「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。
第2章 ニーズ/⑤成長
Growth
成長は生きると同義語です。生あるものはすべからく変化し続けています。成長とは、また、快適ゾーンの外に踏み出すことと同じ、とも言えます。生命は、その一瞬一瞬が特別なものであり、特殊でもあり、進化の可能性を含むものなのです。
この「成長」の感覚とは、多くの充実感を伴います。そして、それは肉体的に変化するという意味合いでの充実感もありますが、多くの場合は、精神的、かつ知的面での充実感です。残念なことに、しばしば成長は「老ける」と否定的に解釈されることもありますが、むしろそれは、不可避の変化であり、以前の自分とは異なることであって、比較できないものなのです。
20 代のカップルが活発に素晴らしい動きをしているのを見るのはとても気持ちが良いものですが、同時に、40 代の人たちが、20 代ではなかなか分からないと思われる自分の体のことをよくわかって動いているのを見るのも素晴らしいです。
ですから、刻々と成長し続けている自分自身をあなたも大切にしてください。成長は充実感を与えてくれますし、自分がしてきたことが正しいと自信を持つことができるからです。
小学・中学時代の私は本当に勉強嫌いな子供でした。いえ、むしろ、学校そのものが嫌いでした。しかし時が経つにつれ、私は貪欲に本を読むように変わったのですが、それは、知識は成長そのものであると理解したからです。
全く同じことがダンスにも言えます。つまり、ダンサーは何をしているか、それをきちんと知らなくてはいけないのです。なぜその動きをしているか、その理由を知ることで、更に豊かな動きに変わっていくからです。
ダンスで上達するとは、肉体的な面だけではありません。むしろ精神面の方が大きいのです。知識とは、より多くの選択肢を得ることなのですから。
20 才であれ80 才であれ、学ぶことをやめた者は皆、老人である。
学び続けるものは若さを失わず、肉体的能力はどうであれ、
より価値ある人間となり続ける。
(ハーヴェイ・ウルマン*)
■ ハーヴェイ・ウルマン(Harvey Ullman):アメリカ生まれの詩人。
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