G044 アウトサイド・チェンジ雑考

投稿者: | 2020年4月17日

アウトサイド・チェンジについて勉強したことを記録しておこうと思います。

 

■原型はバックワード・チェンジ

若い頃に購入したK・アクリル氏の資料(*1)に「アウトサイド・チェンジは、今では廃れたバックワード・パッシング・チェンジの発展形です」と書いてあります。当時はどんなステップかわかりませんでしたが、後年に購入した1938年発行のH・ジェイクス氏の本(*2)が解明してくれました。下図がそれです。男性は3歩後退(女性は3歩前進)してリバース・ターンの4~6を踊ります。

※画像には「From Natural to Reverse Turn」(ナチュラル・ターンからリバース・ターンに)と書いてありますが、リバース・ターン3歩目から続けるバックワード・チェンジもあります。

 

私たちもこれを使ってみようではありませんか! 単に使われなくなっただけで、使っていけないことはないのですから! この本にはフットワークは出ていませんが、「1の終わりでライズし、3の終わりでロアー」の説明がありますから、通常のアウトサイド・チェンジで3歩後退してリバース・ターンの4~6に繋げれば良いわけです。チラッと使えばお洒落だと思いませんか?

 

 

 

■アウトサイド・チェンジは結構新しい!

ジェイクス氏の本には下記フィガーが出ています。

  • ①フォワード・チェンジ(クローズド・チェンジ)2種
  • ②バックワード・チェンジ2種
  • ③ナチュラル・ターン
  • ④ヘジテイション・チェンジ
  • ⑤ナチュラル・スピン・ターン
  • ⑥リバース・ターン
  • ⑦(リバース)コルテ
  • ⑧ダブル・リバース・スピン
  • ⑨アウトサイド・スピン
  • ⑩オープン・テレマークが出ています。

 

A・ムーア氏の古い本(*3)には上記の他に、

  • ⑪オープン・インピタス・ターン
  • ⑫クロス・ヘジテイション
  • ⑬ウィング
  • ⑭ウィスク
  • ⑮ドラッグ・ヘジテイション
  • ⑯バックワード・ロックスが加わっていますが、やはり、アウトサイド・チェンジは出ていません。

 

ダブル・リバース・スピンやアウトサイド・スピンのように複雑なフィガーが古くから考案されているのに、こんなにシンプルなアウトサイド・チェンジがまだ登場していないのです! しかも、ウィングやウィスクの方が古いなんて、ちょっと意外で、同時に楽しくなってきます。

 

 

■壁斜めはお薦めでない?

アクリル氏の本には「先行のナチュラル・ターンを壁斜めに始めるのはよくない。LODに始める方が遥かに良い」とも書いています。実は、ムーア氏の Ballroom Dancing のアウトサイド・チェンジは、その形で足型図が描かれています(下図)。

 

この踊り方も使ってみましょう。もっとも簡単な方法は――

(男性)

  1. コーナー付近で壁斜めにナチュラル・ターンの6歩を踊り、後半の回転量を少なくして新LODに面して終わります。
  2. ナチュラル・ターンの前半を踊り、3/8回転して中央斜めに背面します。
  3. アウトサイド・チェンジを踊ります。

この入り方は普段見かけない分、かえって新鮮に見えることでしょう。

 

◇ ◇ ◇

 

●参考文献
(*1) AN ANALYSIS OF THE MODERN WALTZ TECHNIQUE TO ASSOCIATE LEVEL
(*2) Modern Ballroom Dancing
 (*3) Ballroom Dancing 1951年発行第6版

※この項はダンスファン2017年4月号連載記事を一部変更してお届けしました。

 

ハッピー・ダンシング!