どこかの誰かのダンスに役に立つことを願い、拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」を公開中です。今回は足の指の話。
MA01 第1章 体に関する11の話
(第1話)靴の中の足の指
「靴の中で足の指はどうしているのですか?」と、聞かれることがあります。
私もダンスを始めた頃、同じ疑問を持っていました。なぜなら、その頃までの私は足の指を「グー」のように縮めていたからです。子供の頃、きつくなった靴を我慢して履いていたのが習慣になっていたのかもしれませんが、縮めていると力強く立っていられる感じもしていました。
ですから、習っていた先生が、「指は縮めていない」と知ったときは、かなり衝撃的でした。それからは、自分と足に「縮めなくていいんだよ」と言い聞かせながら生活するようにしました。
そうなのです――――靴の中で足の指は自然にしていて良いのです。もし、あなたも足の指を縮めていましたら、それは必要のない行為ですから「解放」してあげましょう。つまり、習慣になっていることを「やめる訓練」です。その訓練には、この呪文が効果的です。
「足の指はウニのトゲ」(笑)
この呪文を唱えながら、足の指がウニのトゲのように動くイメージをしていると、案外、無理なく解放されてきます。一度、「力いっぱいグー」にしてから「力を抜く」のも効果的と思います。
あるとき、レッスンで一人の男性に、「もしかして、靴の中で足の指を縮めてる?」と聞くと、彼は、「そんなことないと思うけど……」と躊躇した返事をしました。
でも、すぐに――――「もしかすると、少し縮めてるかも……」と。
そこで私たちは、サークル員に向かってトウにまつわる話をいろいろしました。ここでは、その中から最重要ポイントだけ紹介します。
-
- 指はパーッと開く必要はないけれど、ほわっと伸ばしておく。
- トウに縮めるような力が入っていると、バランスを崩す。
- トウとは、足の指のことで、足の指の先っぽではない。
すると、どうでしょう! サークル員たちの踊りが、安定した大きな踊りに「ガラッ」と変わりました。「ガラッ」とです! そこで、勢いづいて、
「両足の指を“ヒー、フー、ミー、ヨー”と数えると、全部で10本あるので、それで英語では“トウ”と言います」
と、いつものように、くだらない話も忘れませんでした。心温かなサークル員たちは、一瞬笑って付き合ってくれましたが、すぐにスルーしていました(汗)。もう、慣れっこなのです(笑)。
何はともあれ、トウの意識を変えるだけで上手になります。これも「知識の力」です。ぜひフロアの上でも、家の中でも試してみてください。
ガラッ!!
お母さん、ただいま! おなかすいた!!
お腹を空かせて学校から帰ってきた子供が、勢いよく玄関を開けたときのように、そのくらい大きな音を立てて変わるはずです。
自然にしていて良いのです。
ダンスでは指は縮めないのが良いのです。
(「第1章 体に関する11の話(第1話)靴の中の足の指」おわり)
ハッピー・ダンシング!