MT36 第7章  したいことに集中せよ/ ①練習では

投稿者: | 2020年3月15日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

 

■目次

 

MT36 第7章  したいことに集中せよ/
Focus on What You Want and Not What You Don’t Want

 

 

私たちの肉体は、まさに自らの思考の産物なのだ。今、医学界において、思考と感情の質が、実際に物質的な肉体の構造や機能に対しても影響を及ぼしているということが理解され始めた。
(J. ハガリン博士*)

■ ジョン・ハガリン(John Hagelin 1954-)アメリカ生まれ。超ひも理論を専門とする量子物理学者。

 

無駄にエネルギーを消費することなく早くゴールに到達するには、あなたの考えの焦点をどこに当てるかを考え、それを守り抜くことです。そして、その考えている目的の修正の仕方が大切です。

 

「どうして私は、一貫していられないのか?」

「なぜ私は、何かを始めて別のことで終わってしまうのか?」

「どうして、できないとか能力がないと思ってしまうのか?」

 

あなたは、こうしたことを、どのくらい頻繁に考えてきましたか?  そして、どのくらい自分を納得させる答えを出しましたか?

ある方法によって、私は人生の質を大きく変えることができました。その方法とは、自分が手に入れたいことに自分を集中させることでした。それまでは振り付けの難しいところや、失敗することや、あるいは、そうなって欲しくないことに考えがいったり、更にはそれよりももっと悪い ― 他の人たちがすること ― に考えがいったりしていましたが、その方法を知ったのを境に、試合の結果に集中するようにしたのです。

 

それからというもの、私は決してマイナスの思考に引き戻されることはありませんでした。しかし今、ダンス教師として経験する中で、ダンサーたちが自分たちの向上に集中するよりも、他のカップルと競い合うのを目の当たりにしています。

 

この違いはとても大きいものです。自分は何を望むかということを考えると、可能性が見えてきて、トライしてみよう、行動を起こしてみようと思え、その目標到達に必要なエネルギーもモチベーションも湧いてきます。

 

思いに集中することが大切なのは、考え方が行動の基礎となるからです。どんなところに注意を払おうとも、どんなことに集中しようとも、あなたの振る舞いを決め、行動を起こさせる場所は心なのですから。

 

練習に行く前に、練習することにストレスを感じていたなら、練習に行っても90%の確率でストレスを感じることになるでしょう。しかし、考え方を変えて、練習でどんなことを修得しようかと思うと、あなたのモチベーションは確実にその修得する方向へと働きます。失敗する方向ではありません。ですから、肯定的な目標を設定することが必要なのです。

 

私が練習に行くときは、自分の現在のレベルをチェックし、そのレベルを上げることを目標にしています。

 

有難いことに、あなたの思考の質はあなた自身で選択できることです。他の人たちが勝手に選ぶのではありません。思考はあなたの創造物なのですから、あなたにとって実り多い思考の仕方にすることができますし、また、その方向へ作り変えなくてはなりません。私たちの脳は、私たちが心の中で想像したイメージを読み取り、そのイメージの通りに具象化しようとします。

 

「どんなイメージの自分を創造しよう?」と自分に尋ねなさい。

 

― 調和のとれた踊りをしている自分が想像できますか? それともガタガタの踊り?

― そこに音楽性がありますか、ありませんか?

― 自分の表情はどうだろう?

― 自分のパフォーマンスに、観衆の反応はどうだろう?

― ダンスで自分が本当に表現したいことは何だろう?

― 自分がこうありたい姿に焦点を当てているだろうか、それとも、うまくできないところだろうか?

― パートナーに目を向けているだろうか、それとも、自分にだろうか?

― 自分の全体的なイメージはどんなだろう?

 

私たちは自分の考えの方向付けを継続的に行ない、手に入れたいと思っている方向に行動の舵を取らなければなりません。したくないと思っている方向にではありません。

 

私がカップルたちと話をしていると、特に競技会の後では、自分たちがしてしまった間違いのことばかり聞かされることがあります。うまくできなかったところを逐一取り上げ、破滅的な感じになっていきます。でも、今回はうまくいかなかったとしても、そのことばかりを何日も、何週間も、何か月も考え続けるのではなく、次の競技会の参考にすることができるのです。

 

このことをよく考えると、否定的な面ばかりを考えても何の役にも立たないことが分かります。済んでしまったことはどうしようもありませんが、あなたにできることがあります。いいですか、その経験を自分の向上のために再評価することができるのです。

 

では、競技会がうまくいったときのことを考えてごらんなさい。きっと、数日も経つとそのことは忘れてしまうでしょう。それなのに、思うようにいかなかったときは、何週間も何週間も自分を自己破壊のターゲットにしてしまうのです。そうしたマイナスのイメージを身にまとったまま練習に行き、レッスンを受けに行き、家庭にまで持ち込んでしまうのです。

 

そうした悪習慣は変えなくてはなりません。もっと自分に有益になるように考えを変えなくてはなりませんし、してしまった失敗よりも、何をどうしたいかという方向へ考えを持っていかなくてはなりません。

 

間違いをしても、それを繰り返さないようにしようとする、そう考えるだけのことです。

 

 

 

MT36 第7章  したいことに集中せよ/
①練習では
In Practice

 

「なぜ、自分は練習するのか?」 ― 前述の話は練習においてもまったく同じです。

一般論として私は、それまで頭に描いていたことを体の動きに置き換えることができるという視野に立ち、能力の限界を探すのが練習だと思っています。トレーニングの目的は、誰もが持っている能力を引き出すためにありますし、また、今まで持っていなかったものを手に入れるため、そして、自分にある能力を更に強化するためにあります。私のトレーニングは判断を下すためではなく、感じるために行ないます。自分がベストを出せるよう、そして、トップに立てるように。私のトレーニングは、何かを想像するためにもあります。

 

― 私の練習は、初めに言葉としてあるもの、あるいは、心の中にあるものを体に与えることです。

 

このように、練習の目的に焦点を当てるだけでも、その目的へ到達する可能性が出てくるわけです。そうしなければ、何の目標もなく練習に出かけることが習慣化されてしまいます。そこには主体的な指標がないわけですから、あの人のボディがどうだとかという風に、他の人たちのことに目がいく結果となってしまいます。自分たちのことにではなく。

 

― 自分の体について深く、深く考えるようにしなさい。パートナーのではありません。

 


(「第7章 したいことに集中せよ」つづく)