質問15 スタンダードでホールドしていると腰が痛くなります。立ち方が悪いのか、もしくは背中を反らせすぎ? アドバイスをもらえないでしょうか。(群馬県 女性)
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▼ここに二つの薬があるとしましょう。
- ひとつは「楽に踊れる薬」。
- もうひとつは「苦しく踊る薬」。
あなたはどちらを選びますか? 女性の体を心配する余り、変な質問をしました。
私たちは人生の中で、いつでも二つの中から選択をして生きています。例えば、
①「ダンスをする」か「ダンスをしないか」では、「する」を選択しました。
②「腰が痛くても良い」か「腰は痛くないのが良いか」では、「痛くないのが良い」ですね。
では、
③「苦しくてもシェイプを作って踊りたい」か「苦しくなく踊りたい」では、どちらを選びますか?
「苦しくない」方が良いに決まっています。
それにも拘らず、なぜ苦しいシェイプを作ってしまうのでしょう? それは、「動く(=踊る)」より「シェイプ」が優先されているからではないでしょうか? 踊るとき、最初に教わったシェイプを作り、それを崩さないように踊ろうとするからではないでしょうか?
もしそうだとすると、私たちは教わったシェイプが唯一のものと洗脳されていることになります。そこで、大胆な発言をすると、一度、実験と思って「動く(=踊る)」方を優先して「楽なシェイプ」で踊ってみましょう。動けるようになるとシェイプを考える余裕がでてきます。体を壊すと好きなダンスを失うことにもなります。楽に踊れるバランスを優先しましょう。
▼個人体験をお話しましょう。
かつてサークルで教えていたとき、初心者の若い女性が私たちの所に相談に来たことがあります。スタイルもルックスも抜群だった彼女はプロのパートナーとして誘いをうけ、「どうしたらよいだろう」と相談に来たのです。
いろいろ話を聞いた後の私たちの考えは「勧めない」でした。華やかな競技会に出たい気持ちは良く分かりますが、基本を十分知らないうちにルーティンでバンバン動く練習をすると体を壊すのは目に見えているからです。それから数日後、彼女は「考えた末にプロとしてやってみる」と決心したことを伝えてきました。
それを止めることはできません。それも青春です。
しかし、後年知ったのですが、それから間もなくして腰を痛め、「このままいくと、子供を産めない体になる」と医者から言われ、ダンスを止めたそうです。
苦しい形、無理な形の延長に美しいシェイプはありませんし、この例のように体を壊すことがあります。ですから私たちは、ダンスを「苦行」にして「体を壊す」のが最終地点にならないようにしませんか?
楽しく、骨格に添って楽に動けるバランスを探していくと、その延長に美しいシェイプが生まれてくることを約束します。
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ハッピー・ダンシング!