IL02 序文、はじめに

投稿者: | 2020年4月22日

「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」(白夜書房/神元誠・久子翻訳/2011年)を公開します。原書は2009年に英国のDSI社から出版された”THE IRVINE LEGACY” (Oliver Wessel-Therhorn)です。

 

目次

書籍「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」

 

 

 

■序 文
Forewords

 

 

マーカス&カレン・ヒルトンMBE
Marcus & Karen Hilton, MBE

 

オリバー・ヴェッセル・テルホーンは並外れた、言葉では表現できない程素晴らしい才能の持ち主です。ボールルーム・ダンスのテクニックについて、ビル&ボビーの素晴らしい考え方を本に書き上げるという、とてつもなく難しい仕事を引き受けるという事は、多くの時間を費やし、忍耐も必要とします。また、ウィットも知識もエネルギーも必要ですが、オリーはそうしたものを豊富に持っている人なのです。

 

ビル&ボビー・アービンMBEは本当にユニークなカップルでした。私たちはお二人を先生として、友人として、また、この素晴らしいダンス・ビジネスの真の大使的役割のパイオニアとしても存じ上げていました。レッスンを受けていても、食事をしていても、ゴルフをしていても、あるいはハロッズで買い物をしていても、常に私たちにダンスのテクニックとスタイルを教え込みました。

 

彼らのレッスンを受けることができた人、レクチャーを見たり参加できたりした人、あるいは、単にこの素敵な二人と一緒にいることができた人、そうしたラッキーな人たちはこの本を読むと、きっとビル&ボビーが話した素晴らしい言葉の数々や響き、そして表情などが甦ってくることでしょう。私たちは、この本を書くようオリーを励ましましたが、それは彼以外にこの仕事をできる人がいないと思っていたからです。彼がこの仕事にどれほど多くの時間と思考と努力を注ぎ込んできたか良く分かっています。競技選手であれ、先生であれ、あるいは単にダンスを楽しむ人であれ、世界中のダンスを愛する人々にとり、この本がとてつもなく素晴らしいものであると分かって貰えることでしょう。

 

“おめでとう”オリー。この本は二人の素晴らしい人物、ビル&ボビー・アービンMBEから受け継いだものを証明する本です。そしてお二人はあなたと共に、そしてあなたの言葉の中に生き続けるのです! オリバー、君に最敬礼!

愛をこめて、マーカス&カレン・ヒルトンMBE

 

 

 

 

ラファエル・グルニンガー
Rafael Grüninger

 

この素晴らしい本のプロジェクト参加をオリバーから依頼されたとき、私はとても名誉なことと喜んで引き受けましたが、自分の担当箇所の仕事は思った以上に大変でした。オリバーは、ビル&ボビー・アービンが行なったボディ・ワークの情報、および、オリバー自身が持っている知識をすべて広げて、私に総合的な見識を求めてきました。それまで私はどれほど高度で、どれほどすごい情報が待ち受けているか知りませんでしたが、それは巨大な宝箱を開けたような感じでした。私の仕事は、ひとつながりになった解剖学、バイオメカニクス、生理学、ダンスの技術、音楽性、そしてムーブメント感覚を解読することでしたが。ビル&ボビーは、この複雑な複合体を完璧に理解していましたので、最も簡単で効果的な方法でダンスに応用することができたのです。

 

親愛なるオリバー、私を信じてくれてありがとう。

 

ラファエル(君のドクター・ココナッツ)

 

 

 

 

■はじめに
Introduction

 

 

さて、私が本書で取り組んでいる事は、歴代の中でも最も魅力的なボールルーム・チャンピオンだったビル&ボビー・アービンMBEのレッスンにおける彼らの哲学と教え方を文字として残すことです。それがとてつもなく大変な仕事だという事も、その責任の大きさにも気づいていますが、同時に、レッスンに使われた二人のアイディアなどをすべて書き出すことができるなら、どんなに素晴らしいことだろうとも思っています。ともあれ、この本は桁違いに偉大な二人の人間と私との個人的な経験を書いたものです。お二人は私の長いダンス人生の中で私の唯一の先生でした。おかげで、いろんな先生からいろんな違った情報を受け取って頭が混乱するという目に会わなかったことを考えると、私は幸運に恵まれていたと思います。

 

この本を書くにあたり、DVDに残された彼らのレクチャーを見て自分の記憶をリフレッシュしたり、世界中で行なわれた膨大な数のレクチャーのメモなどで勉強したりしましたが、だからと言って、私の記憶が完全だとか、書き出した情報が完璧だとか言うつもりはありません。親愛なる読者の皆さん、ですから、もし大きな間違いを見つけられたり、ビル&ボビーの全体像に追記が必要と思われたりした時には、どうぞお気軽にご連絡ください。もし改訂版が出るような時があれば、喜んで変更・追加をさせて頂きますので。

 

ここでラファエル・グルニンガー氏の表現を引用するのが適切と思うのですが、この本は新しい解剖学の百科事典などではありません! 氏は、「ここに書かれた事は、ビルが教えるときに使ったちょっとしたバイオメカニクス的な説明に過ぎません。彼は解剖学を学んでいたために、それをレッスンに使うことができたのでしょう」とコメントしています。確かに、バイオメカニクス的な説明は彼の教授法の一部でした。ある動きをどのようにしたら良いかを生徒に話し、なぜそれが解剖学的に正しい唯一の方法なのかを易しく説明していました。そういうことで、医学を勉強されている人がいましたら、ここに書かれているのは素人向けの大雑把な説明ですので、ご了承ください。

 

ビルの哲学を理解するために知っておかなければならない事があります ― 人体が機能する理論に基づいて、可能な限り効率的に踊ること ― これがビルにとって重要な事でした。もちろん、そうすることで筋肉を最大限に緩めて体を使うことができ、結果、可能な限り完璧な踊りができるようになるのですから、懸命に努力するに値することです。

 

「三つのコントロール要因があります。

それは、バランス・コントロール、筋肉のコントロール、

そしてタイミングのコントロールです。

その中の一つでもコントロールできなかったなら、

すべてがダメになってしまいます。」

 

この説明にダンスのすべてが含まれます。よって、これからの章の中では、そうしたコントロールを可能にする方法についてお話していくことにしましょう。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

バランスのコントロール!

筋肉のコントロール!

タイミングのコントロール!

 

 

ダンスにおけるあらゆることが、

この3つに含まれています

 

 

文中、網のかかった所は、実際にビル&ボビーが話したことを意味しています。

 


(IL02 序文、はじめに)