#027 私の好きなレクチャー12 ”Latin American Dances” by Donnie Burns

投稿者: | 2020年4月20日

2008年に行われたイタリアのキャンプ(Happy Training Italy)からドニー・バーンズ(Donnie Burns)のレクチャーです。個人的なスタイルと非個人的なスタイルというテーマを基軸に、優勝できる人とできない人の差はどこにあるのか、踊りに不可欠な要素は何かを説明しながら、ドニーのダンス観を呈示する素晴らしいレクチャー。ゲイナーとのルンバに観衆も総立ち!

 

”Latin American Dances”
by Donnie Burns, from 2008 HAPPY TRAINING ITALY

※YouTubeは限定公開にしてありますので、ここだけでご覧ください。
*This video is ‘limited release‘ for this blog.
出典:HAPPY TRAINING ITALY ISCHIA-CAPRI OPEN 2008 / スタジオひまわり制作
翻訳/アフレコ:神元誠

 

 

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”Latin American Dances”
by Donnie Burns
from 2008 HAPPY TRAINING ITALY
(テキスト)

 

個人的なスタイルと非個人的なスタイル

個人的なスタイルと非個人的なスタイル,何がそうで,何がそうでないかという事を考えていました。理由は、皆さんがブラックプールに行くでしょうが、ひと組しか優勝できないということです。そこには勝てる理由があり、また、勝てない理由もあります。もしあなたが優勝なら、なぜ他の人は勝てなかったのか、という。

 

原因は様々な要因から起こってきます。では、非個人的なものからスタートしましょう。私はこのレクチャーで自分達の話をしたいと思っている訳ではありません。レッスンではなくレクチャーですから、私達の事になります。

 

今回は二人にお願いしています。始めにチャチャについて考えてみましょう。チャチャは非個人的なものです。特性という点では個人的で、アフロ・キューバン・アメリカンからきています。つまり、踊りに組み込まれたある種の特性がある訳です。

 

例えばバソ・ドブレにはスパニッシュ・ダンスやフラメンコなどの、思い浮かべる特徴があるように、ダンスにはそれぞれの特徴があります。ところが、それを個性と間違えることがあります。特徴は特徴であり、不変で、非個人的なものです。パソはパソなのです。しばしば、天才が現れては主題を変えることがあったりもしますが、車輪は車輪のままに。つまり、踊りの特徴まで変えている訳ではありません。

 

チャチャそれ独自は非個人的なものです。ルカのチャチャとか私のチャチャではなく、チャチャはチャチャ。音楽も同じで、スピーカーから流れてくる音楽は誰の耳にも同じ。競技会ではそれに合わせて踊っている訳です。準決勝でサンバの曲が流れる。それは個別的なものではなく、誰の耳にも飛び込んでくる同じ音楽です。それを異なる形に解釈すると個人的なものになり、一人一人の解釈が違おうとも、音楽そのものは完全に非個人的なものであることに変わりありません。そういう観点において、全員平等です。ですね。同じホールで同じ音楽を聴きながら、同じジャッジのもとに踊っている訳です。背番号をつけて。

 

以前,ソニー・ビニックに、「なんて審査は難しいんだ」と話すと、彼曰く、「そんなことない。ほら全員違う番号をつけているじゃないか」と。そんな具合に、ダンス、音楽、ホール、フロアー、音楽のスピード、なんであれ皆同じ条件にあります。その点では誰も勝たないし誰も負けない。皆同じです。一人一人が違う事を除けば。

 

スタートの時点ではまだ審査の対象ではありませんから、私たちは異なるコミュニケーションを用いようとします。異なる化学反応や、異なるセールス・ポイントを使います。でも、そのベースとなるものは誰にも同じですね? 例えば4人にフェラーリを与えたとすると、勝つのはきっとチャンピオンでしょう。みんな同じフェラーリでも。

 

