ビクター・シルベスターのモダン・ボールルーム・ダンシングから「18.ルンバ」をお届けします。
第二章 実習
18.ルンバ
The Rumba
ルンバのリズムは魅力的ですし、簡単な形式のフィガーは簡単に覚えられます。
●音楽
2/4か4/4拍子で書かれていますが、4/4拍子と捕えるのが実用的で、1小節に4拍、1,2,3,4とカウントします。音の長さは次のようになります。
カウント 2 3 4-1
あるいは Q Q S
音の長さ 1 1 2
キューバン・ルンバの踊りでは、実際に足を動かすのは音の2,3,4で、1では横へのヒップ・アクションをコントロールして使います。
踊り始めの一番良い方法は、両足を少し開いて立ち、左足に体重をかけ(女性は右足に)ます。カウント1で右足をとても小さく横にステップし、次にカウント2で左足前進からベーシック・ムーブメントに入ります ― 女性は男性と反対の動きをします。
この最初の1小節が踊れると、その後のリズムを保つ事は難しいことではありません。初心者はこの方法でスタートし、その後は、2,3,4-1とカウントする変わりに‘クイック、クイック、スロー’とカウントするほうが良いでしょう。本書では両方のカウントの取り方を載せています。
●ホールド
サンバと同じホールドをし、上体は自然な形で真っ直ぐ立ち、両肩の力を抜きます。体重は両足のボールの上にくるようにします。‘オープン・ホールド’とは男女が向き合って離れて立ち、男性は左手で女性の右手を取ります。この時の腕は、腰の高さに保ち、肘は伸ばしきらないようにします。女性も腕をリラックスさせ、左手は自分の腰の高さより下がらないようにします。このフリー・ハンドと呼ばれる左手は、男性がノーマル・ホールド(通常のホールド)をしようとした時は、いつでも男性の右肩に戻れる位置にあります。
‘ファン・ポジション’とはオープン・ホールドで男女が離れ、女性は男性の左少し前に、男性に対し直角に、左足を後ろにして立った形です。この時男性は右足体重で両足を開いて立っています。
●フットワーク
すべてのステップはボールから床につき、直ちに柔らかくフラットになります。ヒールから出ることは決してありません。
●テンポ
ルンバは幅広いテンポに合わせて踊る事ができますが、競技会要用には1分間に27小節の演奏が使われます。
●リード
男性は女性に対しはっきり、かつ柔らかなリードを行ないます。このリードはあるフィガーから次のフィガーに入る時にのみ行なわれます。女性はリードを受けてフィガーに入りますが、リードを受けたあとは自分自身で踊りを踊ります。特にオープン・ホールドの場合はそうなります。
●ヒップ・ムーブメント
殆どのベーシック・フィガーにおいて、カウント4-1にかけて僅かに左右へのヒップ・ムーブメントが使われます。これはカウント4(膝をやわらかく使ってステップする)の足の上に直ちに全体重が移動しないからです。その足の上に全体重をかけながら、カウント1で膝を伸ばし、同時にもう一方の膝が緩みます。この動きが僅かな左右へのヒップのスイングを作り出しますが、ここで強調しておかなければならない事は、そうした動きはわざとらしく行なうものではなく、膝を緩めたり伸ばしたりする事で感じられるものなのです。膝を伸ばすのも柔らかく行ない、両膝が突っ張る事はありません。
■ステップの説明頁(PDF2つ)を読みましょう。以下のステップが出ています。
- ベーシック・ムーブメント
- プログレッシブ・ウォーク・フォワード
- プログレッシブ・ウォーク・バックワード
- ナチュラル・トップ
- ナチュラル・トップからのオープニング・アウト
- ファン
- クローズド・ヒップ・ツイスト
- アレマーナ
- サイド・ステップ
- クカラーチャズ(プレッシャー・ステップ)
- ホッケー・スティック
- リバース・トップ
- リバース・トップからのオープニング・アウト
- オープン・ヒップ・ツイスト
- スパイラル
- ハンド・トゥ・ハンド
- スポット・ターン(左へのスポット・ターン、右へのスポット・ターン)
MBD235-247
MBD248-258
(この項おわり)
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「モダン・ボールルーム・ダンシング」
(ビクター・シルベスター著/神元誠・久子翻訳/白夜書房)
2005年12月出版
原書名:Modern Ballroom Dancing (Victor Silvester)
世界で60万部以上の販売実績を誇る、ボールルーム・ダンス本のトップセラー。1922年の第1回世界プロフェッショナル・ボールルーム・ダンス選手権のチャンピオン、ビクター・シルベスターがダンスの歴史を遡り、スタンダード・ダンスの起源と発達を語る。実習編では、初心者にも適した踊りから上級者向けまで詳しく解説。
ビクター・シルベスターは楽団を率いていたことでも有名ですし、同様に、ストリクト・テンポを確立した人としても名が知れ渡っています。私がダンスを始めた時にも、イギリスからビクター・シルベスター・グランド・オーケストラのLPを何枚も買い求めていましたので、そのように著名で偉大な人が書かれた本の翻訳をさせて頂く機会を得たことは、この上なく光栄でした。
神元誠・久子