MBD 11.簡単なワルツ

投稿者: | 2020年2月5日

ビクター・シルベスターのモダン・ボールルーム・ダンシングから「11.簡単なワルツ」をお届けします。

第二章 実習
11.簡単なワルツ
Easy Waltz

 

現代のワルツはどんな舞踏場でも踊る事ができます。ここに取り上げるフィガーも混雑した所でも広々とした所でも使う事ができます。もしフロアが狭く混雑していたなら、トウにライズしないでステップを小さくして踊りまし。広くて混雑していないフロアなら、ステップを大きくし、トウに上が るライズを1拍目の終わりから徐々に始め3拍目まで(特に説明ない限り)続けます。3拍目の終わりでは、体重が乗っている足のヒールをおろして通常の位置までロアーします。ホールドはスローやクイック・リズムで述べている方法と同じです。

各フィガーの第 1 歩は音楽の1拍目に合わせます。ワルツは 3/4拍子(1小節に3拍)で、現代のテンポは1分間に30小節、1拍目にアクセントがきます。初心者が心配する‘スロー’や‘クイック’はありませんから、1、2、3とカウントします。でも、カウントは同じ長さですよ。長さが違うとステップが 速くなったりして正しいタイミングを失ってしまいます。

ビギナーの人はフィガーの練習に入る前に、ワルツの音が取れるよう、特別な注意を払いましょう。

ナチュラル・ターン、右のクローズド・チェンジ、リバース・ターン、左のクローズド・チェンジの説明では、回転の入るステップ(ナチュラル・ターンやリバース・ターン)には1、2、4、5、6と番号を、そしてクローズド・チェンジのフィガーでは7,8,9と番号を打っています。理由は、1 2 3 1 2 3 1 2 3と音楽に合わせてタイミングを言うより、回転フィガーや踏み変えの フィガーのステップ数を口にする方が初心者には易しいのだと言う事に気がついたからです。初心者は1 2 3のパターンが繰り返されると頭がごっちゃになってしまいますが、1から9まで続けると、どこで回転し、どこで同じ方向を保つべきかをカウントで覚えるのです。他のフィガーについても同じことが言えます。この方法を使うとビギナーの人たちはどこでフィガーが始まり、どこで終わるかを知るのです。

フィガーをマスターした人たちにも、まだまだワルツでやる事はあります。例えば、少しスウェイを使うと、踊りをソフトに見せるだけでなく回転を助けてくれます。このスウェイは、スロー・リズムやクイック・リズムで使われるスウェイ(ほとんど場合、右か左に2拍間維持されたまま)とは異なります。

スウェイの一般的なルールは、カウント1で右足が前進か後退する場合、あなたのスウェイはカウント2,3で右になり、カウント1で左足が前進か後退する場合、スウェイはカウント2,3で左になります。しかし、ここで取り上げるフィガーの中にただ一つの例外があります。それはナチュラル・スピン・ターンの4,5,6にはスウェイが使われない点です。ラル・スピン・ターンの4,5,6にはスウェイが使われない点です。

その他のフィガーやスタンダード・バリエーションは13章で取り上げています。

 

 

■ステップの説明頁を開きましょう。以下のステップが出ています。

  • 右のクローズド・チェンジへ続けるナチュラル・ターン(ライト・ターン)
  • 右のクローズド・チェンジ
  • 左のクローズド・チェンジへ続けるリバース・ターン(レフト・ターン)
  • 左のクローズド・チェンジ
MBD_92-97

 

(この項おわり)


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「モダン・ボールルーム・ダンシング」
(ビクター・シルベスター著/神元誠・久子翻訳/白夜書房)
2005年12月出版
原書名:Modern Ballroom Dancing (Victor Silvester)

 

 

世界で60万部以上の販売実績を誇る、ボールルーム・ダンス本のトップセラー。1922年の第1回世界プロフェッショナル・ボールルーム・ダンス選手権のチャンピオン、ビクター・シルベスターがダンスの歴史を遡り、スタンダード・ダンスの起源と発達を語る。実習編では、初心者にも適した踊りから上級者向けまで詳しく解説。

 

ビクター・シルベスターは楽団を率いていたことでも有名ですし、同様に、ストリクト・テンポを確立した人としても名が知れ渡っています。私がダンスを始めた時にも、イギリスからビクター・シルベスター・グランド・オーケストラのLPを何枚も買い求めていましたので、そのように著名で偉大な人が書かれた本の翻訳をさせて頂く機会を得たことは、この上なく光栄でした。

 

神元誠・久子