SB110 グレードアップするために(その6) フットワークをもう一度考える

投稿者: | 2020年1月21日

サークル活動している人の中には、実に多くの人がフットワークで誤りを犯しています。誤ったフットワークでステップは踏めてもムーブメントがまるで違ってしまうことを十分理解していないのが原因と思います。

 

SB110 グレードアップするために(その6)
フットワークをもう一度考える

 

初心者の域を早く抜け出たい人、踊りをグレードアップしたい人は各フィガーの説明を読み直し、一歩一歩フットワークをチェックしましょう。すでに癖がついていても、ひとたび正しいフットワークのほうがすっと美しく踊れると実感すると決して元のフットワークで踊りたいと思わないでしょう。

初心者の方は、フィガーを覚えるときはフットワークも一緒に覚えるのが当たり前と思ってください。事実、当然のことなのですから。

前置きが長くなりましたが、3種のフットワークについて意味を少し掘り下げて行きます。

 

 

①HT

このフットワークは前進の足に使われ、ヒールからトウに乗り越して行きます。ふだん歩くときは無意識にヒールから出ていると思いますが、これをトウから出ると、思うように前に進ます歩きにくいものです。ダンスでも同じで、歩くときのように重心を前へ前へと推し進めるには、「ヒールから」出るのが自然で、大変効率的な方法なのです。そのように踊りたいとき、“HT” が出て来ます。

しかし同じ前進でもタンゴでは “H” と書き “HT” とは書いていません。タンゴの説明でも、「ヒールからポールを乗り越して行く」と書いてありますが、ではなぜ “H” の意味が “HB” であって “HT” でないのか不思議に思いませんか? 

実際にタンゴのステップを踏んでみても、プロの踊りをみても、しっかりトウを乗り越しており、尚更疑問に思います。タンゴの後退のステップもしかりで、トウが先に床を捕らえているのに “TH” と言わず “BH” と言います。

何故なのでしょう? その訳は “T” の定義にあります。

実は “T” にはライズやロウアの運動が含まれることを示唆しています。このことを理解すると、“HT” と出て来たら、そのステップではライズが起きることがわかります。一方、タンゴは歩くステップでライズがないので “T” が出て来ないということになります。 “HT”  あるいは “H” のステップを当然のごとくヒールから出られるようになるには、その前のステップで膝が緩んでいる必要があります。

 

 

②TH

このステップでは、トウから床につき、次にヒールに降ります。

このフットワークは色々な場面で使われますが、ここではアップの状態からロウアする場合の説明をします(例:ワルツのシャッセ・フロム・PPの男性の4歩目左足、スピン・ターンの女性の6歩目右足など)。こうした場面で、前の足でトウに上がっているにもかかわらず、次をヒールで出てしまう人を大勢見かけますが、前の足の膝が不用意に緩んでしまったりヒールまで降りてしまうのが主な原因です。

 

 

③T

このステップでは、トウに上がっていることを意味します。また、この足がヒールに降りることはありません

“T、TH” の順でフットワークが出てくる所では、初めの “T” のステップでヒールに降りる人がたくさんいますが十分気をつけましょう。そして、次のステップ “TH” でヒールに降りた時、その前の “T” の足の膝が自然に軸足横を通過して行きます。

 

こうして見ていくと、一見面倒臭く思われるフットワークも、実は自然な足の使い方を示したものであることが十分理解してもらえたと思います。たとえ団体レッスンでも、個人個人が正しいフットワークに注意を払えば奇麗な踊りになることは疑う余地もありません。

誤ったフットワークはあなたが目指す美しい踊りからあなたを遠ざけますので要注意! 

使い古したステップからフットワークをもう一度チェックし、誤ったフットワークがあったら完全撲滅してしまいましょう。

 

ハッピー・ダンシング!