同じルーティンを平均的なダンサーに与えると、平均的にしか見えない。ひどいダンサーに与えると、ひどい踊りになるでしょう。しかし才能あるダンサーに与えると、それは素晴らしい踊りになります。同じルーティンなのに。ルーティンは個人的なものではありません。

 

 

みんなが優勝できない理由

皆さんはもうすぐブラックプールに行きますね。では、ここにいる私が、皆さんのために何かできる事はないでしょうか。ブライアン・ワトソンを殺せという話でもなければ、やはりダンスのことになってしまいます。ビデオに撮られているのに、あまり良い話でなくてすみませんが。ルンバを見る限り、誰もルンバで優勝できないでしょう。誰も。誰一人、ルンバは勝てないでしょう。

Why? 簡単です。フェラーリの話をしましたが、車に最も必要なものは何ですか? 車輪。車体、アクセル、エンジン、これで車は動くことができます。それから先は総て個人的なことです。BMWには沢山のコンピュータが。フェラーリにはすごいエンジンがついていて、女性が寄ってきます。でも絶対必要なものと言えば、車輪とアクセル、ボディ、そしてエンジン。そうしたら、ゴーです。

 

キューバン・ルンバに不可欠なものといえば — その前に、競技会に出場しましょう。そこまでに間違いをしている人も沢山いますが、今のパートナーと競技会に出ます。まだ分かれていなければ。これで約3割減りますね。そしてキューバン・モーションとウォークをしなくてはなりません。

 

私からすると、みなさんはパートナー解消が早すぎます。どれ程の才能の持ち主であろうと関係ありません。見たことのないような美人で才能あるパートナーで、おまけに母親がシベリアかどこかの大金持ちだとしても、二人で息のあった一つの踊りになるには、最低2年必要です。しかし2年を無駄にはできません。分かれるのが早すぎます。ここにいるみなさんには当てはまらない話ですが。

 

同じパートナーと最低2年は練習を積み重ねて競技会に出場し、その上で、キューバン・モーション、そしてウォークを使わなければいけません。ルンバのウォークスはフェラーリの車輪に相当するからです。

車輪のないフェラーリに座り、女の子の気を引こうとしてエンジンをかけ、思いっきりふかすこともできます。

Umm! ummmm” めちゃくちゃ格好いい、けど車は動きません。

 

 

ジャッジには踊りの特徴が必要

皆さんのとても美しいルンバを見てきました。シンコペーションが沢山使われ、溢れるばかりのエネルギー、素晴らしい足とボディ、でもノー・ウォーク。ウォークスなしで踊りの特徴は表現できません。踊りの特徴なくして、自分が表現したい効果を出すことはできません。

 

ここの形は美しく,ここも、ここも素晴らしい。この辺で美しく足を絡ませる。それからボディを押し出す! でも、あの大事なウォークをしていない。いつまでも待てません。ジャッジでは長くて8秒くらい、多分4秒位かもしれません。たかだか2分弱の間に48組を見る訳ですから、一組あたりは一瞬です。だからあなたが、そこでこんな風にして、彼女がこっちでこんな風にしていると、そのルンバは判断の難しいです。まだルンバを見ていないのだから。じっと見ていても、まだ分からない。

 

皆さんの踊りは、今の所とても素晴らしです。大好きです。本当です。素晴らしいし、踊りも好きです。皆さんを誇りに思いますし、知り合えてうれしいですが、考えの中にちょっとした、コンピューターウィルスが入っている気がします。どこでもエネルギーを一杯使い,走り回って色々やることだと思っているかもしれませんが、それは違います。

 

 

ウォルター・レアードが言っていました。

「カリスマ性をもった500メートル走のゴールド・メダリストはいないよ」と。記録を破ることだけに集中する。そこに個人的なものやメッセージと言うものはありません。もしルンバでウォークを使わなければ、それはルンバではなく、何か他のものです。でも流れている曲はルンバ、それ以外の何物でもない訳ですから、音楽を表現しようとしなければなりません。でなければ、踊りではないのです。

