ビクター・シルベスターのモダン・ボールルーム・ダンシングから「19.サンバ」をお届けします。
第二章 実習
19.サンバ
The Rumba
サンバは明るく生き生きとした踊りで、その中にはどのレベルの人にも合うようなフィガーが含まれています。
●音楽
通常2/4拍子(1小節の中に2拍)で書かれていますが、4/4拍子のもあります。
●テンポ
音楽の速さは1分間に45小節から65小節とかなりの幅がありますが、踊りに適しているのは50小節です。
●リズム
ベーシック・フィガーに使われる基本のリズムには次の3種類あります。
- 1,2(またはSS)、
- 1a2(またはSaS)<ワン・ア・ツー/スロー・ア・スローと読む>、
- もう一つはSQQです。
他にQQQQもありますが、それが使われるのはコルタ・ジャカだけす。
●音の長さ
上のリズムは2/4拍子の場合で、長さは次のようになります。
‘1,2’は1拍、1拍
‘1a2’は3/4、1/4、1拍、
‘SQQ’は1拍、1/2、1/2
4/4拍子で書かれている場合、各音の長さは倍になります。例えば、‘1a2’は1+1/2、1/2.2拍です。
サンバのフィガーは実に単純で覚え易いですが、あるリズムから別のリズムに変化させるには、別の練習が必要です。
●ホールド
男性の左手はスタンダード種目の時よりも少し高めに(左手を左耳の高さに)保ちます。女性は左手を男性の右肩に置き、殆どのフィガーの場合、少し離れて踊ります。それよりも近くで組むような場合は、そのフィガーの初めで説明をしています。
●サンバのベーシック・ムーブメント
1,2あるいは、1a2とカウントするすべての動きでは、僅かに下方へのバウンス、あるいは、ドロッピング・アクションと呼ばれるサンバ独特の動きを用います。このアクションは体重が乗る足の膝を伸び縮みさせると同時に、足を床に対してロアーさせることで作り出されます。
‘1a2’とカウントさするフィガーの場合、’a’の所では膝を少し伸ばし、他の‘1’と‘2’ではドロッピング・アクションを使います。また、SQQとかQQQQとカウントする所では、ドロッピング・アクションは使用されません。ドロッピング・アクションについての説明はP265(添付PDF)で述べています。
●フットワーク
すべての前進するステップはボールから出て、直ちにフラットになります。例外としてヒールから強く出るステップがコルタ・ジャカであります。’a’のカウントの所はボールです。
●リード
サンバでリードをしようとするとき最初は戸惑うかも知れません。男性はリードは両腕を使う必要がある事を覚えておきましょう。しばしば両腕を通してのテンションがリードの始まりとなります。女性は両腕を引き締める用意をしておき、男性のリードで次のフィガーの指示が分かり次第、両腕の緊張をほどきます。
●リズム・ダンス
これから紹介するフィガーは広いフロアで踊りますが、混雑したフロアではホールドをクロース・ホールド(小さいホールド)にし、ステップを小さくして踊ります。
■ステップの説明頁(PDF2つ)を読みましょう。以下のステップが出ています。
- ナチュラル・ベーシック・ムーブメント
- リバース・ベーシック・ムーブメント
- アウトサイド・ベーシック・ムーブメント
- ナチュラル・オールタナティブ・ベーシック・ムーブメント
- プログレッシブ・ベーシック・ムーブメント
- サンバ・ウィスク
- プロムナード・サンバ・ウォークス
- コルタ・ジャカ
- ロックス
- プロムナード・ボタ・フォゴ
- トラベリング・ボタ・フォゴ
- バウ
- ボルタ(サンバ・ウィスクからの)
- リバース・ターン
MBD261-269
MBD270-279
(この項おわり)
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「モダン・ボールルーム・ダンシング」
(ビクター・シルベスター著/神元誠・久子翻訳/白夜書房)
2005年12月出版
原書名:Modern Ballroom Dancing (Victor Silvester)
世界で60万部以上の販売実績を誇る、ボールルーム・ダンス本のトップセラー。1922年の第1回世界プロフェッショナル・ボールルーム・ダンス選手権のチャンピオン、ビクター・シルベスターがダンスの歴史を遡り、スタンダード・ダンスの起源と発達を語る。実習編では、初心者にも適した踊りから上級者向けまで詳しく解説。
ビクター・シルベスターは楽団を率いていたことでも有名ですし、同様に、ストリクト・テンポを確立した人としても名が知れ渡っています。私がダンスを始めた時にも、イギリスからビクター・シルベスター・グランド・オーケストラのLPを何枚も買い求めていましたので、そのように著名で偉大な人が書かれた本の翻訳をさせて頂く機会を得たことは、この上なく光栄でした。
神元誠・久子