G068 呼吸するだけでうまくなる

投稿者: | 2020年10月20日

ダンスで「ナチュラルな踊り」とは何でしょう? 「ナチュラル」が分かりにくいときは「ナチュラルでないもの」を考えてみるのも一案です。

 

◇ ◇ ◇

 

■ナチュラルを探そう

「ナチュラルでないもの…、ナチュラルでないもの…」と探していくと、「なんとなくロボットみたいだった」と、かつての自分の踊りを思い出したり、パーティーで見た人の踊りが「固まって見えた」ことを思い出したりしませんか?

 

「ロボット」、「固まっている」
このふたつに共通するのは、呼吸を「していない」ことです。

 

踊りの形が崩れるからと息を止めて踊ったり、次の動きを追いかけるのに真剣になり過ぎて呼吸を忘れたりすると、動きが固まって見えます。ダンスは「素潜り選手権」ではありませんから、息を長く止めて頑張っても意味がありません。それどころか、踊りが死んでしまいます。

 

でも、これを逆から考えると光が見えてきます! 今まで通りの踊りでも呼吸を意識するだけで、より「ナチュラルな」踊りに変化することを意味しているわけですから! 

 

 

■最初の実験!

では、実際に「呼吸を止めるとどう見えるか」の実験をしましょう。

① 一組のカップルにお願いします。選ばれたカップルは二人だけで、「息を止めて踊る」か「意識的に呼吸をして踊る」かを相談し、みんなに内緒にします。

② 次に、踊ってもらいます。

③ 見ている人たちは、二人の踊りから、「呼吸はどうしていたと思うか」を発表し合います。

 

面白いことに、見ていた人全員が正解することでしょう。そして、そうした観察力がついてくると、ダンスに対する取り組み方も、見方も変わってきます。

 

スイング・ダンスではライズをしながら息を吸い、ロアーしながら息を吐くとナチュラルな動きに結び付きますから、是非やってみてください。総てのライズで息を吸い、総てのロアーで息を吐く必要はありませんが、「要所要所で」と思ってください。

 

サークルで教えていても、

「ここがうまくできません…」
と言ってきた人に

「息をしてごらん」
とアドバイスをすると

「あっ、できました!」
ということが、頻繁にあります。

 

 

■もう一つの実験!

先の実験と似たようなものですが、これでも面白いことが分かります。

例えば、一つのアクションを次の二通りで踊ってみます。アクションに使う動きは、タンゴのクローズド・プロムナードでも良いし、ルンバのオープン・ヒップ・ツイストでも何でも構いません。

① 息を止めた所から行う。
② 息を吐いてから行う。

 

実験してみると、②の方が楽に動け、かつ、ナチュラルな感じであることが確認できます。必要に応じ、別の「呼吸」のパターンでも実験してみてください。

 

以上、私たちがサークルで使っている実験を紹介しました。

 

 

■ビクター&アナスタシアのアドバイス

世界のトップ・ダンサーは呼吸の問題をどう捉えているのでしょう? ビクター&アナスタシアは、ダンスビュー誌の中で、次のようなヒントを読者に語っていました。

 

呼吸は体が自然に行なっていることですが、踊っているときにそれを忘れてしまうことがあります。足と脚部が行なうロアーのアクションでは口から息を吐き、足と脚部が行なうライズのアクションでは口から息を吸いましょう。そうすることで、より大きくダイナミックなボディの動きが起こり、あなたの心は、よりリラックスできることでしょう。

 

単に呼吸を意識するというより、更に踏み込んで、「口から」と明確な表現を使っています。

確かに…。思い起こせば世界のトップ・ダンサーはそのように踊っています。

 

呼吸は大切ですから、日常生活の中でも時々呼吸を意識する時間と見つけると良いと思います。

 

ハッピー・ダンシング!