ホールドがうまくいかず悩んでいます。「大きなボールを抱えるようなイメージで」と言われますが、なかなかできません。(埼玉県 女性)
今まで個人的に、あるいはダンスファン誌を通じて多くの質問を頂きました。中にはとても初級レベルのものもありましたが、初心者にしてみると切実な疑問や質問に違いありません。そこで、頂いた質問のレベルで選別することなく記録に残します。お役に立てばうれしいです。なお、回答には現時点の考えに書き直していることもあります。
「質問50 ホールドのきつい男性と踊るときは?」にも少し書きましたが、私も自分のホールドについて悩み続け、考え続けてる状況なので偉そうに回答はできませんが、お役に立ちそうな話はできるかも知れません。お喋りにおつきあください。
■ホールドはハグなり!
スタンダードのホールドで個人的に信じているのは、「ハグするようにホールドする」です。
恋人同士がそっと抱き合う形を想像してください。あるいは、その場でカップルでハグしてみましょう。そこから、一人がわざとらしく左を向いたり、ハグしたくない気持ちになってみましょう。するとどうでしょう。それが相手に伝わるのが分かります。
ですから、男性も女性もハグしている気持ちの延長でホールドするのが美しいと考えています。この一体感が大切で、「ワンピース」の「とてもいい感じ」の「いいバランス」の踊りができあがります。これが競技会に向いているかどうかは分かりませんが、サークルで踊っているのなら、プロのようにストロング・ボディを目指さなくてもいいじゃないかと思います。
こんな持論をサークルで説いていますが、あるとき外国の著名なコーチが「ホールドはハグなり」と話していました! 「やった! 僕ってバカじゃない!」と喜んだのですが、誰が話したかさっぱり思い出せないのですから、バカじゃないけど賢くもありませんでした…。
■「大きなボールを抱える」と同じアドバイス
あるときサークルで、
「確かマーカスさんがレクチャーで、『ホールドは太っちょ母さんと踊る気持ちで』って話していたよ」
と話した途端、全員の踊りが変わりました。特に男性が! 我ながらその効果に驚いたので、探すと「Happy Training Italy 2008」の中にありましたので、その部分を切り出しました。
(出典:Happy Training Italy 2008 / Studio Himawari)
実はこのアドバイスの前に、マーカスさんはこうも話しています―――
「何年も前のことだけど、ベニー(トルマイヤー)が私に、『あたかも、すごく太った母親と踊っていると思いなさい』と話してくれました」
と(この部分はDVDの長さの関係で割愛されています)。
かつて日本にもよく来ていたベニー・トルマイヤー氏の教えがマーカスのアドバイスとなり、それがサークル員に伝わって上達する…ちょっと感動的です。この日のマーカスさんは、ちょっと調子が悪かったようですが、彼のユーモアは健在でした。大好きです!
訂正1.実はこのビデオの日本語は私が訳して吹き込んでいるのですが、最初の方でどうしたのか、太っちょ「ばあさん」と言ってしまっています! 「母さん」として聴いてください(汗)。
訂正2.かたつむりの説明の所で「後ろに汁っぽい『足』を残します」と話していますが、「汁っぽい『跡』を」の間違いです(汗)!
やばい、やばい。早いとこ話を戻しますが、マーカスさんが説明するのですから、「太っちょな人」や「大きなボール」をイメージすると、ホールドが良くなりリードもフォローもしやすくなることは間違いないようです。
■再び持論
ホールドが良くなれば踊りも良くなりますし、逆に、踊りが良くなればより良いホールドが必要になる、という風に、ホールドはその人の力量によって違うと私は考えています。ですから、「今のホールド」や「そのホールド」は変化の過程にあると捉えることにしています。
「太っちょ母さん」をイメージしても「太っちょ母さん」にしがみついていては意味がありませんし、「大きなボールを抱えるイメージ」をしても、ボールを持ち上げ、ひっくり返る形では元も子もありません。
「しがみついているかも知れない」「ひっくり返っているかも知れない」、そうした懸念が湧いたときは、人の形をした大きな風船をイメージしてはどうでしょう。そして、踊りの間中、風船人形の両足が床の上にあり続けることを考えるのです。
この方法だと、自分がバランスを崩すと風船人形の足は床から離れてしまうので、自分のバランスを確保しながら踊る練習になります。バランスよく動けるようになると、ホールドは後から必ず付いてくると思います。バランスよく動けるようになるにはシャドーもお勧めします。
一緒に頑張りましょう!
ハッピー・ダンシング!