 

マイケル・ジャクソンを聞きに行ってフランク・シナトラの歌を期待しないでしょう。そういうことです。パバロッテイに散髪してもらおうとは思いません。髪を切りたかったらヘアドレッサーの所にいくでしょう。床屋で歌ってもらおうとは思いません。

 

私が古くさいのではありません — 皆さんはそれだと競技会に勝てないと思っているでしょうが、それなら競技とは何なのでしょう。ここにはボールルームのエキスパートがおられますし、私自身、ボールルームのエキスパートのような振りもしたくはありませんのが、ボールルームでも同じではないでしょうか。こんにちのダンスはセンスが悪いと言わざるを得ません。

 

考えるに、今日のダンスで成功する最善の方法は、趣昧の良い中身の、ダンスの特徴を表した踊りをすることではないかと思います。ちょっとしたセンスが欠けているのだと思います。私は、特に保守的な訳ではなく、むしろ冒険したり、ギャンブルするのが好きな方です。無難に踊るより、リスクを冒すタイプですから。私の目にセンスがないと映れば、他の人の目にもそう映ることはまちがいありません。

 

私が一番厳格な訳ではなく、むしろその逆でしょうから。このレクチャーで、そうした考え方を変えたいと思っています。ダンスそのものを変えるのは難しいですから。考えが変わると、あなたたちの踊りとなって変わってゆくことでしょう。まさにそこが私の考えている所、望んでいることです。

 

アランが彼の素晴らしいレクチャーの中で触れていましたが、そこから少し使わせてもらいます。

 

 

ジャイブについて

ジャイブに関して長いこと勘違いしていたこと、話さなかったことを片付けたいと思います。ジャイブって何? アランも話していましたがジャイブは様々なダンスのカクテルです。それぞれのダンスにはそれぞれの価値があります。素晴らしい価値が。

 

リンデイ、ジタバグ、ロックンロール、ブルース、ショートジョージ、サボイ、ひとつひとつがダンスです。サンバはマシーシとサンバのミックスですし、サンバにはサンバ・スクールもサンバ・オーケストラもあります。バッカダはダンスであってステップではありません。バッカダ・スクールも、バッカダ・オーケストラもあります。タンゴと同じように、バッカダだけをしている人たちもいます。

 

タンゴとは生活様式です。バッカダもそうですし、マシーシもそうです。マシーシなどはほとんどの人は知らないと思います。19世紀か18世紀の踊りですから。しかし、マシーシからでたステップは残っているのです。

 

ヒップホップの動きやロボットのような動きを使えば、その踊りの原理を使っていることになります。バレエの動きを使えば、バレエの原理を使うことになります。それであるなら、スイングではジタバグやロックンロールの原理を使えば良いでしょうが、皆さんはそれをしないですね。するかもしれませんね。いや、しないかも — しますよね。

 

問題があります。ウェイトを高く持ち上げ、空中にキックするのが軽やかさと言われても納得できません。軽やかでも美しくもない。硬直しているだけです。どの種のジャイブも音楽がベースになっています。誰がジャイブに詳しいですか? アメリカ人なら知ってますよね。ジャイブはアメリカで生まれたからです。なのにアメリカ人に、俺たちのジャイブのことは放っておいてくれと言えますか? 彼らの踊りなのに。

 

キューバ人に向かって「葉巻の話はするな」と言えますか? 言えません。キューバ人は、葉巻のことを良く知っています。彼らの方が葉巻に詳しいのです。キューバン・モーションはキューバ人の方が詳しいです。私たちは黒人の踊りを踊っているのです。私たちのじゃありません。ブラジル人にサンバを教えません。私は彼らの話を聞くようにします。だから私はアメリカ人に対して、ジャイブやスイングなど彼らの踊りを教えようとはしません。マーカスに英国について教えますか? しませんね。彼の国ですから。

