MT43 第9章 パートナリング/⑥見つめ合う/⑦テンポ

投稿者: | 2020年3月21日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

■目次

 

 

MT43 第9章 パートナリング/⑥見つめ合う
Gaze

 

見つめ合うというこの素晴らしい方法が使えない場合のことを、少しの間、想像してみてください。

 

見つめる・見つめ合う動作には顔の色々なところが関わってきますが、主には口、鼻、そして頬骨です。この、口、鼻、頬骨のお陰で、私たちは考えを伝えることができるのです。誰であれ見ている人たちは、私たちがその踊りの中で見つめ合う表情から、何らかのストーリーを読み取ることでしょう。

 

人を見つめるには、実に様々な方法があります。そこで、あなたのパートナーを見つめる方法を決めてみましょう。相手の自分に対する、素晴らしいところを考え、その考えが、あなたの表情を通して言葉となって受け取ってもらえる方法を見つけ出しましょう。自分の目に注意を払ってください。

 

また、自分は相手をきちんと見ているか見ていないか、そうしたところにも注意してください。例えシンプルな考えであっても、同じ結果が付いてきます。相手を見ていなくても、自分を見ているかいないかを感じ取ることができます。踊りと一緒に目も踊りますから、踊っていることに目を関連付けなくてはなりません。あなたの目の使い方は、観客が見ているあなたの体と補完し合っていなければなりません。目と体の他の部分をひとつにしておきましょう。

 

「目は心の鏡である」と、ダビンチは言いました。

 

ダビンチは、「あなたの考えはすべてあなたの目から理解できますよ」、と言いたかったのではないかと思います。目はあなたの体の一部であり、他の人はその目からあなたが心の中で経験していることを読み取ることができるのです。目を閉じると、あなたの心の状態も考えも感知されることはできないのです。

 

目と同じことが口にも言えます。誰でもいいですから、近くにいる人にちょっとだけ微笑んでごらんなさい。状況が素早く、そして大きく変化するのを目にすることでしょう。笑顔は空気感染すると言いますが、私はその通りだと思います。笑顔には抵抗できないじゃないですか。

 

ですから、パートナーに共感することは非常に重要です。笑顔は人間に与えられた素晴らしい贈り物です。しかも、学ばずにできます。にもかかわらず、私たちは時に笑顔のことを忘れてしまいます。ダンサー同士でも、観客とも素晴らしい関係を築く力を与えてくれる感情の源である笑顔のことを忘れてしまいます。

 

私が強く思うことがあります。それは、見つめることが二人のことや二人のダンスを肯定するのに非常に貢献しているということです。二人で何かを行なう場合、その目的のためにお互いに持っているものをすべて自由に使うようにしなければならないと思います。

 

 

エクササイズ

― 鏡に向かい、自分が恥ずかしくなるほどのおかしな顔をしなさい。
― 踊りのどこかでしたい顔をしてみなさい。踊るときは顔から踊り始めなさい。
― ペアになり、喋らない練習をしましょう。すべてを顔だけで行なうのです。そのとき、顔全体が口だとイメージすると良いでしょう。

 

 

 

 

MT43 第9章 パートナリング/⑦テンポ
Tempo

 

テンポと仲良しになりましょう。テンポには音楽から与えられるテンポもありますが、自分の中にある独自のテンポ、加えて、パートナーの持つテンポに気づかなくてはなりません。なぜなら、ダンスではそうした三つのテンポがあるからです。

 

1, あなた自身のテンポ

2, パートナーのテンポ

3, 音楽のテンポ

 

 

最初にそれぞれのテンポを個別に理解した上で、三つを合わせていくようにします。

 

「音楽に合わせて!」という言葉をよく聞きますが、私にはそれが正しいことには思えません。なぜなら、「音楽に合わせて!」というと、音楽が唯一のものとなり、踊り手のあなた自身が二の次で重要性が低くなってしまうからです。

 

先に挙げた3 種類のテンポが大切なのであって、それらを同時に使うところにマジックが宿るのです。その中で、前もって決められているものがひとつあり、それが音楽のテンポです。しかし、幸いなことに私たちやパートナーたちのテンポは事前に決められていません。そこがミソなのです。事前に決まっていないことで絶え間なく続くリスクがあるからこそ、上質のムーブメントにおけるテンポの感覚が絶対的に重要な要因となるのです。

 

 

エクササイズ

― 音楽を使わないでたくさん練習してから音楽を使ってみなさい。そうすると、音楽が特別なものに変わります。

― 振り付けのテンポをいろいろ変えてみなさい。テンポを上げたり落としたりして遊んでみるのです。

― 振り付けをスローモーションで踊ってみなさい。

 

 

こうした側面を意識して使い、使い方が上手くなるに従い、あなたの対人関係のセンスにも磨きがかかり、今まで可能と思わなかった高い評価と尊敬を受けることになるでしょう。

 

人間関係が改善されていくにつれ、あなた自身についても様々な発見をすることでしょう。例えば、自分に対しては良い気持ちを抱いたり、ぴったり合ったジグソーパズルのように、肉体と精神がひとつになる気持ちを味わったりすることでしょう。そうすると、踊りで見せるべきすべてのことが形作られ、見ている人にもそれを感じ取ってもらえるようになるでしょう。

 

競技会や発表会でパートナーを無視しているカップルを何組も見ることがあります(それほど嫌なら、パートナーを変えたらどうでしょう)。そこで私は思ってしまうのです。「かわいそうに。お互いに与えもしなければ受け取りもしない。何と感情を浪費していることか」と。私を信じてください。あなたのダンスにとっても、それを見ている人にとっても、違いをもたらすものがそれだということを。

 

上手に付き合う感覚は、あなたと他の人を直接的に結び付け、人間としての本来のあなたを取り戻してくれるでしょう。

 

人が集まってくることが始まりで
人が一緒にいることで進歩があり
人が一緒に働くことが成功をもたらすのです。
(H. フォード*)

■ ヘンリー・フォード(Henry Ford 1863-1947): アメリカ出身の企業家、自動車会社フォード・モーターの創設者。

 

 

まとめ

1, タッチすること自体に例え感情的なものがないにしても、タッチは、肉体上の様式としてのみならず、実際のフィーリングとして感知されるのです。

2, タッチして、あなたの肌を通して愛情を伝えなさい。

3, 体重はひとつより二つの方がよりパワフルである。

4, あなたは一人で踊っているのではありません。もうひとつの体重があるのですから、その重さを尊重し、それに働きかけて形を変えるようにするのです。

5, 体重は有難いものです。

6, 呼吸…ステップ…これがひとつにならなければなりません。

7, パートナリング…感情を感じ取る手段。

 


(「MT43 第9章 パートナリング」おわり)