質問30 アラインメントとダイレクションの違いは?

投稿者: | 2020年5月23日

質問:アラインメントとダイレクションの違いを教えて下さい。(埼玉 女性)

ややこしく感じる気持が良く分かります。そこで、私も考えを整理しながらお伝えしましょう。最初にお断りですが、「アラインメント(Alignment)」は「アライメント」、また、「ダイレクション(Direction)」は「ディレクション」とも言います。

 

 

1.アラインメントとは?

 

❶部屋に対する足の向き

アラインメントとは踊る人の足(片足、あるいは、両足)の、部屋に対して向いている方向を示す用語で、次の3種類があります。

 

  • 面して/フェイシング(Facing):前進する方向にトウと体が向いているときに使います。例:ワルツのナチュラル・ターン、女性の4歩目は「LODに面して」と表現します。

 

  • 背面して/バッキング(Backing):後退する方向にヒールと背中が向いているときに使います。例:ワルツのナチュラル・ターン、男性の4歩は、男性は「LODに背面して」と表現します。

 

  • 向けて/ポイントして/ポインティング(Pointing):進行する方向に対し、足と体の向きが違う場合に足の向きを示す場合に使います。この場合、体の向きは別途説明が加わります。例:ワルツのオープン・テレマーク、男性の3歩目の足は「壁斜めにポイントして」で、ボディは「壁に面して」と表現します。両方ともアラインメントになります。

 

 

❷LODに対する進行方向

ボールルーム・ダンスでは下図のように、8つの進行方向があります。アラインメントを表現する場合、この8つの進行方向と、上記の3つを組み合わせて表現します(既に上にも書いていますが)。この8つの方向は、同時にダイレクションでもありますが、それについては下で説明します。

 

(図1)

1.LOD(Line of Dance)

2.壁斜め/ダイアゴナリー・トゥ・ウォール(Diagonally to Wall)

3.壁/ウォール(Wall)

4.逆壁斜め/ダイアゴナリー・トゥ・ウォール・アゲインスト・LOD(Diagonally to Wall against LOD)

5.逆LOD/アゲインスト・LOD(Against LOD)

6.逆中央斜め/ダイアゴナリー・トゥ・センター・アゲインスト・LOD(Diagonally to Center against LOD)

7.中央/センター(Center/Centre)

8.中央斜め/ダイアゴナリー・トゥ・センター(Diagonally to Center)

 

例えば、「ワルツのナチュラル・スピン・ターンをコーナーで踊るとき、男性の始めと終わりのアラインメントは?」の質問を受けたとします(踊り方は図2のようになります)。この場合、「壁斜め面して始め、新LOD中央斜め背面して終わる」と答えることができます。

 

同様の質問を女性の場合で聞かれた場合、「壁斜め背面して始め、新LOD中央斜め面して終わる」と答えることができます。

 

(図2.ナチュラル・スピン・ターン1~6とリバース・ターンの4~6)

 

太字で示した、「壁斜め」、「面して」、「新LOD」、「中央斜め」、「背面して」などは総てアラインメントで、足の向きであり、体の向きであり、進行方向でもあります。

 

ワルツ、クイックステップ、スロー・フォックストロットでは、足の向き、体の向き、進行方向は同じなので(例外はあります)テキストには「アラインメント」と表示されています。

 

 

2.ダイレクションとは?

ところが、タンゴではその踊りの特性から、進行方向と足の向きが違うことがあります。例えば、ナチュラル・プロムナード・ターンの女性の1歩目右足の説明では、「LODに沿って、中央斜めに向けて」と、二つの異なる方向が示されていますが、タンゴの場合、「部屋に対する足の向きをアラインメント」、「部屋に対する足の進む方向をダイレクション」と分けて表記されることになります。

 

  • 参考までにISTDのテキストのタンゴの説明では「アラインメント又はダイレクション」の項目になっていますが、IDTAのテキストでは「ディレクション又はアラインメント」と逆になっています。面白いですね。

 

いずれにしても、そのステップの説明から、どれがアラインメントでどれがダイレクションかを明確に知るには、「部屋に対する足の向きはアラインメント」、「部屋に対する足の進む方向はダイレクション」と理解します。

 

以上が、私が理解するアラインメントとダイレクションです。ちょっとややこしい感じがしますが、テキストを開いて1歩1歩勉強すると分かってくると思います。

 

ハッピー・ダンシング!