ジェレミーさんに記事を書いては貰ったものの、それまで簡単な英語にしか接してこなかった私には、今まで目にしたことのない単語が山のように次々と飛び出してきて、あっという間に原稿の前で遭難しそうになりました。
私とダンスとアレクサンダー・テクニークと
AT07 あらゆる動きはどこかに影響を与えている
ボディ・チャンスの7つの原理 1. すべての動きは相互依存の関係にある。 |
その一方で「仕事だからやらねば!」と、辞書とにらめっこしながら必死になると、案外頑張れる自分がそこにいることを発見しました(笑)。
振り返ると、この7つの原理の1と2の訳は、あまり上手くできていない気がします。原文を尊重して伝えようとするあまり、口が回らなくなっている感があります…。
1番目は「あらゆる動きはどこかに影響を与えていること」で、
2番目は「知らない間に、結構体に悪い動きをしている」
ということですが、更に墓穴を掘らないうちに、その1番目を見て行きましょう。
それにしても、この7つは「原理」なので当然と言えば当然なのですが、より質の高いダンスを自分自身の中に見いだすには、繰り返し読み、じっくり考えるに値すると思います。
1.すべての動きは相互依存の関係にある
ダンスでは足や腕、あるいは体や頭などの特定の動かし方を考える必要がしばしば出てきます。
それはダンスを習う上では当然で必要なことですが、そこには大きな危険も待ち受けています。
もしあなたが、懸命に体の一部をどうにかしようとし過ぎ、しかも、それが体全体に及ぼす影響について何も考えずに行ったとしたら、知らないうちに体の他の部位にも変化を起こしてしまうことでしょう。
そうして気づかないうちに起こった変化は、時として、後々に問題を起こすことがあります(ボディ・チャンスの原理2)。
例えばそれが、胸の締め付け感だったり、どこかにずきずきと痛みを感じたり、バランス感覚を失ったり、いつも変な方に曲がってしまったりと、知らない間にそうしたことが起こるのです。
このような場合、専門家に詳しい分析と原因究明をしてもらわなければなりませんが、概ね、原因は自分が想像もしないところにあるものです。
しかし、動きの原理を理解し、その応用方法がわかると、動きにまつわる問題は速やかに解決されることでしょう。従って、体の動きの学習は、常に体全体の見地から行われなければなりません。
(「ダンス ―― 遥かに上手くなるための秘訣」第1回記事から)
原稿を訳しながら、「ブラジルで1匹の蝶が羽ばたけば、遠く離れた場所にも影響を与えている」とする「バタフライ効果」のことを連想しました。
また、「クレオパトラの鼻が低かったら歴史は変わっていた」のような話もあります。そうした話から比べると遥かに規模の小さな自分の体のどこかを使うと、それが他の部位に影響を与えていても不思議ではありません。
そう考えると、例えば「腕を上げればホールドになる」と考えるのは短絡的であることが分かってきました。
そして、ホールドするときは頭蓋骨や背骨のこと、あるいは、肩や脇周辺の筋肉のこと、さらには足裏にまで意識を広げると違ったものになることが分かってくるのでした。
(つづく)
「私とダンスとアレクサンダー・テクニークと」目次
- AT01 不思議な出会い
- AT02 潜入調査開始!
- AT03 ショッキングな体験
- AT04 筋肉を意識的に解放する
- AT05 パートナーは二人必要?
- AT06 動きの原理を知っていますか?
- AT07 あらゆる動きはどこかに影響を与えている
- AT08 原理2と3
- AT09 頭部の動きは脊椎運動を支配する
- AT10 私も魔法を手に入れました!
- AT11 良く出来たときは案外変に感じる
- AT12 頑張らなくていい
- AT13 頑張らなくていい例文
- AT14 当てにならない感覚
- AT15 7つの古典的な誤り
- AT16 自分を世界の中心に置く
- AT17 内なるダンスに向けて
- AT18 協調運動
- AT19 動的な動き
- AT20 力まないダンサー
- AT21 さあ、実験!
- AT22 背骨の可動範囲
- AT23 失われた第6感
- AT24 判断基準が自分にある危険性
- AT25 最終話 難しいのはあなたの古い習慣
- AT26 ダンサーのためのアレクサンダー・テクニーク