ワルツやスロー・フォックススロットにもあるウィーブ・フロム・PPの男性6歩目の「横少し前」の表記に疑問が湧きました。
●5歩目は後退して左回転を始め、「5~6の間で1/4回転、体の回転は少なく」とありますが、実際には、5歩目右足Tが回転する間もなく逆ハの字のように左足を置きますよね。そうすると、支え足の右足に対しての左足の位置の表記が「横少し前」になるのでしょうか、それとも、単純に右足の仮想線に対する左足が「横少し前」なのでしょうか?
●とある場所で、参加者から上の質問を受けた先生は「(ウィーブ・フロム・PP5歩目)右足の回転はありません」と言い切られました。そうなると、男性の右足先は、中央斜めに向いたままになるのでしょうか? (大阪 女性)
今まで個人的に、あるいはダンスファン誌を通じて多くの質問を頂きました。中にはとても初級レベルのものもありましたが、初心者にしてみると切実な疑問や質問に違いありません。そこで、頂いた質問のレベルで選別することなく記録に残します。お役に立てばうれしいです。なお、回答には現時点の考えに書き直していることもあります。
元の質問を整理して書き直し、質問のポイントを太字で表示しています。
❶「横少し前」とは?
●ウィーブ・フロム・PPの男性足型図を見てみましょう。先行のウィスクの足型図も入っています。(拙書「足型図でうまくなるダンス」より)
●5歩目に仮想線(青)を引くと6歩目はその仮想線より少し前になっているのが分かります。これが「横少し前」、即ち、あなたの言われた「右足の仮想線に対する左足が横少し前」となります。
当然ながらこの「横少し前」の位置は、踊り手によって多少の違いが出てきます。
❷仮想線
青で描いた仮想線はLODです。一般的にLODは部屋の壁に沿った4つの方向と思われていますが、実はそれだけではなく、ステップするたびに、その足先に壁と並行するLODがあると見なします。
その足を少しずらすと、そこにも別のLODがあると見なします。従って、LODは部屋の壁に沿って無数に存在します。
❸右足の回転はない
男性5歩目右足の回転はありません(上の足型図も回転をしていません)。
●回転しないので、あなたの「右足Tが回転する間もなく」は正しい表現ではなくなります。
なぜ回転がないのでしょう。
私の考えは「内回りしているから」です。内回りでは3/8回転位までは体の捌きで対応できるので、足の回転はしません。
そこで男性が(ワルツの)ウィーブ・フロム・PPの5歩目ですることは、前進する女性が5歩目左足をまっすぐステップできるようにリードしながら、中央斜めに背面しながら、5歩目右足を少し捌くようにして後退します。
ワルツの女性のナチュラル・ターン1歩目左足も体を捌いて置くだけです。
●トウの上での回転は、むしろ避けなければなりません。トウで回転するとボディの回転も起き、次の6歩目左足とおへそが同じ向きになりやすくなります。
そうすると、後続フィガーの1歩目で男性が女性のアウトサイドに出るとき、壁斜めの進行方向から外れやすくなります。
●右足の回転はせず、6歩目を「横少し前」にステップすることで後続フィガーの1歩目でアウトサイドに出てくスペースを確保します。
同時に体の回転量を少なくする「ボディ・ターン・レス」することで、次のアウトサイドのステップにサイド・リード(ショルダー・リード)を使って壁斜めに進んでいくことができます。
「ボディ・ターン・レス」を使わないで次のステップに出ると、二人のボディ・ポジションが大きくずれ、計画していた次の進行方向を得られなくなると思います。
●5歩目トウで回転をしている人は、もしかすると女性の5歩目トウの延長線上か、その内側にステップしているのではないでしょうか? その位置にステップすると、体を捌くためにトウで回転しなければならなくなります。しかし、それだと二人のボディ・ポジションがずれてしまうのではないかと思います。
❹男性の右足先は、中央斜めに向いたまま?
ご質問の最後に「そうなると、男性の右足先は、中央斜めに向いたままになるのでしょうか?」とありますが、男性の右足ヒールの向いている方向はほぼ中央斜めです。6歩目をステップした時も(5歩目右足の回転はありませんので)同じ向きのままで、男性は壁と壁斜めの間に面する感じです(ボディ・ターン・レス)。
❺しかし…
基本の踊り方は以上のようになりますが、多くの人たちと踊るフロアの上では、クラッシュを避けるため臨機応変に回転量を調整する必要が生じますが、次のフィガーでも回転量の調節が必要になります。
テキストでは、そうした幾多の変化に対して書き記すことは不可能ですから、一つのフィガーの説明は、適切なフィガーに続けられる形で終わるようにしています。
「壁斜めに始める/終わる」、「中央斜めに始める/終わる」というアラインメントの取り方は、もっとも美しく無駄のない動きに繋がっているのだと思います。
ハッピー・ダンシング!