 

 

ハイジと踊る1

では何ができるか、何をすべきかを見て行きましょう。成り行きにまかせながら。アメリカ人のハイジにお願いしましょう。ボディ・リズムについて話しましょう。それはどこからやってくる?やり方は?ハイジが話してくれます。

 

ハイジ:ウェスト・コースト・スイングの起こりは、兵隊さんや水兵さんがサンディエゴに停めてあった船のデッキで開かれたスイングパーティからです。カリフォルニアのサンディエゴですが、その船上で、「みんながイースト・コースト・スイングのリンディ・スタイルで踊り、ぶつかりあっていました。輪になって踊り、キックするステップが沢山あり、動きっ放しだからです。そこでみんなが、もうよそう、と。

もうお互いに蹴り合うのはよそう。丸くなって踊るのはよそう、って。スーペースがないのですから。これからは前後に細長く踊ろう、床から足を離さないで踊ろうと。そして、東西南北の向きに、狭い幅の中で踊ろうと。これがウェスト・コースト・スイングの起こりよ。

 

ドニ―:つまりどういう意味だと思う? つまりこれじゃないってこと。これはしないってこと。フラットに。足はストレートに。前後に細長く。これはシュガー・プッシュと呼ばれるものです。

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女性が男性に近づき、

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これじゃないです。これじゃユーリアのヒップホップみたいだ。ババロッテイのバレエかも。まっすぐに、フラットに。

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こんな風に前後にまっすぐ、広がらないで踊ります。たとえ回転したとしても、またまっすぐに。自分もまっすぐ、まっすぐのラインで。

いったい

<dance>

これはどっから来たんだ?

 

踊りは、特に女性の脚部を美しく見せるようにデザインされているのです。美しく。足、足首、脚部を美しく見せ、美しさを解放させる。

OK?

何をしようと、女性のウォークス。リズミカルに。ボディ・リズム。時にランを入れても。それでもスロットの中で行います。彼女はレディですから、こんなコリオグラフイーを使った時でもレディです。しかもソフトな。これにはしっかりリードとフォローがあり、私がリードして彼女がフォロー。勿論、彼女は私の知る限り、女性のスイング・ダンサーとしては世界一です。女性総ての中で。ある意味、彼女次第の所もあります。では10番をかけてもらえますか? こんなのを見てもらいましょう。単にリズムだけですが、こんなのよりも別の価値があります。

<music>

ルーティンという程のものじゃないけど。ハイジは本当に素晴らしい。セクシーな踊りです。勿論、踊りのスピードを変えると、色々な違いがでてきます。

 

 

ウォルター・レアードの話

いま、ウォリーのことを思い出しましたが、みんな、彼のジャイブは重いと言っていたのです。彼は女性にバック・ロック、リプレイスをさせたかったからですが、そこが重いと言われていました。それで、長いこと彼に教わっていたので、質問してみても良いかなと思ったのです。ちょっとした冒険みたいものでした。ある日、勇気を出してして尋ねてみました。「曲が速いと、これは重くなりませんか」、と。

 

確かあのとき彼は75か76歳だったと思いますが、こう言ったのです。「馬鹿なことを。速い音楽をかけてみな」、と。それでクイックステップくらいの早さの音楽でゲイナと踊ったのですが、76歳の人が、彼女にバック・ロック、リプレイスさせて踊ったジャイブは最高でした。

それで私が、「どうしてみんなは信じないのだろう」と言うと、「私のせいじゃない。馬鹿はどうしようもない」。

 

彼がそう言ったんだ。結局の所、女性がレディの様に見えるかどうかなんだ。ご存知のように、ダンスの世界って時代遅れな世界なのです。僕たちは皆、時代遅れ。現実の世界では女性は平等ですし、解放されています。でもダンスの世界は違います。まさに男性の世界なのです。フェアじゃないですが、そうなのです。

 

もしファイナルにいる男性が120番くらいの女性と組んで、ファイナルに入ってきますが、ファイナルの女性が120番くらいの男性と組むと、やっぱり120番目くらい。これはあまり正しいことじゃない。私の足はズボンで覆われ、誰もみえません。私のかかとは小さいです。でも女性の場合、素足が現れていて、いつでも後退のステップばかり。そうした足で何か間違いをすると、世界中の人に分かってしまいます。男は違うことができます。全く男と来たら!

