AT05 パートナーは二人必要?

投稿者: | 2020年1月29日

日本のどこかで「より良い、より質の高いダンスを自分の中に見つけたい」と模索している人たちがきっといるに違いありません。そうした人たちにこの「私とダンスとアレクサンダー・テクニークと」が役に立つことを願いつつ、話を進めていこうと思います。

 

私とダンスとアレクサンダー・テクニークと
AT05 パートナーは二人必要?

 

 

■ジェレミー・チャンス略歴

ここでジェレミー・チャンス氏について、私が知る彼の略歴を紹介します。

Jeremy Chance /ジェレミー・チャンス

    • BODY CHANCE プロコース、 トレーニング・ディレクター。アレクサンダー・テクニークを国内外で30年間指導。『ひとりでできるアレクサンダー・テクニーク』の著者。
    • 1986年からはアレクサンダー・テクニークに関する国際誌『デイレクション』の編集も務める。
    • オーストラリア・アレクサンダー・テクニーク協会(AUSTAT)創設メンバー。
    • オーストラリアではシドニーのNIDA、俳優センター、俳優大学、ミュージッック・コンサーバトリアム、メルボルンのビクトリア大学の芸術学部で指導。1999年から現職。

 

 

 

ジェレミーさんから届いた初回原稿には、いくつかのタイトル候補が書いてありました。

私はその中から “Secret Ingredients of Great Dancing Technique” を選び、日本語タイトルとして「ダンス ― 遥かに上手くなるための秘訣」とすることに決めました。

 

その初回原稿には衝撃的な小見出しがついていました。「ダンスにはパートナーが二人必要!」です。

今回はその部分を紹介しましょう。単なるキャッチ―な小見出しではなく、なるほど!と納得されることでしょう。

 


■パートナーは二人必要?!

 

一人で踊っているとき、あなたにはパートナーがいます。また、あなたが社交ダンスを踊っているときパートナーは二人必要です。 一人ではありません。では、その「もう一人」は誰でしょう? 

 

二人目はもっと大切なのですが、以外と気づかれていません。それは、あなた「自身」です。心と体をひとつにして素晴らしい踊りをしようとする「あなた自身」のことです。

このあなた自身とのパートナーシップが、上手に踊れるかどうかを決定する一番重要なところで、ステップをどの位たくさん習うかということとは関係ありません。また、ダンスのクラスでは心と体の関係を習う時間もないでしょうから、どこか他で学ばなくてはなりません。

 

ダンスをしていて一番ストレスが溜まるのは、自分の体が思うように動かないことではありませんか? でも、驚かないでください。実は、あなたの体は、あなたが「そうしなさい」と指示している通りのことをしているに過ぎないのです。つまり、上手く行かないのは体に問題があるのではなく、あなたの体に対する指示の仕方に問題があるのです。

(「ダンス ―― 遥かに上手くなるための秘訣」第1回記事から)

 


 

 

自分と踊るパートナーは一人じゃないと知らされ、翻訳しながら非常に驚いている自分の中にとても納得している自分がいました。

いつも自分と対話しながら踊っている自分を感じていたからです。

それが 「もう一人のパートナー」 と認識できると、さらに違った対話ができそうな気がしますし、この考え方は、恋人同士でも夫婦でも、家族にも応用できると思いました。

 

「もう一人の自分」をどこに感じるか――当然、「自分の中」なのですが、少し形態を変えて遊んでみても面白いと思います。

 

そのひとつの遊びとして、もう一人の自分を「肩車している」とイメージするとどうなるでしょう? 

 

「自分」が自由に踊るには「もう一人の自分」には勝手な動きをされては困ります。

勝手に体を捻ったり傾けたり、あるいは、あちこち顔を動かされたりすると動きが邪魔されてしまうので、肩の上でなるべく静かにしていて欲しいと考えると思います。

 

この場合の「自分」を「下半身」に、肩車されている「もう一人の自分」を「上半身」に置き換えて踊ってみると、いままでより静かな踊りになることでしょう。

(つづく)

 

「私とダンスとアレクサンダー・テクニークと」目次

 

📌BODY CHANCE – アレクサンダー・テクニーク