G057 昭和の本が紹介するルンバ

投稿者: | 2020年5月18日

「社交ダンスの踊り方」(玉置真吾著/大泉書店/弐百円)。昭和33年(1958年)発行のダンスの本がどのようにルンバを紹介していたかが興味深く、記録として残しておこうと思います。

 

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ルムバ THE RUMBA

 

ルムバはアメリカの東南端フロリダ半島の東南にある西印度諸島最大の島キューバに始まったダンスであります。キューバは面積においてはわが国の本州の半分よりすこし大きく、北海道と九州を合したよりすこし小さい島で、人口は北海道より二割多いのです。この島はもとスペイン領でしたが今は独立国になり、煙草と砂糖を産し、砂糖の産額は世界第一であります。スペイン人がここに殖民したとき原住のインディヤンは原始的な煙草の作り方をしていましたが、アフリカから黒人を連れて来て労作に従事せしめたのと、近年アメリカの技術をとり入れて大いに生産を増加しました。

 

この国の代表的なダンスはルムバです。このルムバはもとアフリカから連れてこられた黒人が手造りの楽器の伴奏で踊ったのがもとになり、ピアノ、ヴァイオリン、管楽器などはあとから追加されたものなのです。

A ギーロス のGuiroの ヘチマのような長い瓜の乾いた殻の片側にギザギザを横に沢山つけ、鋼線で磨いてガシャガシャとリズムをとるもの

B ボンゴス Bongos 大きさも音の高さも違う二つの小太鼓を並べて股の間にはさみ両手の指で打ってリズムを出す

C ティムバル Timbal  長い木の胴の片側に獣皮を張り床に立てて手で打つ低音の太鼓

D マラカス Maracas ココナットの果を乾かし、木の柄をつけて、乾いた種、 小石又はビーズなどを中に入れ、 二個を両手で振って規則正しいリズムをとる

E クラヴェス Claves 堅い木を削った丸い二本の拍子木で、両手に持ち打ち合せて、他の打楽器と、反対のリズムを打つ

 

これらのものは楽器というよりはむしろ“鳴り物”であり、ここにキューバ黒人のアフリカ大陸に対する郷愁の現われと、彼等が近代楽器というものを奏する技術のないままに、このようなものを鳴らしてリズムを打ちながら踊ったダンスであるということであります。この野性が、グランド・ピアノや電子楽器を鳴らす近代的都会人に愛せられる原因になっています。

 

この島の人口は西印度諸島の半分に近く、土地の面積も半分に近い上に、アメリカに最も近く、その上白人が六割を占め、万事他の島よりよい条件にあるために、この列島のすべてのダンスがここに集って来ます。ですから通常私どもがルムバとして取扱っている曲の中には、この本を書くとき大流行であった「カリプソ」Calypsoを始めとし、ソン Son ボレーロ Bolero  ベギーネ Beguien  ガラーチャ Guarach ダンソン Danson などもすこしの例外を除いてはルムバとして外国に紹介されました。

(中略)

 

ルムバの音楽は 2/2に奏します。そして前の図で示しましたクラベス (拍子木) は不規則なリズムを打つけれども、練習するときは全体の音を聞いて二つにとり、 一小節を“一と二と”とります。 ルムバはもとキューバに住む黒人の始めたダンスですから、彼らが跣足で砂地を歩く要領よろしく、 まず趾球で床を踏み、それから平足になります。いま一つこのダンスのフットワークの特殊なところは、クイックステップなどのようにQQと速い足が二つ続くときも、両足とも趾球にライズしないで、 片足が平足、片足は趾球になっていることです。まず両足を二〇センチほど開いて立ちます。 右足に体重をかけ、右膝を伸ばし、

1 左膝を曲げ、左踵を上げたまま体重を半分左足にかける

& 左足を平にし、左膝を伸ばし、体重を左足にかけ、右踵を上げ、右膝を曲げる

2  右膝を曲げ、右踵を上げたまま体重を半分右足にかける

&  右足を平にし、右膝を伸ばし、体重を右足にかけ、左踵を上げ、左膝を曲げる

更に1&2&をくりかえし、練習し音楽に合うまで練習します。

 

(原文のまま)

(「社交ダンスの踊り方」(玉置真吉著)より)


 

こうした古い本を開く度(数冊しか持っていませんが)、著者の溢れるばかりの情熱が感じられます。同時に、幅広い知識に驚くばかりです。どこからどのようにして情報を集めたのでしょう? それを翻訳する凄さにも、驚くばかりです!

跣足」は「はだし・すあし・せんそく」

 

ハッピー・ダンシング!