 

女性にエネルギーを注ぎ込んだり、あるいは、取り出したりといった変化を作ることができます。そして今日のルンバは明らかにスローになっています。ある時、ウォリーが私とゲイナのショーの後でこういったんです — 「サンバはどこか違っていたね」、と。

「なぜ」 — 私が聞くと、「君が世界一のダンサーだとして、ゲイナという世界一のパートナーと踊り、世界一素晴らしい音楽がかかり、世界で一番の先生がいるのに、どうしてそんなに難しそうに踊るんだ? 何かが違うよ」、と。確かに、そう。すごいアドバイスだと思いました。

 

 

ハイジと踊る2

ちょっとみてください。ルーティンがある訳じゃない。特に何ってものではなく、今までのポイントを見てもらいたいだけです。

<music>

私のポイントはこれが正しいとか、あれが間違っているとかではなく、それぞれだと言うこと。スイングにはスイングの原理が使われていると言うこと。プリ工でキューバン・モーションは使いません.そんなことをしたら、病院行きです。私がすることは、女性がよく見えるようにすることです。ハイジは若くて皆が見るので彼女を良く見せたいのです。自分のことは見ないのだから。昔は違いました。そんなことを考えもしませんでしたが、学んだのです。

 

二人でサイド・バイ・サイドらしいことをしませんでしたが、それには特別な理由があります。サイド・バイ・サイドになると、人は本能的に二人を見比べるものです。二人は同じじゃありませんから、どちらかがいつも2番。間違いなく。誰かと横並びで踊ると、優劣がついて見えるものです。間違いありません。ハイジは若くて素敵ですが私は違いますから、彼女とサイド・バイ・サイドになるのは不利です。そうしたことも考慮しましょう。

 

君たちフリックも私の目には、膝の曲げのばしをしながら、上の方にエネルギーを使ってフリックしているように見えますが、その上下運動はいったいどこから来たのだろう? アメリカではない。なぜつて、アメリカ人は膝でぴょこぴょこしない。もしかしたら、カーボーイのショーでやるかも知れないが。でも、ジャイブの人たちもブルースの人たちも、それはやりません。そりゃ、アメリカは他国を占領し、軍隊を送っていろいろ指図はしたが、膝のぴょこぴょこはしていません。それがアメリカ人の踊り方なんです。アメリカは映画で私たちを変な方へ導いたものの、膝をぴょこぴょこはしないのです。

 

 

ゲイナー登場

さて、ジャイブはどんなスピードでも可能です。それは好みの問題です。ゲイナーに質問です。私以外にキックしたい所、キックしたいタイミングはありますか?

“No”

“Why?”

「12歳過ぎてキックしてるのは馬鹿みたいよ」。

 

それじゃ、ここの全員だめじゃないか。それはきつい。11歳までの人はほとんどいないのだから。まあ、それもひとつのヒントだね。さて、どうでしょう。これはロックンロールの動きではありませんが、どんなスピードでも重く見えることなく踊ることはできますね。ボディ・ウェイトとカウンター・ボディ・ウェイトを使えば、どんなことをやろうとも、これやっても、こうやっても、構わないのです。つまり、中身と好みの問題です。ハイジはスイングとバレエの世界からやって来、私たちはラテン・ダンスの世界から。まあ、ゲイナは別世界から来たようなものですが。

 

そこにいて。

見てください。

 

