IL12 第7章 プロムナードとフォーラウェイ

投稿者: | 2020年4月30日

「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」(白夜書房/神元誠・久子翻訳/2011年)を公開します。原書は2009年に英国のDSI社から出版された”THE IRVINE LEGACY” (Oliver Wessel-Therhorn)です。

 

目次

書籍「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」

 

 

 

第7章 プロムナードとフォーラウェイ
Promenades and Fallaways

 

ボールルーム・ダンスで最も美しい形のひとつにプロムナード・ポジションがあります。しかし同時に、最も難しい形の一つでもあります。プロムナード・ポジションは二人が一緒に前進するために必要な形で、この形では二人のボディをできる限り平行に保つようにします。ここで大きな疑問が起きます。

「プロムナード・ポジションなのに平行?」と。

 

 

― プロムナード・ポジションの作り方 ―

その場でプロムナード・ポジションになってみましょう。この時のバランスは、お互いのスタンディング・フットの上にあります。即ち男性は右足、女性は左足の上です。その形で、フロアに対して足の親指でどんどんプレッシャーをかけて行きます。そうすると、ボディや上肢帯が下半身から分離されることなくプレッシャー・ライズが起こり、ボディの上にしっかり両肩が来て、その重さを感じることができます!

 

“両耳を汚さずに煙突から頭を突き出せ!”

 

こうすると、女性も自分のカーブしたポスチャーを保ちながらボディ・ライズをすることができます。このライズを継続する中で、男性は自分の右手の方へと自分のセンターを向けて行きます。この時、右手を一緒に回してはいけません!

 

骨盤も積極的に回そうとしないことが大切です。積極的に回そうとしないことによって、骨盤の所で適切なVの形を作ることができ、男女共に、内側の足で前進することが可能になるのです。

 

二枚の写真を比較してみましょう。二枚の写真には約35年の隔たりがありますが、プロムナードの基本に変化はありません。

 

ビル&ボビー・アービンのPP

 

ウィリアム・ピノ&アレッサンドラ・ブッチャレーリのPP

 

ダンサーの能力の違いで、プロムナード・ポジションになるスピードも変わってきます ― ゆっくり、早く、徐々に、突然に、と。女性は男性のスピードに従ってヘッドを左から右に返しますが、ボビーは女性が本当にヘッドを返してしまうのを心配していました。つまり、ヘッドを返すがためにヘッド・ウェイトがスタンディング・フットから外れてしまうことがあるからです。ボビーがよく言っていたのは、

 

“私は頭を返さない、顔を返しているの!”

 

このようにして行うプロムナード・ポジションの入り方は、音楽に対しても美しい表現を与えます。

 

さて、プロムナード・ポジションからの2歩目は、男性は左足を、女性は右足を横にステップしますが、重要なことは、2歩目にかけてスウェイを使わない事です。第4章で述べていますが、1歩目のロアーの間に静的エネルギーが蓄えられますから、その間にスウェイを使おうとすると、既にボディ・ウェイトの一部が1歩目を通過しつつあるため、エネルギーを最大に使うことができなくなるからです。この1歩目のロアーでは、男性は女性の方へ自分のセンターを回転させます。それは、見えないほど極僅かですが、それにより、女性は次のステップに自由に出て行けるようになります。男性は、プロムナード・ポジションからの右足では特別な注意を払わなくてはなりません。その右足に体重が移行した後、左足が右足の所に来る前に、右ヒップが右足の上に来ていなくてはなりません。複雑に聞こえるかも知れませんが、実際は、簡単なことです。

 

練習の時などでは、その場でプロムナードになることがありますが、実際に踊っている時には、前の回転から続けてプロムナードに入ります。右回転をする中で、骨盤の回転をボディの回転より早く終わらせると、パートナーの骨盤との形がV字に開きます。その良い例がオープン・インピタスやターニング・ロック・トゥ・Rです。

左回転の場合は反対に、ボディの回転が終わっても骨盤の回転は続きます。例えば、アウトサイド・チェンジからプロムナード・ポジションになるとき、あるいは、オープン・テレマークです。

 

 

 

― フォーラウェイ ―

フォーラウェイ・ポジションとは、単純に、カップルがプロムナード・ポジションで後退するだけです。分析するとそれだけのことです。つまり、このように、練習の段階から、それぞれのフィガーがどういう性質のものなのか、また、どういう基本構造になっているのか、という事を分析することが大切です。

 

フォーラウェイ・ポジションになるフィガーに、フォーラウェイ・リバースというのがあります。このフィガーでは、どの時点でフォーラウェイ・ポジションになるべきか、色々意見がありますが、2歩目でなる場合と3歩目でなる場合とでは、表現が異なるという事に気づいているでしょうか。つまり、どちらの足でフォーラウェイ・ポジションになるにも、自分が何を表現したいのかという考えを明確に持っていなくてはなりません。ビルの考えは2歩目でした!

 

フォーラウェイでのアクションを分析することは大変重要です。このフィガーが踊られる時の左カーブをイメージしてください。最後のスリップ・ピボットでは、殆ど三日月のような形で男性は後退します。二人がお互いに楽に回転するには、この方法しかありません。男性は2歩目で女性を通り過ぎます。3歩目は自分のボディの下に置くだけで、それ以上出て行くべきではありません。そうすることにより、女性は音楽を体で表現する余裕ができます。男性は3歩目から4歩目の間で自分の右サイドを後退させ、女性は左サイドを使ってフォローします。覚えておきましょう、女性の右サイドは閉じてはいけません! 体の動きに従って足を動かして行くことで、次のフィガーに入るための形になることができます。女性の回転量は大きいですから、女性が頭を右に回転させるのは賢明ではありません。バウンス・フォーラウェイでは違いますが。

 

女性のヘッド・ウェイトを変えさせるリードをしている時に、回転やシェイプの変化は殆どなく、顔の向きだけが変わり、とても魅力的な形になります。

 

フォーラウェイのフィガーにはフォーラウェイ・ウィスクもあります。一般的にはプロムナード・ポジションから入るフィガーです。そこからスタートすると、いったんスクエアに戻りますが、このフィガーが作られた当初は、最初のプロムナード・ポジションから最後のフォーラウェイ・ポジションまで、終始プロムナード・ポジションのままで踊り通すフィガーでした。

 

現代版は違います。プロムナード・ポジションからスタートすると、そこからナチュラル・ピボッティング・アクションを使って1~2歩間で.クローズド・ポジションに戻ります。そこから3歩目で、二人とも後退してフォーラウェイになり、最後の4歩目でウィスクをします。現代版では二人のポジションの変化が加えられているのです。即ち、プロムナード ~ クローズド・ポジション ~ フォーラウェイ ~ ウィスクをしているのです。この間、女性は自分が魅力的と思うヘッドの使い方をすることができます。

 

◇ ◇ ◇

 

(上)娘レベッカと名付け親のウィリアム・ピノ&アレッサンドラ・ブッチャレーリ (下左)娘ラファエルと名付け親のビル (下右)娘ラファエルと名付け親のボビー

 


(「第7章 プロムナードとフォーラウェイ」おわり)