MT05 第1章 イリュージョニスト/①意図

投稿者: | 2020年2月18日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

 

■目次

 

 

第1章 イリュージョニスト/①意図
Intension

 

私たちは何らかの動きをするとき、その動きをする理由に気づいていることが重要です。なぜその動きをするのか、その価値を感じ取ることが重要です。私なら、単に振り付けがそうだからといって足を上げるようなことはしません。しかし、その目的が、持ち上げた足のストレッチを見せることだとか、足先からエネルギーが果てしなく流れ出る感じを演出するのでしたら、きっと振り付けに従うでしょう。観衆をずっと惹きつけていられるのですからね。

 

観衆が引き込まれ、ダンサー自身のメッセージを感じ取ってくれたら、ダンサーの意図は達成されたと言えましょう。失敗した場合、それは、観衆のことを何も考えず、独り言を言っているようなものです。

 

ダンスとは表面的には無言であっても、内面的には決してそうではありません。ですから、踊っているとき、あなたの内面では、その動きに関する会話が続けられていなければなりません。それは魔法の言葉で、パートナーの、そして観客のフィーリングに直結している言葉なのです。

 

コミュニケーションを取らないようにすることは不可能です。大切なのは何をコミュニケーションするかです。私たちダンサーも、イリュージョニストの格好をするかどうかは別としても、彼らのコミュニケーションの取り方を真似することはできます。彼らは確実に「トリック」の結末に自信を持っていますし、観客がどのように反応するかも知っています。観客の気持ちを読み切り、呆然とした表情まで想像しています。そうなることに微塵の疑いも持っていません。そうでもなければ、期待する結果は得られないことでしょう。ですから、私はダンサーたちにイリュージョニストと同じ精神的なアプローチを勧めるのです。

 

自分が自分自身の観客となるのです。そして自分が作りだす動きを見、自分のマジックが巧く行なえて効果を発し、自分を魅了するかどうかを見るのです。

 

その場合、踊りがリズムに合っているかとか、真っ直ぐ立っているからOKだとか、そんなことではありません。観客に何を伝えたいのかを明確にした上で、そのマジックを行なうために必要なステップを使うのです。魔法はステップの中にあるのではありません。踊っている最中の、あなたの狙いの中にあるのですから。

 

シンプルなことにもイリュージョンはあるのです。
(M. ジョルジアンニ)

 

 

 

エクササイズ 

あなただけのマジックをしてみましょう。このように考え始めてください。

  • 観衆に伝えたいことは何ですか。観衆に感じ取って欲しいことを考えだしましょう。
  • 強調したい振り付けの場面を抜き出し、その場面で自分が観られていることをはっきり認識しましょう。
  • 心を静かにして座り、自分が踊っている場面と観衆の反応をイメージしましょう。

 

 

まとめ

1.イリュージョニストになったあなたは、自らの動きの効果を知り尽くし、観衆が自分の望んだ通りの反応をすると確信しましょう。

2.ダンサーにふさわしい魅惑的な考え方をしましょう。

3.イリュージョンとは、内側から現われたものが、外で気づかれるものです。

4.ダンスとは言葉を無言で表現するものです。

5.思ったような踊りができないかもしれないという懸念を、自分の中から取り除きなさい。

6.いつ行なうか(タイミング)と、なぜ行なうか(意図)を、より明確にしましょう。

 


(「MT05 第1章 イリュージョニスト」おわり)