拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」の続編として、「読むだけでダンスが上手くなれば儲けもの」、そんな話を書いていこうと思います。当然、サークルレベルの話です。
魔法の言葉 Part 2
MA69 更にうまくなる20の話
(その6) リードは「足先」へ
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サークルには色んなレベルの人が混在しており、「踊りやすい人」もいれば「そうでもない人」がいますが、それは飽くまでもあなたが「相手」を判断する話。もし、あなたが相手の立場で踊るとしたら、あなたは「踊りやすい人」でいられる自信はありますか?
■相手のことを知りましょう
そこで、男女を入れ替えて踊る機会を作りましょう。
男性が女性の、女性が男性を踊るのです。これをすると、途端に「ステップが分からない」という話が出てくるでしょう。それ以前の話として、「組み方はどうするの?」の話が出てくるかも知れません。
それを何とか克服して動き始めると、次に、そこら中に
「どうリードするのか分からない」
「どうフォローするのか分からない」
の言葉が溢れ返ることでしょう。
こうして相手の役割の難しさが分かると、安易に誰かを「踊りにくい」と言ったりできない気がしませんか? 相手がどれだけ踊りにくても、問題は常に自分にあると思うのが自分が上手になる近道です。
■リードは「足先」に
リード&フォローは実に奥深い話です。その上、一人一人のレベルも違えば、理解力も違うので、説明が難しいです。ですから、これからお話しする説明も、通じる人と通じない人が出てくると思いますが、私がお勧めする男性のリードの考え方は、
「女性の足先に向けてリードしようと思う」
―― です。理由は単純です。女性が足を使ってくれなければ、動いて行かれないからです。
■なぜ「足先」に?
皆さんにも、スーパーでピックアップしたカートがきちんと動かなくて、選びなおした経験があるのではないでしょうか?
ハンドルバーを握ってい動かすだけで、カートの車輪にゴミが絡まっているとか、車輪が緩んいるなどと感じ取ることができるのは、ハンドルバーを通して床に接している車輪の動きを感知しているからです。そこで、私たちの「カートを押す」行為は「車輪」に向けて行われていると考えることが出来ます。
そうだとすると、男性はスタンダードで組んでいても、ラテンの片手ホールドしていても、そのホールドを通して、自分の「リードというエネルギーを、女性の体内を通して次にステップする足先に向けて流す」とイメージすることで、より的確なリードになるのではないでしょうか。男性の皆さんは是非やってみて下さい。
■フォローも「足先」に
一方、フォローする女性も、男性から来るリードは、「ホールドを通り、体内を通り抜け、自分の足先に流れてくる」とイメージしながら踊ってみてください。リードの上手な人もいれば、あまり上手じゃない人もいますが、それでも、「この人のリードは自分の上半身ではなく、足先を動かそうとしている」とイメージしていると、かなりスムーズに、かつ、美しく動けることでしょう。
■リード&フォローはコミュニケーション(会話)
前回の記事に「リード&フォローはコミュニケーション(会話)」の一文がありました。コミュニケーションですから、お互いに会話を発しなければ成り立ちません。そこで例えば、こんな会話のキャッチボールをしましょう。
男性:次のステップはこの方向に、このスピードで、この歩幅でお願いします。
女性:分かりました。これでいいですか?
男性:ありがとう、完璧です! 今度はこんな感じで踊りたいです。
女性:こんな感じですか?
男性:少し違いました。リードがまずかったんですね。では、このリードでどうでしょう?
女性:良く分かりました。次に動く準備も出来ていますよ。
こうした無言の会話の練習は相手に言わなくても、自分だけでそう思って練習することができますので、人知れず上達する楽しみもあります。
ハッピー・ダンシング!