どこかの誰かのダンスに役に立つことを願い、拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」を公開中です。今回から、第3章「スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話」に入ります。
MA23 第3章 スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話
(第1話)ワルツで笑っていけないの?
以前、あるダンス雑誌に関わっていたとき、
「記事の中のコメンテーターが、ワルツのスマイル(Smile)とラーフ(laugh)は違うと書いてありましたが、女性はどんな笑みで踊ればいいの?」
という趣旨の質問を受け取ったことがあります。
どのレベルの人にも関心ある話題だと思いますので、当時の回答を書き直して取り上げたいと思います。
英語のスマイルは「微笑む」でラーフは「笑う」ですから、二つの意味は大きく異なります。
次に、「ワルツ」と聞いて「明るい!」、「楽しい!」と思うかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
いろいろ聞いてみても、飛び抜けて明るい曲は少ないです。にこにこ笑えるような曲は皆無に近いと思います。例えば、千昌夫の「星影のワルツ」で、笑って踊る人は誰もいないでしょうから、記事の中のコメントは、「それなりの表現が必要」、ということではないでしょうか。
「どの程度の笑み」が適切か気になったので、当時、手元のDVDで調べてみたことがあります。一枚は日本インターの決勝で、もう一枚はブラックプールの決勝です。
ブラックプールでは、笑っている選手は皆無でした。一方、日本インターの中には明らかに笑い出しそうな表情で踊る選手がいましたが、曲はそれほど明るくなかったので、私の目には曲に合わない表現に映りました。
なぜ、そんな表情を作ってしまったのでしょう?
ひとつ考えられることは、日本人は一般的に表情が控えめなので「何かしなければ」と思った途端、大げさになってしまうのかもしれません。「微笑み」が「笑う」という風に。
ですから、プロであれダンス愛好家であれ、いつも決められたルーティンとワンパターンの表現を使うのではなく、今、自分たちの体を包んでいる音楽を感じ取る練習が必要だと思います。
(素人の私が)実に思い切った発言をしてみました(笑)。
その音楽から、あなたが何を感じるかが大切なこと。
「人と同じに」とか「こうしなければ」と言うものではありません。
(「第3章 スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話(第1話)ワルツで笑っていけないの?」おわり)
ハッピー・ダンシング!