皆さんはハイジがサンバは踊れないと思っているかもしれませんが、二人の比較じゃなくて踊りとしてみた場合、なにができるかな。サンバの曲をお願いします。ちょっとお見せしたいのですが、サンバはリズムを使ったパルスでリードできます。でも、女性がしたくないと思っていることをやらせることはできません。これは人生の真理。

女性がしたくない事をさせる事は無理。できるけれどもしたくないと思っている女性は、できない女性よりもたちが悪い。どうしようもない。けれど、何かさせるように仕向ける事はできます。

<music and dance>

 

これでブラックプールは勝てないけどね。もしかすると大丈夫かも。どれだけ上手にできるかによるね。こんな風にも踊れますよ。実際、アマチュア時代に良くやっていましたけれどね。昔はこれで沢山優勝できましたが、ビデオを見て、何かしらひどく臭いものにみえたのです。こんなことを20代になったらやっていられないと思いました。じゃあ他の方法を探さなくては、ね。

 

優勝し続けつつ、同時に、修正して行ったのです。競技会に出続けながら、同時に、変えていくのはとても大変です。何かを変えようと思っていても、翌週はまた競技会がある訳ですから。君たちはもっとスポーティにやらなくては、とある人に言われたことがあります。ちょっとジレンマに陥りました。どうやってスポーティにするのかって。

「君のポンビッグはまだ足りないね」

「申し訳ないけど、もう2度もオーガズムに達しているから」

「4回はいかなくちゃ。準決に残りたければ、4回は必要だ」

「わ、分かりました」

本当にそうだったのでしょうかね。

 

スポーツとアートの違いを考えると、いつでもとは言いませんが、アートにはメッセージが含まれることがあります。私たちに感動を与えたり、私たちを変えたり、心に触れてきます。スポーツではそれがありません。勿論スポーツ選手にも芸術的な人がいます。フットボール・プレーヤーの口二才・デソールみたいに。彼が扱うボールは、まるで彼の体の一部のようです。スポーツですけれど。一般的にいえば、エンターテイメントのダンサー達は、動き主眼を置いています。それにより、人々を感動与えられればいいのですが。

 

ジャイブ、スイング、サンバの動きについて少し見てきましたので、他にはあまり残されていません。最初にお話ししたルンバで、そのセンスについて話しましょう。ウォークスを入れないと — ありがとう — 大きな問題にぶつかるでしょう。

 

「ゲイナ、君はいったいどのくらい」 — ゲイナは地球の人たちとのやり取りが苦手なんだ。月まで400回くらい往復している人だからね。冗談だと思っている? いやいや、冗談ではない。ルンバ・ウォークは、私たちの世界チャンピオンの基礎になっているものです。はっきり言って。世界チャンピオンになりたかったら、きちんとウォークしなさい。いい家を建てたかったら、ちゃんとレンガを積みなさい。

 

エアコン、着色ガラス、サンルーフ、カーナービ、みんな揃っているのに、タイヤがない。ウォークスができないとは、そういうものです。

 

2曲目を御願いします。実に古い曲で、何度使ったことか。マーカスは、「またか」って言うに違いありありません。この曲で何百万回ショーしているのを見てきているからです。マーカスの方がこのルーティンを知っているに違いありません。

<music>

 

ずいぶん昔のことなので、はっきりは思い出せないのですが、ちょっとやってみましょう。1980年台ですから,私の携帯はとてつもなく大きかったです。こんなに大きくて,アンテナがこうで —

<music & dance>

出典:HAPPY TRAINING ITALY ISCHIA-CAPRI OPEN 2008 / スタジオひまわり制作
翻訳/アフレコ:神元誠

 

◇ ◇ ◇

 

 

DVD編集の関係でここで終わっていますが、実際のレクチャーはもう少し続きました。その中で、「現代風に踊りを変えるのは車のボディを変えるようなもの。でも、車輪(即ち、踊りの特徴)は変えないこと、また、女性の足を美しく見せること」などを話しています。

 

ハッピー・ダンシング!