「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。
第2章 ニーズ/⑦トレーニングに必要なこと
EXERCISES: needs as they relate to training
あなたの欲求に応えるレベルを上げていく際、二つのことを考えましょう。それは、方法と習慣です。
・ 方法とは: あなたの行動のあり方を変え、進歩する感覚が感じられるようなものにします。例えば、トレーニングの方法を変えるのです。
練習の目標やテーマを決め、それを変更してはなりません
つまり、事前に「何を練習するか」を決めることで、脳に何をすべきかの方向付けをします。そうしなければ、いつも軌道変更を許してしまい、その結果、なにもかも間違っていると感じてしまうことになるからです。
口調に気を使いましょう
私の考えでは、話すときの口調が最も重要です。正しい口調で話すことで何かを達成することができます。練習中には、決して、自分が怒っているとか自分の方が偉いと受け取られるような口調で話してはいけません。自分だったら人からこう話しかけられたいと思う口調で話をしましょう。
態度に気をつけましょう
間違いを真似したり誇張したりするのはやめましょう。なぜなら、それが相手の脳裏に焼き付いてしまうからです。やって欲しいことをやって見せなさい。やって欲しくないことをやって見せてはいけません。覚えておいてください、あなたの脳の中に最初に宿るイメージが動きとなって現われるのです。そのイメージを頻繁に歪曲していると、それが現実の形となって現われてしまいます。
あなた自身を励まし、希望を与え続けましょう
自分自身ともパートナーとも、「なんでもできる!」という共通の言葉を使える姿勢に馴れるようにしましょう。自分を勇気づけ、励まし続けることが重要です。そうすることで、もっと自由で、リスクを恐れないようになり、新しいムーブメントの発見にも繋がります。
ですから、「すごいね!」、「イエース!」、「ウーン、いいね!」、「ヨーシ、もっと頼むよ!」といった類の積極的な言葉を使いましょう。
ファンタスティックな言葉を使いましょう
ちょっと現実的でないと思うかもしれませんが、試して、習慣になるようにしてください。こうやるのです。
お互いに、「ワンダフル!」、「ファンタスティック!」のような、ものすごく素晴らしい言葉を使い合うのです。すると、言われた方は、「あらら…」と夢心地になりますから。やってみてください。結果はお楽しみに。
共通の地図を作製しましょう
ここでいう地図とは、自分たちが思う自分たちのこと、例えば、自分たちの信念、価値、癖、考え方など、そうしたものを集積したものです。ダンスは二人で踊りますから、そこには、当然二つの異なる地図があることになります。そこで、いちど二人の共通の地図を作ってみると面白いと思います。二人でじっくりと座り、ゲームのルールを作りながら、自分たちが信じるところは何かを確認し合い、そして、そのゲームの価値を決めるのです。そうすることで、二人が共通の目標に向かい、同じ武器を携えて進むことができるようになるのです。
・ 習慣とは: トレーニングのなんたるかです。
失敗も過程のひとつと受け入れなさい
失敗を受け入れずして、どうやって上達できるというのでしょう? 私は数知れない程の失敗をしましたが、それは、いつでも思い切ったことをしてきたからです。何もしないで批判する側に立つより、何かをして失敗するほうがよいのです。
自分たちに集中しなさい。他のカップルにではありません
他のカップルを気にかけるのはエネルギーの無駄というものです。しかも、他のカップルのことはコントロールしようがありません。コントロールできるのは自分のことだけなのです。ちょっとしたことで相手を責めないこと。それも自分の問題と捉えなさい。どんなことも、自分の進歩に必要なことと受け止め、ひとつひとつを目的に近づくための指針と捉えましょう。
子供のようになりましょう
子供だったとき、自分に限界を設けなかったはずです。何に対してもオープンで、あらゆることが発見だったはずです。子供は100%、自分がすることで判断します。恐れもしません。子供は熱心ですし自分の感情を自由に表現します。そして遊ぶのが大好きです。
ダンサーも、もっと真剣に遊びなさい ― 私はそう言いたいのです。
自分を信じ、ユニークな存在になりなさい
この世界の中に、自分という人間はこれまでも、そしてこれからも、たった一人しか存在しないのです。それを考えると、なんと素晴らしいと思いませんか? こんな貴重なチャンスを逃してはいけません! 自分が経験できるあらゆることを考えてごらんなさい。そして、したいこと、しなくてはならないことが実現できたときの感覚を思い浮かべてごらんなさい。
「成功のカギは心から信じること。
そして、真の成功は自分を信じるところから始まる」
(コリン・ターナー*)
■ コリン・ターナー(Colin Terner):1954 年スコットランド生まれ。潜在能力研究の第一人者で、『あなたに奇跡を起こすやさしい100 の方法』、『あなたに奇跡を起こす小さな100 の知恵』など多数を出版するベストセラー作家。
パートナーに対する敬意を忘れてはなりません。もしパートナーを素敵だと思えないなら、パートナーを変えなさい。それができないのであれば、あなたの受け取り方を変えなさい。
不安に思っていることをやりなさい。恐れずに
快適ゾーンから抜け出しなさい。そして自分がやりたいことをやりなさい。もし、自分の中から「できない」という小さな声が聞こえたら、そのときこそ行動を起こすべきなのです。特にその小さな声が、外部の人たちの言葉によって生じていたとしたならば。
自分の中に感じるものを外に取り出すには、まず内なる感覚を受け入れ、
次に、何らかの方法を用いなければなりません。
(M. ジョルジアンニ)
「MT13 第2章 ニーズ/⑦トレーニングに必要なこと」
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