MT24 第4章 心のあり方 /③内なる描写(後半)

投稿者: | 2020年3月4日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

■目次

 

MT24 第4章 心のあり方 /③内なる描写(後半)
Inner Representations

 

私は自分が主演の映画を制作します。時には、思った通りにならずイメージの変更も必要になることでしょう。当然のことですが、自分が撮影場面の描写に否定的、あるいは、不適切な表現を用いたと思ったら、それは建設的ではないので変更しなくてはなりません。そのようなときこそ変化のプロセスが始まるときなのです。

 

そうしたとき、私は心に描いているイメージに対して問いかけながら、より良いイメージへと徐々に変化させ、撮影場面に最適な形にしていくことでしょう。

 

イメージを変えることで、より良い状況が生まれます。否定的な状況をイメージするのではなく、可能性のある状況をイメージするのです。

 

― そうなりたいと思う自分をイメージしなさい。なりたくない自分をイメージしてはいけません。

― 脳は、あなたが指示したことを行ないます。

― イメージを変えるには五感を使いなさい。

 

 

イメージのクオリティはあなたの心のあり方で決まります。
そして、そのイメージはあなたの態度に影響を与え、
あなたの踊りを変えていくのです。

(M. ジョルジアンニ)

 

 

一般的に競技会は非常に大きな否定的なストレスをもたらします。ストレスの主要部分は、まず、悪い結果になってしまうイメージを創り上げるところから始まります。うまく踊れないとか、あるルーティンで間違ってしまうとか、ジャッジがダメといった表情をしているとか。また、同じ国から出場したカップルが次のラウンドに進み、自分たちは惨敗するところをイメージしたりもします。こうしたことは、否定的な心理状態を自分たちで作り出し、それを自分たちのコントロールの利かない製作者不明の一連の映像と一緒に流してしまう行為と同じなのです。

 

そんな素晴らしい(?)イメージを植え付けられて、私たちの体はどう反応すれば良いのでしょう? そうした場合、例え何度撮り直しをしていたとしても、精神面と肉体面の両面から更なる撮り直しをしなくてはなりません。ですから、自分に起きて欲しいことを言葉に出さなくてはならないのです。

 

自分の内なる代理人をコントロールし、これから自分に起こることをコントロールするのです。あなたの中には大きな世界が広がっており、その世界は強大な権限をもってあなたの行動に大きな影響を与えていますので、その世界を活用するのです。

 

加えていうならば、現状に即した態度を作りだすことによっても、精神上に肯定的な良い影響を与えることができます。それゆえ、その状況に適するよう自分の姿勢を、オープンで、フリーで、卓越した肉体を軸に、ある意味、動物的な体に変えることが重要なのです。

 

自分が望む結果を得るには、ありきたりの形ではなく、なにか突拍子もなく素晴らしい形で思い描くことが成果を得る鍵だと確信しています。ですから、自分をじっと見つめ、どんな風になりたいか、どんな風に変わりたいか、どうすればもっとシャープに踊れるか、そうしたことを考えなくてはなりません。

 

「どんな自分になりたいか?」と自分に問いかけなさい。

 

そうすると、どんな自分になりたいかという映像に向かって、直接的な働きかけが始まります。問いかけをすることで、内なる代理人は、自分を満足させるものを探してくれます。他人を満足させるものではありません。思い描いたイメージに自分が興奮するようなものであれば(もちろん、イメージしたことは、あなたにとって最適のときに起こります)、そうした心の状態があなた自身に力を与え、精神にも肉体にも違いをもたらすのです。

 

今の私は、どうやって心のイメージを変えたら良いかを知っていますが、この原理に気づく前から、心の状態が違いをもたらしていたことを鮮明に思い出すことができます。今は、自分の踊りたいように踊れたときがあったのはなぜか、その理由が分かります。今は、自分が望まないような踊りになってしまったときがあったのはなぜか、その理由にも気づいています。今ははっきりわかります。どうイメージすればどうなるかが。

 

 

  エクササイズ

― あなたのポスチャーは真っすぐにしなさい。

― 胸の中に広く開かれた空間があると感じましょう。

― 目は、生き生きとした、実直に見える目をしていましょう。

― 自分の精神作用について、毎日、勉強しましょう。

― 自分を勇気づけるように話しかけましょう。

― こうなりたいと思う心の状態で踊っているところを視覚化しましょう。

― それぞれの種目のダンスを踊っているところを視覚化しましょう。

 

 

  まとめ

1, テクニック面の準備だけでは十分ではありません。どのような状況下でも、適切な心の状態を維持できるように備えておきなさい。

2, 心のあり方は行動に影響を与え、内なる代理人にも影響を与えます。

3, 私たちの心の中は、肯定的な状態から否定的な状態へ、あるいは、その反対へと揺れ動いています。

4, 心の持ち方ひとつで、力を得ることもあれば、失うこともあります。

5, 肉体のあり方が変わると心の状態も変わります。

6, それと同じように、心のあり方を変えることで肉体と精神の代理人に影響を及ぼすことができます。

7, なりたい自分をイメージしなさい。なりたくない自分ではありません。

8, 脳は、あなたが指令した通りに動きます。

9, 心に描くイメージを変えるには五感を使いなさい。

 

 

 


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