どこかの誰かのダンスに役に立つことを願い、拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」を公開中。今回は最終章「知って得するあんな話こんな話10話」です。
MA60 第6章 知って得するあんな話こんな話10話
(第8話)日本の女性は僕が嫌いなんだ・・・
女性に踊りを申し込んで、もしかするとそれは、その地域特有の文化なのかしらと疑う程に驚かされることがあります。
例えばこんなケースです――――。
❶「お願いします」と差し出す私の左の指を摘まむ女性。まるで食品売り場の光景のようです。私の手は試食品ではありません!
❷私の手を適当にとり、そのまま彼女の想定するスタート地点へ先に行く女性。男性の私、エスコートされちゃっていいの?
❸お誘いしたときから踊っている間も、踊りが終わり、私が「ありがとうございました」と言葉をかけているときも、よそを向いている女性! 誘う側の私は最初から最後まで「嫌われているのかな」、「リードがまずいのかな」と心配し通しで、身が細る思いです!
そこで、私の提案ですが、
❶の場合、女性は差し出された男性の手の上に、自分の指を軽く乗せる感じで置くと、エレガントに見えるのではないでしょうか。また、あなたが立っている場合、男性が「さあ、ホールドしましょう」と言う感じで手を差し出してくることがありますが、そのときは、掌を合わせるように右手を出して、軽くグリップを作りましょう。
❷の場合ですが、もしかするとそう言う女性は、まだ家の中の自分のままなのかもしれません(自分中心に動いている?)。フロアは非日常的なダンスが繰り広げられる場所です。日常から離れてダンサーとしてのレディを演じ、男性にエスコートさせてあげませんか?
❸の場合、恥ずかしさや照れからそうした行動になるのかもしれませんが、自分のことだけを考えるのではなく、男性が嫌な思いをしていることにも考えを巡らしましょう。男性はあなたの執事ではありませんから。
前述のような体験談をある教室でしたところ、そこの先生が、
「そうそう。ビル・アービンも言ってましたよ――――日本の女性はみんな僕が嫌いなんだ――――と、プロのレッスンでね」
と、話されました。
そのアービン氏曰く、
「だって、みんなソッポ向いて組むんだもの・・・」
遥か左を向きながら男性のところに入る女性・・・・・・。
とても奇異でアンナチュラルなこのスタイルは、いったい誰がどこで始めたのでしょう?
なぜそれを真似する必要があるのでしょう?
「手の取り方」や「どこを向いて」などはダンス本やマナーの本には載っていないかもしれません。だとすれば、それはマナー以前のことだからではないでしょうか?
ここまで書いてきて、実に妙案が湧いてきました! これです。
これを読んでくださったあなたが、ナチュラルな組み方ができている、いないに関らず、お友達の二人の女性にアービン氏の話をして、「これから気をつけましょうね」と伝えます。
その二人はそれに同意して、それぞれ別の二人に伝えると、その時点であなたを含め、7人の女性がエレガントに「奥様、お手をどうぞ」よろしく「美しい入り方」ができることになります。
この倍々ゲームを20回も繰り返すと、日本中の女性が全員、ナチュラルな組み方ができ、結果、男性に嫌な思いをさせないダンスができてしまいます!
そうしたら、エレガントな女性のために男性はもっと頑張ることでしょう。そして、元世界チャンピオンから二度と
「日本の女性は僕が嫌いなんだ・・・・・・」
なんて言われなくて済みます。
そんな悲しい冗談は二度と言われたくないですし、言わせないためにも、私たちのレベルから伝言ゲームで撲滅したい気持ちです。
(*2004年にボビーさんが、2008年にビルさんが他界されました)
不自然な組み方をして
怪しまれないようにしましょう。
(「第6章 知って得するあんな話こんな話10話(第8話)日本の女性は僕が嫌いなんだ・・・・・・」おわり)
ハッピー・ダンシング!