されず、取り出すだけでよいのです。これが私の言う、「まず自分を好きになること」の理由です。そうすれば、自分への疑念を減らすに従い、自由な表現への道が開かれるのです。そして、あらゆる否定的な考えから解放されたとき、あなたの表現は本物となり、心が開けた新鮮なコミュニケーションが始まり、他の人と結びつくのです。そうなれば、誰もそれを無視することはできません。

 

私は、そうしたものが流れ出たとき、最高のパフォーマンスを達成することができました。自分を愛し、自分をダメと否定しないことで他の人たち全員と結びついた気がしました。アレッシアと一体化した私には、彼女に対する否定的な考えは何も湧いてきませんでした。

 

繰り返しますが、二人の間の恋愛感情を言っているわけではありません。そうではなく、それは二人が分かち合っているものに対する愛情であったり、自分が感じていることを他の人たちにも感じてもらったりすることなのです。私たち人間は、肉体を除けば感情や情緒でできているわけですから、感情を育むのも、コミュニケーションするのも、愛情の持ち方次第で違いが出てくるのです。

 

競技選手たちは、自分が感じていることを観衆に対して伝えようとすることで、観る側の心に影響を与えるよう競技をすべきだと、私は考えています。あたかも、見ている人たちが、あなたたちの踊りと一体化してしまった感覚になるかのように。

 


(「MT10 第2章 ニーズ」つづく)